【感想・ネタバレ】旅だから出逢えた言葉のレビュー

あらすじ

悩むなら、旅に出よ。「言葉」を巡る紀行文。

「旅は、思わぬ出逢い、思わぬ人の一言を耳にして、考えさせられることが数々ある。このエッセイはそういう旅で出逢った言葉なり、人の行動を書いたものだ」(あとがきより)
世界を巡る作家・伊集院静が、20年以上続く国内外の旅の日々を振り返りまとめた、心に残る33の言葉。巡礼の道を辿ったスペイン、クロード・モネを取材した北フランスのルーアン、ウィスキーの蒸溜所を見学したスコットランド・アイラ島、白神山地の森を歩いた青森県。旅先の風景、忘れがたいエピソードとともに、フランシスコ・ザビエル、ヘミングウェイ、王貞治、城山三郎、恩師、家族らの言葉を紹介する。それらは何気ない事柄でも、私たちに人生を考えるヒントや勇気を与えてくれる。大切にしたい“ひと言”を見つけられる紀行文集、待望の文庫化!

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Posted by ブクログ

伊集院静(1950~2023年)氏は、在日韓国人2世として山口県に生まれ(その後帰化)、立教大学文学部卒、広告代理店シマ・クリエイティブハウス、電通勤務後、作家に転身し、1992年に『受け月』で直木賞、その後も、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞、司馬遼太郎賞等を受賞。2011年に出版した『大人の流儀』は、その後シリーズ化し、ベストセラーとなった。二人目の妻は夏目雅子、三人目の妻は篠ひろ子。競輪、麻雀をはじめとしたギャンブルにも造詣が深く、「無頼派作家」と呼ばれた。紫綬褒章受章。
本書は、初出はダイナースクラブの会員誌「シグネチャー」の連載「旅先でこころに残った言葉」で、一部再編集し、加筆、改題の上、2013年に出版され、2017年に文庫化された。
内容は、長年公私を問わず旅をしてきた著者が、題名の通り、旅先で出逢った言葉や、旅先で思い出した言葉を、エピソードを添えて書き綴ったエッセイ33編をまとめたもので、旅先は、多くが、著者が美術館や画家の出身地を訪ねる旅を続けていたフランス、スペイン、イタリアで、他にアメリカ、スコットランドなどである。また、「言葉」は、必ずしも著名人による著名な言葉(いわゆる「名言」)ではなく、著者の家族や友人、旅先でたまたま出逢った人による言葉が多い。
私はこれまで、著者の作品では、『伊集院静の流儀』、『旅人よ どの街で死ぬか。男の美眺』、『無頼のススメ』等、何冊かのエッセイ集を読んできて(小説は読んだことはない)、同性の男から見ても惚れ惚れするほど恰好がいいが、一方で、シニカルとも、達観しているとも受け取れるような表現に、僅かな違和感も持っていたのだが、本書に収められたエッセイは、いずれもとても真っ直ぐで、読後感は清々しくかつ温かなものであった。
紹介されている言葉はいずれも印象的であったが、その中の幾つかを挙げると以下のようなものである。
「この言葉は 私たちの身体の一部ですから」・・・スコットランド/アイラ島で、宿の女性老主人が、自らの母語であるゲイル語について、たどたどしい英語で、しかし毅然として語った言葉。
「その美しい洗濯物を見て 息子を預かっていただこうと 決心しました」・・・元サッカーのフランス代表のジダンが、14歳のときに、家を離れてカンヌのクラブチームに入ることになったときに、それに反対していた母親が、ジダンを預けることになる家の奥様がジダンのユニホームや衣服を丁寧に洗い、きれいに折り畳んで持たせてくれたのを見て、語った言葉。
私は、旅をすることも、文章や言葉を読むこと・書くことも好きだが、いずれも満足させてくれる一冊である。
(2025年3月了)

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2025年03月27日

Posted by ブクログ

伊集院さんが旅先で出会った人々、そして言葉にまつわるエッセイ集。淡々と、しかし真っ直ぐに人を見つめる眼差しが感じられる文章が心地良い。他の著作とのエピソードの重複も多いが、言葉にフォーカスが当てられており、新鮮な印象を受けた。

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2024年12月31日

Posted by ブクログ

旅で出会った言葉のエッセイ集。

著者は趣味にもあげているが美術館巡りが本当に好きらしい。

本エッセイも後半はほぼ美術館に関するもの。

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

旅の思い出とエピソードを交え、名言を紐解いている。
伊集院さんは色々な土地へ赴きたくさんの人と関わっていらした。
そうした一つ一つが伊集院さんと言うひとの体内から素敵な文章となって放出されている。
そんな感想を持った一冊です。

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2018年01月15日

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