あらすじ
「想像力」、それは人であればだれでも持っている魔法だ。ご存じ『魔女の宅急便』の作者が、幼いころからの体験と重ねながら、みずからの童話作家としての歩みと創作のひみつを語ります。水平線という一本の線の魔法、主人公の名前のちから、物語のとびらが開く瞬間のこと……。あなたのすぐ隣にある不思議に気づかせてくれます。
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Posted by ブクログ
興味深かった。ファンタジーが、ファンタジーの世界からやってくるとき、その訪れ方やもてなし方を学んだ気がする。
ただ、最後の方の想像力押しのところは、理論だって、誰かの役に立ちたくて生みだされたものだから、悪用されることもあるけども、想像力が必要な物語に比べて、必ずしも重要ではない、と言い切れるものではないと思った。
どんなストーリーでも、それは語り手の、その人の姿勢が反映されているものだから、押しつけがましいと感じる話というのは、たぶんその人のその時の姿勢に、想像力が足りていなんだろうなと思う。でも、戦争を経験した著者だからこそ、その人の想像力のなさを警告することの使命を帯びているのかもしれないから、それは時代性というか、彼女のオリジナリティの部分なんだろうなと思う。
とても興味深かったのは、話を作る時に、どんどん作りなおして、書き直してもいいということ、それから片意地をはらずに気持ちのいいラインで、作っている自分が楽しめるラインをキープしながら、書くのがいいということ。
さっそく真似してみようと、著者が使っていた書くときに使うボードに似たものを買いに走ってしまった。
あとは、壁と柱の話。私も、柱の家の方が好きだなと思った。壁は苦手で、息苦しい感じがする。また、本作では壁は縦方向に(部屋として)使われていたけれど、それを横方向に(階層として)考えてみると、それはヒエラルキーというか、優劣の考え方になると思った。
自分は人と人の間に、階層(優劣)なんかない、という思想の持ち主なので、その考えをより具体的なイメージに落とし込めたのがよかった。人は越えられない壁によってわけられているのではなく、柱だけがあって、だだっぴろい家の中にいるみたいに、それぞれいる場所がちがうだけ、というイメージを作ることができた。
なんかそういうところとか、この著者と話してみたいなあと思わせる作品でもあった。たくさんの本が紹介されていて、それもよかった。ネッシーの話、あらすじだけで涙ぐんだ。主人公の名前を付けるというエピソードもよかった。参考になるというか、自分とは違うところもあれば、自分がうまくいかない理由を見つけることもあって、だけど自分なりに悩んだり、寄り道したり、それでもいいのだな、と思いたい。
いつかお茶したいな、と思った。また、誰かから、お茶したいと思ってもらえるような人になりたい。たくさん、ファンタジーに会いに行きたくなる本でした。
Posted by ブクログ
ジブリ映画であまりにも有名な「魔女の宅急便」。その作者である角野栄子さんの小さい頃の話と、小説を書き始めたきっかけ、などなど。
角野さんは、物語の作家としてのデビューは実は42歳のときだったらしい。ずいぶん遅咲きだ。
角野さんは、5歳で母親を亡くし、いつも不安で自信がなかった。しかし、優しい父親に育てられたことが、今の彼女につながっているようだ。子供の頃、父親の話してくれる物語が大好きだったらしい。そこから想像することが好きになったみたい。
魔女の宅急便が生まれたのは、娘が描いたイラストがきっかけだったようだ。
それから次々と泉のようにアイデアが湧き出て来て、あの素敵なファンタジー物語が出来上がったんだね。何だかまた映画が見たくなって来た。原作も読んでみたいけど、やっぱあの楽曲もまた素晴らしいんだよね。
私もファンタジーが大好き。そして妄想も大好き。共感しながらすいすい読み進めました。