あらすじ
チベット僧の転生相続制を20年にわたり取材……
1990年チベット密教の大本山ギュメにおいて、ロプサン・ガワン師(1937‐2009)について密教を学び始めた日本人、平岡宏一氏(現・清風学園校長)は、師を看取り、2014年、恩師の「生まれ変わり」とインドのガンデン大僧院で再会した。
この貴重な場面にも同行した著者が、20年にわたる関係各位への取材、清風学園に所蔵されている記録映像、チベット語史料に基づき、ダライ・ラマ法王を頂点としたチベットの僧院社会の構造、高僧が死後も生まれ変わり、施主や弟子の下に戻って教えを継承する転生相続を明らかにした書。
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Posted by ブクログ
中国共産党がなぜチベット仏教に介入しようとするのだろう。ダライ・ラマ14世の生まれ変わりを中国が勝手に見つけ、15世の座にしようとしているらしいが笑止千万で滑稽きまわりない。この本は、もちろんダライ・ラマ14世について書かれているが、もう一つの筋は、14世の弟子のロプサン・ガワンと清風学園の平岡宏一との物語だ。平岡はガワンの師となるのだが、ガワンが癌になってこの世を去ってしまう。高僧だったので生まれ変わりを探すことが許され、ネパールに住む3歳の子どもが生まれ変わりとなって育て始められたところまで描かれている。私たちが住むこの俗世間とはまったく違う世界があることを教えられた。