あらすじ
◆AIにも負けない知性をつくる!
・悩んでも混乱せず、問いから逃げない
・仕事の中に自己本位の要素を確保する
・「覚悟を決めた」学問は前頭葉を鍛える
・知の力でメンタルの悩みから解放される
・自分の力を信じるあり方から離れてみる
◆タフな知性は「生存戦略」として最も有効だ
知性とは困難や厳しい現実に直面したときに、その原因が何かを見極め、取りうる選択肢を探し対処する力に他ならない。つまり真の知性とは「生きる力」そのものだが、現代は知性に対するアンチとしての「反知性主義」が台頭したり、AI(人工知能)が今後人間の知能を凌駕するともいわれており、知性の力が改めて問われている。誰もが訓練により高められるものとしての知性を鍛え、普遍的な力を手に入れる。
◆AI(人工知能)、反知性主義の台頭……移ろう時代に〈本物のさびない知性〉を養う!
知性があれば、折れない、しがみつかない、動じない!
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Posted by ブクログ
知性の磨き方
著:齋藤 孝
SB新書 374
おもしろかった
イメージ豊かに知性ある人生を愉しむためのアドバイスを与えるのが本書である
知とは目に見えないものなので、知をイメージするためには、さまざまなたとえ(比喩)をつかえば、より分かりやすくなる。
知というか、肚のくくり方というかが、語られてもいます。
気になったのは、以下です。
・人は、正しく理解するからこそ正しく判断し、正しい行動ができるのであって、正しい理解に基づかない判断・行動をすると、誤った方向にしか進めない。理解に基づかない決めつけを、先入観という。
・芭蕉「不易を知らざれば基たちがたく、流行を知らざれば風新たならず」
時流とは関係のない普遍性を知らなければ俳句を読むことができないが、新らしいものを知らなければ凡作しか作れない
・好き嫌いではなく、相手を理解することから始まる関係は、時間がかかるかもしれないが、容易に崩れることはない
・悩んだ末に自力で探しあてること
・常に考え抜く
・牛のように押せ、泥くさく悪戦苦闘せよ
・悩んでも混乱せず、問いから逃げない
・再出発をいとわない
・人が合理性に欠く行動をとるときは、たいていその背後に、嫉妬や、保身の感情がうごめているものです
・福翁自伝 まず獣身を成して後に人心を養う
丈夫な体を育ててから、人の心を育てる
・知性は物事を整理し、心の恐れをも減らす
・葉隠:生きるか死ぬか、2つのうち1つを選ばなければならない局面では、迷うことなく死ぬほうに進むほうがいい、別に難しいことではない、腹を据えて進むだけのことだ
・仏教の本来の目的は、死の恐怖を乗り越えることにあるが、武士道とは、死を恐れないことから出発するもの、最初から死の恐怖を克服してしまっている
・日本人の「肚」
肚のない人とは、落ち着いた判断のできない人である
肚のない人はすぐ驚き、神経質である
肚のない人は、直線的で、頭が固く、目標がない
・胆力とは、自分の利害にこだわらないことである
・一燈を提げて、暗夜を往く。暗夜を憂ふる勿れ、只だ一燈を頼め
八方ふさがりで希望が見えないような状況でも、ただ1つの明かりがあれば、恐れる必要はない
・論語:知仁勇 知性(判断力)、仁(やさしさ、誠実さ)、勇気(行動力)
・西郷隆盛 啓天愛人 人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽くして人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし
・自分自身でものを考えられる。それが真に知性のある人です
・全体という大きな存在と一体化する。そのときに人間は幸福感を味わう。漢語で、梵我一如、という
・清濁併せ呑む
・知性的であるとは、判断がまちがっていたときに、それを修正していけるということです
・頭はいいかもしれないけれど、情が伝わらない人だと、一緒にいて楽しいとはならない
・和歌の枕詞、奈良時代には、すでに意味が分からなくなっていた。神にかかることばであり、儀式的な意味があることを人々が知っていたからこそ、今日にまで伝わった
・理解には2つある。分析的な理解と、直感的理解である
目次
はじめに
第1章 悩みぬくことで鍛えられる知性
第2章 激変する時代を切り拓く知性
第3章 肚、身体に宿る知性
第4章 自我を解き放つ知性
第5章 探求を続ける者から生まれ出る知性
おわりに
ISBN:9784797388787
出版社:SBクリエイティブ
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:800円(本体)
2017年01月15日初版第1刷発行
Posted by ブクログ
本物の知性とはどんなものなのだろう。私の場合、生きていく上での悩み、苦しみ、劣等感や卑屈さといったマイナスの側面を克服し、常に自分の中で確固とした安心と自信を持っているような、精神が成熟した大人になりたいと思っている。
それが日頃の読書習慣によって叶えられるのであれば、非常に手っ取り早い。この本では、日本において高い知性を持った人々の生きざまを紹介しながら、5つの知性のタイプについて解説している。それぞれ自分に気に入ったところを見つけて、知性のロールモデルとして参考にすれば良い。
もともと知性の高い民族であった日本人が、生活習慣の欧米化・近代化によって、知性を鍛える訓練を怠り、周囲からの評価ばかりを気にするような環境の中で、心の余裕を無くしていることは残念である。今や「マインドフルネス」を海外から取り入れるにまで、逆転してしまったのである。
私もわずかながら、心身が充足した状態を経験したことがある。本書でも弓道が取り上げられていたが、丹田呼吸の中で心身充足した瞬間である「会~離れ~残心」のような状態だろうか。もう弓道は長年やっていないが、あの「一定の呼吸テンポを維持しながら、高い集中力の中で自我を忘れるような感覚」を思い出した。
私の場合、弓道部時代の呼吸方法を思い出して、イライラした心を静め、1冊1冊書物に向き合えば、少しは知性を鍛えることができそうな気がした。
Posted by ブクログ
家の本棚にあったのですが、内容をほとんど忘れていたので再読しました。
はじめに
〇真の知性とは「生きる力」そのもの。
「知性」は必ずしも「知識」とは一致しない。
〇知性は訓練によって高めることができる能力。
訓練の第一歩は「理解すること」から。
〇知性を身に付けるうえでベストなのは、実在した人物たちの生き方、彼らの思考、思想をケースワーク的に学ぶこと。
第1章悩みぬくことで鍛えられる知性
約100年前、悩み抜いた第一級の知識人文豪・夏目漱石。
漱石は<自己本位>の境地に目覚める。
書物を一冊でも数多く、自分自身が考え自分の作品を書くための糧にする。
小説は作品として優れているほど問題や答えを提示しない。
第2章激変する時代を切り拓く知性
福沢諭吉は幕末から明治にかけての開明的日本人の代表。
近代を代表する偉大な知性の持ち主。
『福翁自伝』
大阪の「適塾」にて学ぶ・オランダ語・蘭学。
「目的のない勉強こそが尊い」
第3章肚、身体に宿る知性
『葉隠』仏教の本来的な目的は『死の恐怖』を乗り越えることにあるが、それに対して武士道は『死を恐れない』ことから出発するものなので最初から死の恐怖を克服してしまっている。
肚のある人は「心の中の弾力性があるので、その時々の状況に落ち着いて自分を整えて振舞える。与えられた状況下で何を為すべきか知っている人のことである」
「肚のできている人」の典型が西郷隆盛。
孔子『論語』
「知の人惑わず、仁の人は憂えず、勇の人は恐れない」
四位一体
「知情・意・体」
能・歌舞伎・日本舞踊などの文化芸能→「腰腹文化」
第4章自我を解き放つ知性
自分自身で物を考えられる。それが真に知性のある人です。
夏目漱石ー英文学
西田幾多郎ー哲学『善の研究』
田中角栄「清濁併せ吞む」知性の働き。
第5章探求する者がつかみ取る知性
実在感のある情報を得るために「生身の誰か」に会いに行く。
格好のモデル(民俗学の探究者)
柳田国男
折口信夫
南方熊楠
宮本常一
Posted by ブクログ
知性という能力を人生に活用したい人におすすめ。
【概要】
●知性とは何か、なぜ必要か
●知性を追求するスタイルを完成させるため、5つの知性のあり方を紹介
・夏目漱石:自己本位
・福澤諭吉:自己管理
・西郷隆盛:胆力
・西田幾太郎:知・情・意・体
・柳田国男:「常民」への視線、折口信夫:直感に基づく仮説
【感想】
●現代社会を生き抜いていくために必要不可欠な「知性」。問題の原因を見極め、対処する力である。
●「はじめに」で16頁が使われ、ここに「知性」を理解するためのエキスが多く詰まっている。知性を活かすために必要な考え方や習慣はとても役に立つ。
●どうすれば知性を高められるか、歴史上の人物の生き方を紹介し、わかりやすくまとめられている。自分の知性追求のスタイルを考える参考になった。
●教養があることで狭い視野を脱却する。歴史を知り思考の基本を身につけることで主体的な思考を確保する。本質的かつ具体的に思考する習慣は難しいが練習するしかない。
Posted by ブクログ
ふと、本棚にあるのを見て、読みたくなって読む。
今回の納得ポイント♪
P96
知性の力を身に付けた人間は、最終的にメンタルの問題から解放される
・・・・・
人間関係の悩みが絶えない人、あるいは何度転職してもうまくいかないなど挫折しがちな人に案外多いのが、身の回りで起きたことをすぐに自分のメンタルに引きうつしてしまう
・・・・・
「あの子は私が嫌いだから、あんなことをいったんだ」-
・・・・・
他人の言動を一つひとつ自分への評価と結びつけ、思い煩っていれば、心が痛んできます。
・・・・・
他人から何をいわれようと意に介さない感覚を体得してしまえば、心が傷つくことは確かにありません。
そのとうり!私に言ってますか?と、思いました。
Posted by ブクログ
未知の課題やフェイクニュースに物怖じしない自己を獲得するための指南書。
知性は困難な状況や現実に直面した時に威力を発揮する武器になるという。それは単なる知識で終わらず、分析力・課題解決力・行動力を伴うと説く。それらは訓練で高めることができ、その第一歩は先入観なく理解することから始まるようだ。
本書では、知性を鍛えるロールモデルとして、過去の偉人の生い立ちや考え方が紹介されている。詳細は本書を読んで頂くとして、章順に簡単に紹介する。1)異国で自国の問題を悩み抜いた夏目漱石。2)熾烈な競争を経て変化を切り開いた福沢諭吉。3)自身に克ち覚悟を決めて行動した西郷隆盛。4)自己矛盾的に物事を捉えて全体を俯瞰した西田幾多郎。5)物事を探求することで新たな道を作った柳田國男と折口信夫。個人的には、いずれも極限状態を耐え抜いて光明を見つけて生き方に思え、中々真似できるものではなさそうだ。
結章では、知性を鍛えるためのコツも紹介されている。まずは本質的か?具体的か?を意識して思考すると良いという。また、予測すること、中庸であること(極端は悪例が多いため)も大切だという。流されず、深く豊かな地下水を肚に蓄えた状態が知性を持つ人物のイメージのようだ。
Posted by ブクログ
◎要点
① 真に知的な人間は、感情を介在させずに物事へ対処できる。
② 仕事でのストレス軽減には、自己本位の要素を確保することが重要。
③ 「喜怒色に顕さず」――他人の評価に動じない心構えが知性の基本。
◎印象に残った言葉
「知性の力を身につけた人間は、メンタルの問題から解放される」
「職業は他人本位であっても、自己本位の要素を忘れるな」
◎学びと行動
・職場で起きたことを引きずらず、「喜怒色に顕さず」を実践する。
・自分の軸を保つ“自己本位”な時間を日常に確保する。
感情よりも思考で生きる。
真の知性を鍛えるための実践書でした。
Posted by ブクログ
「知性とは知識ではない」
齋藤孝先生の本で自分が読んだものはこれで二冊目となるが、この人の新書は、「圧倒的な読書量に裏打ちされた知識の共有」という感じである。基本的に偉人や著名人の自叙伝などから話を広げていくことで分かりやすい説明を試みている。筆者の主張と言うよりは、偉人の自叙伝からの自己啓発の内容が多いように感じる。しかし齋藤孝先生なりの知識の蓄え方、学者なりの考え方感じ方が、自分とこうも違うのかと驚かされた本ではある。
Posted by ブクログ
『知性の磨き方』 斉藤孝著
夏目漱石
「どんな犠牲を払っても、ああ、、、ここだ!
まで掘り下げること。」
彼が文学で取り戻したかった世界への執着。
福沢諭吉
「他人の能力を羨まない。喜怒色に顕さず。」
自分が為すことは何か?
羨むまえに、まず、己を磨く。
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斉藤さんは福沢諭吉や夏目漱石に関する作品も執筆もされいます。
この著書では、斉藤さんの関心、研究の対象の方の生き方ならびに考え方を知ることができます。
「知性とは、困難な状況に直面したとき、原因を特定し、解決方法を選択し、行動をすること。そして、検証し、補正すること。」
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亡くなった知の巨人と言われた立花隆さんがインタビューで、
「知らないことが何なのか?勉強することでわかってくる。境い目。ひとと猿。地球と宇宙とか、、、。」
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なぜ、読書するのか?いや、したいのか?
小説にしろ、ビジネス書にしろ、知らない世界を知ることができるからなのかもしれない。
そして、ひょんな偶然から、リアルの世界の何かと結びついた時の「あー、そうなんだ」が面白いからなのかもしれない。
Posted by ブクログ
齋藤孝が主に近代の知識人をベースに、知性を磨くにはどうすれば良いかを説いた一冊。
夏目漱石、福澤諭吉、西郷隆盛、西田幾多郎、柳田国男、折口信夫などの言動をもとに書いてるので、説得力があった。
Posted by ブクログ
偉人たちの生き方、思想を現代に生きる私たちが参考にできるようわかりやすく紹介されている。知性を身につけることを、大人になることとしての目標にしたい。
Posted by ブクログ
参考になった。
斎藤孝さんの本は、文豪の本を紹介する内容が多いが、それが良い。本が読みたくなる。
夏目漱石、西郷隆盛、福沢諭吉。それぞれ偉人として名高いが、今まで知らなかったエピソード、視点で参考になった。
Posted by ブクログ
同僚に薦められて読みました。
齋藤孝さんの本は読みやすく好きです。
ただ、今読むタイミングではなかったようで、今回はなかなか読み進められませんでした。
いいタイミングで改めて読み直したい1冊でした