【感想・ネタバレ】二四〇九階の彼女のレビュー

あらすじ

無数の階層が連なる“塔”のかたちをした世界。各階層は神の代行機械であるアントロポシュカによって管理されていた。しかし管理する階層に住む人間が“幸せ”に暮らせる世界を作る、という命題を与えられ階層世界を運営してきたアントロポシュカたちは、永い時間を経て、その多くに狂いを生じていて…。“幸せ”に狂った世界の中を、少年・サドリは相棒のカエルとともに海を目指して塔を降りてゆく。かつて交わした「彼女」とのただひとつの約束を果たすために。優しくて残酷な、神様と世界のお話。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

メディアワークス文庫「妄想ジョナさん。」から遡って作者買い。

大当たりでした。
連作短編でどの章もじんわりと温かくて切なくて、凄く好き。
「九四三階の戦争」と「一〇五六階の幻想」、表題の「二四〇九階の彼女」が特に良かった。ほぼ全部だけども。

全編に漂う不完全さ、理不尽さと、主人公サドリの人間を根底的に肯定する温かさのギャップが、世界の危うさを際立たせているように思う。
読み進めるにつれて時系列を遡っていく構成が秀逸。ラストで明かされるかなーと期待していた「鍵と門」」については抽象的な表現に留めてあり、ちょっと取ってつけた感が気にはなった。

でも正統派に泣ける。絵に描いたようなセカイ系だし、ありがちと言ってしまえばそれまでではあるけれど。
「さようなら、また会いましょう」
何万回も使われたようなこのラストシーンの約束の言葉でシッカリじんわりと泣けるくらい、丁寧に積み重ねて描かれていると思う。
心に響く。

普段あんまり人にオススメ出来ないような本ばかりを愛読しているので、今度誰かに「なんか感動できる良い本ない?」と比較的無軌道に訊かれたらこれを推薦したいと思います。

0
2012年07月08日

「男性向けライトノベル」ランキング