【感想・ネタバレ】ルポ 児童相談所 ──一時保護所から考える子ども支援のレビュー

あらすじ

児童相談所併設の一時保護所は、虐待を受けた子どもや家庭内で問題を起こした子どもらが一時的に保護される施設だが、「あそこは地獄だった」と証言する子供たちが多い。社会起業家である著者自ら一〇カ所の一時保護所を訪問、二つに住み込み、子供たち、親、職員ら一〇〇人以上のインタビューを実施。一時保護所の現状と課題点を浮かび上がらせ、どのように改善したらよいのか、一方的でない解決の方向性を探る。

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わかりやすかった。児童相談所にくる子たちは悪いことしたわけじゃないのになって思う。親の影響で子どもが理不尽に苦しむという構図は「カルトの子」で書かれていたことと同じように感じた。

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2021年10月06日

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ネタバレ

メモです

◯問題点
・児相の一極集中化
・多くの地域、特にコミュニティが弱って子どもを支える力が失われていることで、児相が子供とその親の問題を全て一手に抱えていること
→細かいケアができない、児相自体に外部の目が行き届かない

心理士は、子供の心理状態+安らかに過ごせる環境づくり

・学校との連携の重要さ、他機関との情報共有

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2019年11月08日

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多くの取材、それも内部からの視線であるのは納得しました。
学校の協力は重要とする。子どもが家庭の次に多くの時間を過ごしているのは学校であるから。これは説得力のある意見だ。

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2019年02月14日

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ネタバレ

著者は社会的養護下にある子どもの支援に取り組む非営利活動法人Living in Peace代表理事。児童相談所以上にその実態が知られていない一時保護所に焦点を当て、一時保護所経験者の声を集め、自ら施設に泊まり込みもしてまとめられている。貧困や虐待のデータを示した偏らない主張と行政等への具体的な提案に説得力。以下、備忘。
・一時保護所の処遇内容は地域差が大きく、元教護院など保護所の歴史が影響している。
・目を合わせてはいけない、私語禁止、私物不可、ルール違反に懲罰部屋等々極めて抑圧的な保護所も。一時保護所が耐えられず、虐待されても家庭復帰を選択する子どももいるなど、子どもの保護を第一にした場になっていない。
・鳥取県の取り組み。
・非行、被虐待、精神障害の3種類の子どもが処遇される管理上の難しさ。職員不足。
・処遇決定のフロー(大変参考になった)
・児相職員の訪問が家庭を追い詰めている?
・家庭支援と家庭介入を同時に児童相談所が担う矛盾。敵対しつつ支援は困難。アメリカでは第三者機関が保護決定をし、相談所は家庭支援に専念。
・児相の人事改革、児童福祉士の増員、児相に比べ一時保護所の職場内地位が低い現状の改善、児童相談所への外部監査。
・市区町村や地域との連携。大阪「こどもの里」、平塚の取り組み。

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2018年11月13日

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児童相談所についての雑多な役割について、一時保護所に焦点を当てて現状と課題解決の方向性を示している。職員だけでなく保護所にいた子どもたちからも丁寧に取材されている。以前実習したときの違和感に合点がいった。守られるべき子どもたちが厳しい規則で縛られている不合理さ。

良い一時保護所と悪い一時保護所、都道府県ごとの平均在所日数、子どもの貧困率と一人親家庭の子どもの貧困率など各国比較など図示。
フィンランドの教育改革の紹介、教育は投資という。

児童養護施設歴史上初となる海外大学留学輩出した鳥取こども学園。児童園こどもの里を題材とした映画は観てみたい。
なんでも児相に一極集中から流れを地域へ社会的養護の受け皿つくりの必要性についての仕組みつくりの提案がなされている。著者のNPO活動にも注目していきたい。

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2018年10月07日

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■一時保護を行う必要がある場合。
①緊急保護
・養護の必要があるケース。棄児,迷子,家でした子供など,保護者又は寝泊まりする場所がないために緊急にその子供を保護する必要がある場合。
・虐待等(ネグレクトを含む)のケース。そのような状況にある子供を家庭から一時的に引き離す必要がある場合。
・非行のケース。具体的には,子供の行動が事故又は他人の生命,身体,財産に危害を及ぼし若しくはその虞がある場合。
②行動観察
・児童相談所が子供の援助指針を定めるために,一時保護を通じて十分な行動観察,生活指導等を行う必要がある場合。
(例えば,里親での生活がうまくいかないと判断(不調という)さえた場合)
③短期入所指導
・子供にとって短期間の心理療法,カウンセリング,生活指導等が有効であると判断される場合であって,子供の性格,環境等の条件により,他の方法による援助が困難又は不適当であると判断される場合。
■一時保護される子供の親の状況を見ると貧困が連鎖する現状を痛感せずにはいられない。
・一時保護所にやってくる子供の親の年齢層は20~50代がほとんどで中卒の割合が3割,高卒は4割。大卒に至っては7.2%。
・現代日本においては学歴と就労状況には相関がある場合がほとんどであるが,一時保護された子供がいる家庭において親が失業中である場合は約4割と,全国平均の倍となっている。
・犯罪歴の持ち主は1割,精神疾患保有者は3割弱,何らかの依存症を有していると思われる人が1割以上と日本全体からすると特異な状況にある。
・7割の親のどちらかに離婚歴があり,生活保護受給率は2割以上。

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2018年06月23日

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児童相談所、一時保護所の実情を伝えています。子どもにとってはかわいそうですね。著者の言うように、児相と地域が一緒になって寄り添っていくのが理想だと思いますが、その根本にある、子どもの貧困連鎖を絶ちきりたいですね。教育が大事だってことですよ。

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2017年02月15日

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児童相談所の一時保護所の実態を、筆者が実際に過ごし、関係者にインタビューし、明らかになった一保による格差を目の当たりにした。年々増加する虐待件数、それ以上に保護される子どもも増加の一途を辿っているにも関わらず、増えない児相職員の数、繁忙感に駆られる職員の精神的疲弊、子どもへの苛立ち不十分なケア事情など、課題は山積み。都道府県でも格差、一保間でも格差があること自体問題であるし、心の傷を負った子どもをさらに追い込む現状はあってはならない。地域が児童擁護の役割を果たすことが重要とする筆者の考えは、至極ごもっともで、地域の住民が子どもを育てる思想を持つことが、親の負担を減らし、そもそも虐待を減らせる一因となるのではないかという考え方には強い共感を抱く。
自分が何ができるのか、何を残せるのか、見つめたい。

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2024年02月24日

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堺や明石の件
一方的な児相叩きをあおるような報道に疑問を感じて手に取りました

おおよそ、疑問に感じたことが本書によって、「そうだよなー」と納得できました
決して、どちらか側に偏らず、満遍なく取材をしている良書だと思います。

一時保護は躊躇いなくするのが良い。これは間違いない。子の命を守るために
その後に第三者機関で妥当性を早急に判断する
児相の人員の確保と、施設や里親への一時保護委託を増やすことが課題

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2021年03月10日

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親の虐待や貧困、犯罪などで面倒を見てもらえなくなった子どもたちは児童相談所が管理する「一時保護所」で保護されることになる。その名の通り一時保護であるが、身寄りのない子どもにとって、すがるべき施設であり、重要な教育の場でもある。その保護期間中に子どもの自宅や親戚宅、里親など受入先が決められる。

著者はいくつかの一時保護所を訪問し、時に宿泊もして、日本の一時保護所の実態と親と離れた子どもたちの生活について記す。

本書を読んで一時保護所の一番の問題点は子どもの人権を無視した運用だろう。1人の人間を隔離し、衣食住を制限し、その終了日も明確にされない。しかも、その強制力の法律的根拠も薄い。逆らわない子どもといえど、こんな扱いでは将来に影響するだろう。とはいえ、子どもを野放しにするわけにもいかないし、一時保護所の人員や予算は限られている。

著者はその解決案として一時保護委託を提案する。子どもを住む場所から遠く離れた一時保護所に送るのではなく、近隣の施設やボランティアなどに預けることだ。

そんなの性善説に頼りすぎている、シロウトに子どもを受け入れさせるのは危険、と批判するのは簡単だ。しかし、高齢化社会での貴重な子どもを守り、教育することは社会全体の義務だろう。何かあれば、児童相談所に責任をかぶせておく時代じゃない。

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2021年03月11日

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ネタバレ

Iさんの仕事を理解するために、というかIさんにいいとこ見せようとして借りたもの。こうやって仕事しながらNPO法人も立ち上げて、児童養護施設とか一時保護所とかにも泊まってみたりして、と行動力のある人は違う。前Mに言われた「行動できる人はもうやっている」的なことは今も耳が痛かった言葉として残っている。あれから私が始めたのはあしなが育英会の寄付だけだ。地域でみるなんてきれいごとな気がする。他人を信じることができるか、にかかっている。若い親世代も。そして、ここでも貧困問題は大きい。

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2017年07月30日

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貧困や虐待など子ども支援の中核である児童相談所。そこに併設されている一時保護所に取材を重ねて書かれたのが本書。

一時保護所での日常生活に驚かされる。通学はおろか外出はほとんどできない。食事や入浴、トイレも管理されている。今後の見通しや行き先がわからない状態で全国平均1ヶ月、中には1年以上生活している子どもたちもいるという。

最終章ではよりよい子ども支援について著者の見解が示されています。

ソーシャルワーカーはもちろん、教員やカウンセラーなど子どもに関わる仕事に就いている人、目指す人におすすめしたい1冊です。

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2017年05月05日

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講演会の講師となる慎氏の著作です。
本人がライフワークの一つとしている、子どもへの支援の観点から、綿密な取材によって児童相談所(一時保護所)の実態を紹介しています。

母子支援施設や児童養護施設などのほか里親などの社会的養護の下に入る前に、子どもたちが暮らすのが児童相談所に隣接している(ことが多い)「一時保護所」ですが、そこではさながら刑務所のように管理され抑圧されて暮らしている子どもが多く(もちろんすべての施設で、ではありませんが)、彼らがどのような暮らしをしているか、ということはあまり知られていません。

児童福祉の観点から、
・どのような問題があるのか
・その原因は何か
・解決のために何が必要か
の三点について、一般の読者にもわかりやすく解説されています。

私自身の立場から、すぐに生活を変えてこの社会的な課題の解決のためにできることはほとんどないかもしれません。それでも、こういった「問題がある」ということを知り、その解決のために何が必要かということを考えることは「大人」として必要なことだろうと感じます。

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2024年02月26日

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児童相談所がそんなひどい所だったとは……。もちろん、そんな場所ばかりではないことは、この本にも書いてあるし、日々頑張って働いている職員がたくさんいることも書いてある。けれども、ひどい場所ひどい職員がいることも事実だ。

家庭にも恵まれず、保護された場所にも恵まれず、そんな状況で育った子どもはどうなるのだろうか。

そこで働く人も言いたいことはいっぱいあると思う。本にも書かれていたが、児童相談所にはいろいろな子どもが来るので、優しくするだけでは管理できない面もあるだろう。だからといって、監獄のような生活でいいというわけではないだろう。

まずは、職員の増員が急務だ。

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2017年02月07日

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