【感想・ネタバレ】「火附盗賊改」の正体――幕府と盗賊の三百年戦争のレビュー

あらすじ

「火附盗賊改」と言えば、“鬼の長谷川平蔵”の名が挙がる。否、正確には長谷川平蔵の名しか挙がらない、とも言える。実際、彼らは町奉行に比べ日陰の立場にあった。だが、強盗・放火といった凶悪犯罪が多発した百万都市・江戸で、火附盗賊改ほど頼りにされた組織はなかった。謎多き存在感と相まって、町人はもちろん武士たちも、畏怖と同時に畏敬の念を抱いたという。本著では、凶悪な盗賊一味との対決を軸に、その誕生から変遷、彼らならではの捕り物、苛烈な詮議の様子、幕臣の中での位置づけ、人情味あふれる素顔まで、豊富な資料をもとに、旗本の中でも武闘派の猛者ぞろいだった火盗改の実像に迫る。【目次】はじめに/第一章 戦国の争乱から「徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」へ/第二章 最初の火附盗賊改/第三章 将軍吉宗の江戸/第四章 日本左衛門vs.徳山五兵衛/第五章 二人の長谷川平蔵/第六章 火附盗賊改の行く末/第七章 最後の火附盗賊改/おわりに

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Posted by ブクログ

書影についている帯はイカれているけど、本の中身は案外ちゃんとしていた。
江戸時代を通じた火附盗賊改の歴史的変遷と全体像がだいたい網羅されている。
戦国時代の名残りだった敗残浪人の野盗化への対応として始まり、幕末には不良旗本や討幕派が盗賊になったが幕府の力ではもはや対応できなくなっていることまで。
谷川平蔵宜以(鬼平)が長期間にわたって在任したのは松平定信との感情的な対立で出世を止められていたからいうのは「ああ、やっぱり」と思った。

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2019年11月15日

Posted by ブクログ

火付盗賊改といえば鬼平=長谷川平蔵くらいしか知らないが、本書は江戸初期から末期に至る歴史を、かいつまんで語ってくれる。

最近江戸時代を懐古する論調をしばしば見るが、本書を読むと、江戸時代の関東近辺は予想外に治安が悪かったことがわかる。

鬼平は確かに名火盗改であったようだが、鬼平に匹敵する存在もいた。ダメダメな人もいて、そこはいつの世でも同じらしい。

0
2016年12月15日

Posted by ブクログ

江戸の治安を担った一翼。

定まった役所もなく、まあ何つか、手当ちょっと出すさかい、やってんか、みたいな感じかと感じた。

特に、江戸期の最初は侍落ちというか、仕事にあぶれた人殺ししか手に技のない戦国の荒くれが山ほどいたので、その鎮圧に当てられた。
そう、捕縛とか吟味でなく、鎮圧。
ぶっちゃけ、切り捨てだな。
ので、優秀な戦闘部隊が当てられたわけだ。

萌える。
設立時の護廷十三隊みたいなイメージだわ。

時が降るに至って、分治派みたいな人達も出てくるようだが、中には気狂いみたいな、疑わしきは、疑わしくなくても拷問して死罪みたいな奴らもいたんだね。

いずれにしても江戸期通して、平和と言いながら、「犯罪」という面では特に地方はやばいままだったことが分かる。
刑罰も、どう殺すかにランクがあるみたいな。

なかなかに面白い一冊。

0
2024年11月21日

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