【感想・ネタバレ】僕が「プロ経営者」になれた理由--変革のリーダーは「情熱×戦略」のレビュー

あらすじ

HPとコンパックの統合を実行し、危機のダイエーを活性化させ、マイクロソフト日本法人の変革をリードした。そんな男が語る、自分と組織の「殻の破りかた」。
いまの職場にいても、息が詰まる。リーダーになって苦労するより、現状維持のほうがいい。市場で通用するキャリアを積まないと、将来が不安だ。自分の会社や業界の先が見えない--本書は、こんな不安を抱えるビジネスパーソンたちの背中を押してくれるはずだ。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

樋口氏の人生を振り返りつつ、経営について考える、熱い良著。
示唆多し。

メモ
・自分の大切な時間と人生を注いでいる仕事が自分にとって満たされたものにならない限り再生もない。マネジメントの根幹は従業員の生きがいをいかに創造するかにある。
・大規模な設備投資を必要とする産業や業態ではビジネスモデル崩壊時同業と合掌連合して再編するしかない。
・外資系企業の日本法人では日本的なウェットな関係性とアメリカナイズされたタフネゴシエイトと両方が必要になる。
・マネージャーはルーターのようなもの。
遅延するかすぐつながるか。
・上司の立場では失敗を恐れるなと発破をかけるならば、自分も絡んで連帯責任と言い切るくらいの度量がないと身にならない。上司が絡むからこそ、これ以上やると危ないの部分もわかる。
・戦略生と現場力を融合していくために、リーダーには自分の素のキャラクターでやる部分と演じる部分の両方がある。
・変革期のリーダーは目指すべきモデルを作っておかなければならない。現状と目標の差分は何か、俺が変えるためのドライバー、取り組みのポイントになっていく
・パッションの強さとフォーカスが戦略的に整理されていないと前に進まない。
・人を理解するだけでなく、自分も分かってもらえるような気質を育てる点が苦労する部分
・hpとコンパックの統合。クリーンルームとアダプトアンドゴー。ポリシーを柔軟に採用し、若手を中心に選ぶ。たすき掛けはいっさい許さない。 
・スタートダッシュが効かないようではm&aや合併に踏み切った意味はない。 
・企業文化の違いや不安を解消するにはどちらの会社の出身かの痕跡はすべてなくすのが即効的かつ最も重要な取り組みであるのを分かっていた。混乱を当たり前と受け止め、あいまいにせず真っ向からマネジメントの課題として取り組む。ドライというよりリアル。社内政治が入り込む余地を徹底的に排除する。
・トップはメッセージを煮詰め、確信を持って発信し、結果を出すまでは絶対にぶれないようにするという姿勢。
・メッセージを極限まで煮詰めてから相手に伝える。受け手が納得できるような言葉や表現を納得がいくまで探し続ける。首尾一貫したメッセージを熱い思いで語り続ける。何度も何度も相手が理解してくれるまでぶれずに伝える。
・経営リーダーとしての共通する思い。完全なる自由裁量のない中で社員にどのような夢を与え実績を創造するか
・今ある力をどのような点に集中していけば全く新しい力として発揮されるのかを示して実感させられるか。これが戦略の実行可能性を担保するということ。
・美しい戦略とは何か。参入障壁をどれだけ創り得ているか。自身の強さをどのように認識しているかと深く関わる。

0
2020年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

過去のお高く止まっていて馴染みにくい印象のあったマイクロソフトから、現在の馴染みやすい雰囲気のマイクロソフトに変革するに至ったのは、樋口さんの影響なのではと考え手にとった書籍。
ダイエー社長時代の再建からコンパック社長時代のHPとの合併、日本マイクロソフト社長時代までの実体験が記されている。
樋口さんは社長という職位にありながら現場や現場の社員を第一に考える現場主義者であり、またそのような方としっかりと会話や議論などのコミュニケーションを行う。結局はたらいているのはヒトであるため、そのヒトにフォーカスする必要があるという。そのため、それらのヒトを先頭に立って導けるようにビジョンを示して実行し、ダメな場合は責任をとるといった言葉にしたら普通だけれども実際に行うのは難しい様式が備わっているとひしひしと感じられる。
マイクロソフト変われたのは樋口さん以外にも要因がある。それはグローバルCEOであるサティア・ナデラ氏だ。ナデラ氏は、ビル・ゲイツ氏、スティーブ・パルマー氏といった成功してきた創業者のプロダクトや役員を否定することからはじめ、一部プロダクトのオープン化に舵をきることでまた成功をおさめている。成功体験のない企業は成長しない。しかし、企業の成長を阻み、改革を阻む要因もまた成功体験であるといったジレンマに屈さなかった格好である。
一方否定された側のゲイツ氏やパルマー氏についても否定されているのにも関わらずナデラ氏に口出しすることはしない。企業の成長のためを思う彼らの行動にも相当な倫理観がある。
日本マイクロソフトは外資系企業であるがゆえ、個人主義である。それが部門間の隔たりを生み、馴染みにくいという印象を与えていた。しかし、人事評価制度においても部門の垣根を越えた活動やチームとしての行動が評価されるよう変更されたこともあり、ワンチームとしてのマイクロソフトが実現されつつあるようだ。
ITリテラシーすなわちITを使いこなす力が経営者に求められるようになっている昨今において、その経営者の経営をITの側面から支えるパートナーとしてのワンチームであるマイクロソフトに今後も目が離せない。

0
2016年12月27日

「ビジネス・経済」ランキング