【感想・ネタバレ】家族最後の日のレビュー

あらすじ

母との絶縁、義弟の自殺、夫の癌――。
写真家・植本一子が生きた、懸命な日常の記録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

運よく、サイン本を買うことができた。「今を生きてる?」と万年筆でサインしてあった。一子さんらしいと思いつつ、感動しながら、中身も読み進めた。

私は「かなわない」で初めて一子さんを知り、一気にファンになったが、先日学生時代の友人の中で「かなわない」について話した時、友人の中にも「自分から不倫してることを書いた人でしょ?」と眉を顰める人もいた。一方で、「不倫を自分から書くから文学なんだよ!」と憤る人もいた。私は一子さんのことは、写真の才能も文章の才能もあってうらやましいくらいにしか思っていなかったけど、そうか、これが文学か。

そして、この「家族最後の日」も装丁が素敵だと思う。「かなわない」もなんでトースト???と惹きつけられたけど、家族~はまず赤が美しい。写真の帯も是非めくってほしい。(ネタばれ?)

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2018年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々とした日記のなかに、媚びへつらわない正直な毎日が、想いが、詰まっている。

「写真を撮っているとき、そして文章を書いているとき、私の精神は安定している。そのときは誰にも依存せず、自分一人で立っている気がする。」

そう言う筆者の植本さんにとても共感する。
一人で立つ、ということばがよく出てくる。自立、自律?
一人で立たなければいけないと私もずっと思っていたけれど、本当にそうなのだろうか。
人という文字は、人と人が支え合っている様子を表しているなんていうけれど、その角度というか、支え具合、支えられ具合はフレキシブルに変化していくのが理想だと思う。常に寄りかかっていなくても良くて、でも立っていられないときには、「助けて」さえ言えれば、いろんな人が少しずつ支えてくれる、はずだ。

「すべてを支えてくれる人は、本当にこの世のどこにもいない。いろんな部分をいろんな人に少しずつ支えてもらって、やっと一人で立っていられる。」

そもそも、一人で立っていない人なんて世の中に沢山いるじゃん、とも思う。それでもきっと別にいいのだけれど、それを許せない自分がいる。本当は羨ましいのかもしれない。そこに対して頑ななのは、やはり自分がどこかいびつなのかなとも思う。せめて、素直に「助けて」が言えるように。植本さんは、一人で立つことに対して、とても誠実だと思った。そういうところが、好きだと思った。

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ふと、お母さんに泣きつきたいと思った。私のいまの苦しみや悲しみをいくら周りの人たちに伝えたとして、ちっとも減る気がしない。全部をさらけ出せて、受け入れてくれるのは、結局お母さんしかいないのではないだろうか。周りを見渡しても誰もいない気がして、どうしてもそこに行き着いてしまう。そんな希望が昔からずっとあって、それがかなえられることがなかったから、私はいまこんな風になっているというのに。母への憎しみとともに、子どものように泣きつきたい衝動にかられる。
 結局私は自立をしないで生きてきたのだ。お母さんから石田さんへ、バトンが渡されただけだった。それがいま、自分に戻ってきてしまったような思いがする。自分のバトンは自分で持ちなさいと。こんな形で自立をしなければいけないなんて、思ってもみなかった。

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2017年07月01日

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