あらすじ
東京ガールズコレクションの仕掛け人としても知られる著者は、ロス、NY、ハワイ、東京と九歳から三十五歳までエホバの証人として教団活動していた。信者の日常、自らと家族の脱会を描く。
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Posted by ブクログ
筆者は『東京ガールズコレクション』などのイベントを手がけ、事業戦略などのコンサルをされている方ですが、その彼が9歳から35歳までを過した『エホバの証人』での出来事を綴った手記です。壮絶な内容でした。
筆者はあの東京ガールズコレクションをはじめとする数々のイベントをプロデューサーであり、事業戦略のコンサルティングなども手がける辣腕のビジネスマンですが、そんな彼がロス、NY、ハワイ、東京と9歳から35歳までエホバの証人(以下証人)として布教活動をしていたという驚愕の手記です。しかし、現在は証人を父母、妻、弟を解約し脱会されているとのことです。その壮絶な部分が後半部です。
ここで趣旨は少し外れて、なぜ僕が本書を手に取ったかというと、僕自身もまた、証人との邂逅が人生の中で2度あって、1度目は小学校に上がる前くらいから中学年くらいにかけて、自分の家に布教として出入りしていた証人の家族のT君や彼の証人の友達(あくまで今思えばだが)とよく遊んでいて、彼の家に行くと証人の雑誌である「目ざめよ!」や「ものみの塔」のバックナンバーが置かれてあって、何かにつけてはよく読んでいたことをこれを読みながら思い出しました。
そのおかげで、僕は証人ではありませんが(そもそもガチガチの証人ならこの本は読まないであろうと察せられる)現在でも聖書を読むときはこのときの影響が少し残っているなということを、これを読みながら思い出しました。
2度目は高校時代のことで、1年生のときの同級生だったOが体育の授業で柔道をやっている際、彼だけは胴着に着替えずに、端のほうでレポートを書いていて、何でかなぁと思っていたらある日、彼自身か彼の周りの人間からそれとなく『Oは証人だから教義上武道である柔道はできない』という趣旨のことを聞いたような気がします。彼とは高校を卒業して以来、ただの1度も顔をあわせたことはありませんが、これを読みながら彼のことを少し思い出しておりました。
話を本書に戻すと、本書の中には信者としての自分および周りの人間の生態(とでもいったらいいのか)がつぶさに描かれており、厳格なまでに聖書のことを信じる彼らの日常と、『この世の終わり』というものを強く信じていて、筆者が大学への進学を反対されて、それが元で内定していた会社を断られたり、そんな苦労を味わったことが書かれていたのが印象的でした。
しかし、もっとも引き込まれるのは後半部の、筆者が宗教から解き放たれて、徹底的に教団の内部事情を調べ上げ、論理的に説得して自分の両親と妻、そして弟を解約させて脱会させるまでのくだりでした。
無論、筆者にとってそれは筆舌に尽くしがたいほどの困難であることはいうまでもなく、今まで付き合いのあった証人の兄弟姉妹たちからはいっせいに総スカンをされ、母親を説得しようとするも、彼女は電話口で泣き叫び、筆者のことを『頭がおかしくなった』と離れる弟夫婦と妹夫婦…。ここを読みながら本当に恐ろしいものを感じてしまいました。
やがて、筆者はすべての人間関係を失いながらもビジネスで成功し、そこで培った人脈や家族とともにあるという『普通の幸せ』を現在では送っているのだそうです。
僕個人は信仰の問題についてはいくつも文献を読み始めていますが、今でもあまり明確な答えはありません。
『答えとは探すものではなく、創るものである』
核心部とエピグラフにはこの言葉が掲げられてあって、それが筆者が苦悩の末にたどり着いたものであると、本書を読み終えて実感いたしました。
※追記
本書は2017年1月10日、河出書房新社から『カルト脱出記: エホバの証人元信者が語る25年間のすべて (河出文庫 さ 37-1)』として文庫化、再販されました。
Posted by ブクログ
なぜカルトにのめり込むのか、何がそんなに魅力的なのか…と疑問があったため手に取りました。
なるほど、証人以外はサタンの手のものという囲い込みと、内部での貢献度による評価、よい出来事のすべてはエホバの恩恵によるもので、最終的に証人だけは楽園で永遠を手にすることができるというご褒美制度(不確定)。
著者はかなり聖書を読み込んで論理的な面から傾倒していた頃もあるようですが、聖書自体の信頼性や妥当性が揺らげば、その教えも当然瓦解しますよね。
証人は真理ではないと気づく過程で、マルチと同じ仕組みだという件が出てきますが、本当にその通りなのです。
気づいたときには多くの犠牲を払っているため、抜け出すのも一苦労…。
著者も言っていますが、何を信じるのもほどほどがいいですね。絶体的なものなんてこの世にはないのですから。
Posted by ブクログ
■マルチ・ネットワーク・ビジネスと宗教の共通要素。
①絶対性(これが絶対の宗教・商品)
②純粋性(私たちの教義・商品以外は信用できない)
③選民性(私たちの教団・商品は選ばれている)
Posted by ブクログ
エホバの証人から脱会した記録。
宗教のいろいろな面が描かれていてとても好感が持てた。
宗教関係なくすべての人におすすめ。
払ってもいい金額:1,000円
貼った付箋の数:9
Posted by ブクログ
前、近所にこの宗教の人や他の新興宗教の人がいたので、様々な疑問が解けた。そうそう、奥さんが熱心な信者で旦那さんは入っていなかったな、神社はダメ、お葬式やお墓もダメ、お祭りや学校のイベントには参加せず、独特の服で近所を回り、働いている近所の母親達には「正社員なんて信じられない、なぜ働くの?」とか「大学なんて行く意味ない」とか言ってたわ!など。新興宗教も含め、宗教なんてトップの人達がお布施や寄付などで豪遊しているのが真実。抜けると宗教だけで繋がっていたコミュニティから嫌がらせや迫害を受けたり、拠り所がなくなってしまう孤独があるから難しいのだろうなとも思うけど。著者が洗脳から解けていく過程、疑問に感じてからカルトだと気づくまでのスピードが速かった。
Posted by ブクログ
信仰宗教の信者達は自分達がカルト集団だという認識は無いんですね。まぁそうでしょう。聖書を自分達の教義に合うよう捻じ曲げて改ざんしてるとか、ハルマゲドン(世界の終わり)が来る気配が無いから勝手に解釈をねじ曲げて先延ばしにした、とかきちんと考えればおかしい事が沢山あるのに見て見ぬ振りなのかそれとも自分達に都合良く考えるのか…。笑ったのがものみの塔が忌み嫌っているフリーメーソンに創業者のラッセルがメンバーとして関わっていた事実。寄付として会員達から吸い上げたお金でトップの人達は豪邸を買い、市場に投資し運用してる矛盾。これを信者達は皆知っているんだろうか?宗教ってマルチ商法と同じなんだ。どんどん信者を増やしていかないと成り立たない。トップに君臨する者達は間違いなくここを理解しているんだろうが、下々の人達は騙され真面目に布教活動をする…気の毒でならない…
宗教が存続するのはそれを必要とする人がいるからだが、それぞれ自分の宗教が一番優れていると信じていて他の宗教を排他しようとするが故宗教論争が起こるのだ。世界が平和になる為には自分が信じる宗教を皆が一斉のせで同時に捨てればいい、という発想はなるほどと思えた。
筆者の親族・友人を改心させる下りはロジカルで分かりやすくすかっとした。
ここまで詳しく信仰宗教の内情が描かれてる本を読んだ事なかった。おススメ。
Posted by ブクログ
とても真面目なノンフィクションですね。無宗教を絵に描いたような私ですけど、人々は何故に宗教にのめり込めるのか分からず幾つか関する本を読んだことはあるけれど当書はとても分かり易かった。JWの熱心な信者だった著者が曲折を経て脱退するのですが、真面目に宗教を考えている姿勢に共感を覚えました。暴露本でもなく興味本でもないので 読んで良かったと感じられました♪
Posted by ブクログ
幼少期からエホバの証人となっていた著者が、証人となった契機、組織のルール、いかにして脱退したかなどが具体的に書かれており、面白かった。
エホバの証人の矛盾点やカルトの特徴は非常に興味深かった。
Posted by ブクログ
時々巷を騒がすカルト宗教。
縁無いようでいて、実は日常に溶け込んでいる宗教(または宗教的なもの)。
カルトの定義は置いておいて、非常に興味深く読んだ。
そもそも、宗教に依る事が分からない。
何かの規範がないと立ち行かないのが分からない。
だから興味がある。
この本を読んで、宗教にガッシリ浸かっている生き方を垣間見た気がする。
アイデンティティにまで食い込んでしまうとは侮れない。
でも全て〝それ〟を軸に何年も暮らせば無理もないのか。