あらすじ
勝つためには、そのための組織構築術がある。勝つためには、そのための人材育成術がある――――。監督就任5年目にして青山学院大学33年ぶりとなる「箱根駅伝」に出場、2015年には初優勝、2016年には39年ぶりの完全優勝、そしてさらに2017年には「箱根駅伝3連覇」を果たすという強豪にまで育てあげた原晋監督。伝説の“提案型サラリーマン”時代の経験を生かし、当たり前とされてきた体育会系の指導方とは異なる独自のスタイルで結果を出し、その指導法が注目されている。
本書は、そんな原監督の過去から現在における発言の数々を「語録」としてまとめた1冊。管理者・管理職として組織をどのようにまとめ、育て、目標を設定し、勝利へと導くのか? 4つの章にわけて、“原晋式勝ちパターン”の作り方を紹介。その言葉の解説を読めば、さらに深く、言葉の意味や言葉の向こう側にあるものを感じとることができるはず。社会、人生、子育てなど、さまざまなシーンでの悩みに対するヒントが溢れている。
第1章【人を育てる】
「教育の基本は、加点方式なんです」
「今の選手は理論で言わないと納得しない。
ただ、理論だけでは男は動かない。
『お前のために』というのが必要」
「箱根を目指すことだけが、幸せとは限らない。
ここが輝けるという場所を探してあげたい」
第2章【組織を鍛える】
「部下とお友達になる上司は
組織には必要ありません」
「やってくれるだろうは、“だろう”で終わる」
「良い人材を育て良い組織を作れるのであれば
強い選手を育て強いチームを作れるはず」
第3章【正しい目標~本質を見極めろ】
「抽象的な目標設定ではいけません。
実現がほぼ不可能な目標設定もいけません」
「自分を表現するのが上手な選手は
目標を設定するのもうまい」
「私が考える負けの基準は
努力しなかったら負け、これだけです」
第4章【勝利への哲学】
「今日の常識が明日の非常識になる」
「問題をこなせる能力があるかどうかではなく
取り組む姿勢が大切です」
「勝つタイミングが訪れるのは
組織そのものが確立された時です」
「人間の能力に大きな差はない。
あるとすれば、熱意の差だ。
最後はやはり、行動力と情熱が人を動かしていく」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
陸上部の監督の組織論ではあるが、会社内でのチームを動かす仕事にも十分応用できる考え方やノウハウを学ぶことができた。
以下、ポイント。
- 指導法は組織の成熟度に応じて変化する(命令型→指示型→方針型→サポート型)
- 相談は自分で考えた結果を持ち込み、さらなるアドバイスを求めること
- 上司は部下への異動理由を説明すべき。説明しないのは管理職の仕事放棄
- 素直に謝罪できる人材は強い。次のステップに進む自主性を持つ
- 若手に成功体験を味わわせることが重要
- 大きな目標を提示し、方向性を示すことで指示待ち族を防ぐ
- 目標管理シートで自己分析と反省を促す
- 相対評価の重要性と選手のやる気を失わせないこと
- 指導者は選手から言葉を引き出し、考えさせることが大切
- 問題への前向きな態度が重要
- 感動を与える、今日のことは今日やる、熱意の差が能力の差
- 熱意と覚悟が目標達成の鍵
Posted by ブクログ
サラリーマンをやっていた原監督、その秘訣は目標管理
勝つためには、そのための組織構築術がある
勝つためには、そのための人材育成術がある
■人を育てる
・ビジネスマンとして、いくら取引先の人でも、一緒に働きたくないなって人はダメですよ。最後は好き嫌いかでしょう。みんなが、生理的にダメかどうか。あいつの心の悪さには付き合えない、いくら金をくれるったてやらないよというね。
・答えの部分だけを理解して、相手と折衝事をするから、化けの皮がすぐはがれる、何事に対しても、基本がずぼっと抜け落ちている
・本質を理解するようにさせているんです。
・私自身は視界が広くなりました。だから、私自身も勉強しなきゃいけないですよ。
・本来、私は、減点方式が嫌いなんです。教育の基本は、加点方式なんです。
・百の失敗から学ぶより、ひとつの成功体験が学生を成長させる
・明るいこと、話をすること、提案することはいいことなんだ、という方針で学生とコミュニケーションをとる
・選手たちに信念を伝えて土壌を耕し、指示が理解できるようになったらヒントのみを与えていく、そして、組織が成熟した段階では選手を観察して、気づきを与える
・答えを出さずに出るまで待つ
ステージ1 監督命令型
ステージ2 監督が選手の代表者に指示を出す型
ステージ3 監督は大筋の方針だけを示し、チームリーダーと部品が一緒に自ら考える型
ステージ4 サポート型
・よく学生に言うのは、女性を口説くときに、好きです、だけで終わるのかい、と。口説く時には方法を色々考えるし、その答えもひとつだけじゃないでしょう
・感動を人からもらうのではなく、感動を与えられる人間になろう
・選手がこの、「なぜ?」を自分自身に問い続けられるかどうかが成長のカギを握っている
・結果だけを見て、監督が「もうオマエはだめだ」と突き放してしまったら、選手も腐るし、組織も腐っていきます。突き放す前に、選手の言葉を聞くことが大切です
・選手たちを、走りたくて仕方ないという心の状態に持っていくとが大切です
・人が人を動かしていくわけだから、そこにどうしても情が不可欠になります。
・怒るポイントは、男気に背いたときだ。裏切った時、もう一つは、言い訳をした時。
■組織を鍛える
・何を作るんでも、基本的に一緒、素直さ、謙虚さという言葉の上にリーダーがある
・指導者としての資質は、「己を知る」ことも重要。
・管理職といっても、大した能力があるわけではない。能力の差はほとんどない。あるのは、熱意の差だ。
・一流になる条件、それは、「バカになれること」
・今すぎ芽が出ない者についても、次の可能性を見てあげることが大切です
・新しいチームを動かすということは、大きく重い鉄球を動かすことと同じ。最初はびくとも動かない。でも、みんなで力を合わせて一度転がり始めたら強大なパワーで進む
・心のマナーがちゃんとある子。タイムが速くても、心がない子は獲得しない
・強いチームを作るには、人間性を重視しなければならない
・環境になじめないと力は発揮できません。走力は二の次です。
・人として模範になれないようなら、それは一番ではない。
■正しい目標
・自分自身が立てた目標に対して、クリアできたら、喜ぶわけです。
・目標と妄想は違います。目標は半歩先に置き、それを目指して練習する。その繰り返しです
・リーダは夢のある話をしなくてはいけない
・夢をかなえるには、まず、思うこと、が出発点になる
・なぜを徹底的に刷り込むことが重要だ
・己を知る、スポーツにおいても、ビジネスにおいても、それが成功への近道となる
・自分で自分をコーチする
・努力しなかったら負け、これだけです
・当たり前のことを、当たり前にこなすことが大切だ
■勝利への哲学
・自主性と自由は、言葉は似ているけれど、意味はまるで違う
自由というのは、自分のワールドの中だけで自分の都合で動いている
自主性というのは、方向性が正しい中で、枠の中で動くこと、さらに、枠を広げていこうとすること
・無鉄砲な時代も必要だと思うんですよ。マニュアルに踊らされてペーパーの上だけで動く人間は、伸びしろがないと思います。
・比較対象物がなかったら、いい、わるい、はわからない。何ごとも、動いて体験する方が大切なんだと思います
・質問を投げかけ、選手自身に考えさせることで、能力を引き出すことができる
・能力ではなく、熱意、がものをいう
・自分の頭で考えなければ、成長しない
・人間窮したら、基本に立ちかえること、人は、行いを間違えたり、自己を見失った利することがある生き物だ。そうした時に、戻れる場所があるか、が重要なファクターとなる
・陰では血のにじむような努力をしています。見えないところでは泥臭く努力しても、表舞台では華やかにしていたい
・理屈だけではなく、行動力と熱量で、人を動かしてきた
・覚悟を持ち、退路を断つ、とどのつまりは、覚悟である
・おかれた場所でいかに熱意をもつか、勝負はそこだ
・男気とはさまざまだ、約束を守る、責任感をもつ、先輩を敬う、監督本人の男気は、伝説を作ること、だ。
がんばっていれば、必ず、誰か見ていてくれる
目次
はじめに
第1章 人を育てる
第2章 組織を鍛える
第3章 正しい目標~本質を見極めろ
第4章 勝利への哲学
ジャンル書籍
書店発売日2016/11/01
ISBN9784835628998
定価1,222円(本体 1,111円+税)
Posted by ブクログ
原監督の語録です。
人を育てるのは難しいです。
個人的には自分でやった方が早いと思うことが多々あります。
それは優秀な部下がいても変わりません。
そこを乗り越えて任せるということが大切なんですよね。
任せると丸投げは違います。
相手を信頼してるから任せることができます。
信頼に背いたときは「今のままでは誰も信用してくれない」ということを伝える必要があります。
尻拭いするのは優しさではないのかもしれません。
「行動力」と「熱量」で人を動かす。
僕は自分でやるのは簡単やと思ってます。
ただ人にやってもらうのが苦手。
悩みは尽きないですね。
「覚悟」を持ち、退路を断つ
保険をかけながら次のことをやろうとしたら見透かされますね。
僕も司法試験受ける時に役所を辞める気がなかったんで「覚悟」がなかったんやと思います。
やっぱり「覚悟」のある人が合格を掴んで行ったなあと思います。
次のチャレンジでは用意周到に「覚悟」を持って挑みたいと思います。
Posted by ブクログ
数年前から駅伝に興味を持ち、箱根駅伝常勝の青学の原監督にも興味を持ち、何冊も執筆されているのを知り初めに手に取れたのが本書。
印象的なフレーズや名言などに関する話が書かれている。そのどれにも言えるのが、心から相手の事を思っている事。陸上をしたくて進学してきた学生に、陸上以外の社会性を身につけて欲しいなんて、一部活の監督では思わないと思う。
また絶対ブレさせない事を決め、ブレずにやり続けることの大切さ、必要性がとてもよく伝わってきた。
ビジネスや陸上はもちろん、全ての事に言える事だと思った。
Posted by ブクログ
青山学院大学を箱根駅伝4連覇に導いた原晋監督の本
組織づくり、目標設定、人としての姿勢について学びました♪︎
原監督自身の選手時代、社会人時代に経験したことが組織づくりに活かされていて経験に勝るものはないと学ぶ!
「考えること」について、自分はどこまで考えて次にどうするのか?まで考え続けるよう変えていきますー!
Posted by ブクログ
箱根駅伝で、青山学院大学を4連覇へ導いた監督、原晋氏の指導哲学が盛りだくさんの本です。
メディアでは見せない、目標達成への強い覚悟、圧倒的な努力量、掲げているビジョン等、非常に学びの多い作品でした。
誰といるか、誰と働くか。
本書で著者の哲学を通してその重要性を知ることができます。
Posted by ブクログ
陸上という一般社会とは異なる世界と捉えられがちな分野での取り組みと成功を、実は陸上も社会の一部であり、成功へのプロセスに違いはないと噛み砕いてくれた一冊。
Posted by ブクログ
原監督の良い習慣(物事の考え方、捉え方)が良く分かります。
良い習慣が良い結果や成果を引き寄せる、それを実践している原監督であり、青学大陸上部です。
読みやすい本ですが、原監督ご本人が書いたものではなく、原監督の発言やインタビューから、ライターが文章を起こして編集されたものです。そのため、やや飾り言葉が多い印象でしたが(なので、星4つ^_^)、原監督が繰り返し学生達に伝えていることや、原監督ご自身が果たしたい陸上への「思い」や「ビジョン」を知ることができます。
目標を達成できる組織を作るための取り組み方や考え方を教えて頂けました。
読んでよかったです。
Posted by ブクログ
・今の選手は理論で言わないと納得しない。
ただ、理論だけでは男は動かない。「お前のために」というのが必要。
・普段からコミュニケーションをしておけば
「こいつを裏切れない」という人間関係ができる。
・自立した選手を育てる。
監督が言うから走るというヤワな選手にしたくない。
・感動を人からもらうのではなく、
感動を与えることのできる人間になろう。
・理由を説明しないということは、
部下の望みをかなえてやるために、
上司が戦っていないということだ。
・出来ない理屈を考えさせるのではなく、
出来る理屈をどう植え付けさせるか。
物事を為す時に「出来ない理屈」を探し続けることは時間の無駄でしかない。
「出来る理屈」を理論立てて構築し、それを周囲に伝えることができる者が真のリーダーとなりうる。
・話せる雰囲気を作っていかないと
組織は絶対にその管理職以上にはならない。
・やってくれるだろうは、”だろう”で終わる。
「過去の実績」に頼るだけでなく、「選手の今」を重要視しているから。
・歴史と伝統を重んじるということが原点。その上で改革すべきことは大胆に改革する。
・自由であるためには、義務と権利をきちんと果たさなければならない。
心のマナーがちゃんとある子。タイムが速くても、心がない子は獲得しない。
選手獲得の基準「心のマナー」を重視している。
・強いチームを作るには
人間性を重視しなければならない。
・エースを育てよ、エースに頼るな。
エース的人財=優秀な人材とするなら、
社会における優秀な人材とは自分の任務をきっちり果たしつつ、
周囲への影響を考慮し、仲間うちでの役割もこなす人間。
他選手の力を引き出す存在=エース=自立した人間。
・最近の風潮として、グレーゾーンがなくなって
AかBかの二択を迫られることが多いが、
本来グレーゾーンがないと世の中がうまくいかない。
そういう組織・企業・家庭は発展しない。
みんなで自由に議論して、戦って、決まったら、
ノーサイドで一致協力をするということが大切。
・リーダーは夢のある話をしなくてはいけない。
いつの時代も男はロマンや夢のある話が大好き。
・大事なのは自分で目標を決め、
自分の言葉で具体的に書き込ませること。
これが選手の「自立」につながる。
・走ることは自分との戦い。
現状を知り、自主性を育むためにも、
自ら目標設定することが大事。
つまり”自分で自分をコーチする。”
・チームの目標に近づけることは重要だが、
個人の成長を指導者がしっかりと評価してあげないと
組織が沈没する。
・「青学はチャラい」は最高の褒め言葉。
見えないところでは泥臭く努力しても
表舞台では華やかにしていたい。
ワクワクハッピーと言っているだけで勝てるほど、甘い世界ではない。
華やかな舞台で活躍して、多くの皆さんに感動を与え、喜んでもらう。
賞賛の言葉をいただき、それを力に変える。
宝塚歌劇団も厳しいしつけは大前提。だからこそ表舞台は華やかに舞う。
陸上競技も同様。
・新しいことをやると反対する人は必ず出てくる。
大事なのは何のために、誰のためにやるのかということ。
それがしっかりしていれば、
異なった考えの人にもいつか理解をしてもらえる。
・男気とは何ぞや。
「責任感を持つ」「先輩を敬う」「約束を守る」選手が考える「男気」はさまざま。
人事を尽くすために、自分はどうすればいいかを選手に考えさせ、
それを自分自身との約束にさせた。
それらをひとつひとつ達成していけば、必ず成果は出ると言っている。
ちなみに監督本人が考える「男気」は「伝説を作ること」。
結果は、人事を尽くして天命を待つ。
だからこそ、プロセスが重要。