【感想・ネタバレ】その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か?のレビュー

あらすじ

「当社にはエンジニアが必要だ!」といっても、良い人材が見つからない。なんとか採用できても、成果が出ず、解雇もしくは配置転換せざるをえない状況に――そんな悲劇があちこちで起こるのはなぜか?2万名に近いエンジニアの職務経歴書を読み、エンジニア採用の責任者として年間700人以上の正社員雇用の最終決裁を判断し、約500社の経営陣と面接してきた著者が、エンジニア採用がうまくいかない原因、良いエンジニアを採用するための方法、エンジニアに活躍してもらうための仕組みの作り方を教えます。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

エンジニアの採用及び入社後のキャリアについて、経営者、人事部門、人材サービス会社、エンジニアの観点で言及している書籍。特に採用基準と選考基準のミスマッチや入社後の処遇が経営者、エンジニアの双方に不幸をまねくという。
日本におけるエンジニアは、オフショアの人件費の安いエンジニアとのコスト競争を強いられており、比較的給与水準が低く設定されている。また、経験や実績がものを言う他の職種とは異なり、エンジニアのパフォーマンスはコーディング力等の年齢とは関連の低い能力により量られることから、年功序列型の評価・報酬制度では上手くいかないことが多い。そのため、20代後半から30代前半に賃金カーブのピークが来るようにすべきと筆者は主張する。また教育研修にも投資し、エンジニアがより上流工程に従事できるよう努めるべきであるとも主張している。これはもちろんエッジの利いたエンジニアとして生きるのであればそれでいいが、大部分のエンジニアは最終的には人を使う立場であるPM等に転身していかなければ立ち行かなくなることを示唆していると感じる。
また筆者は、エンジニアになっている方の多くは人生全体の観点から自身のキャリアを見通してエンジニア職を選択しているのではないということを課題として挙げている。例えば医者の場合、大学で医学部に入学するために中学頃から医学部入学を意識して勉強を行う。一方でエンジニアに対して、いつからエンジニアを志望したのかと質問すると、たいてい就職活動をはじめた段階で理系だから志望したという回答が返ってくるという。元のスタートが遅い方が多いため、高専等のエンジニアに特化した進路を進んできた方と比較した場合に、その能力の低さが浮き彫りになりやすいという。
さらにエンジニアの方にエンジニアを志望した理由を問うと、好きだからといった”興味”に関する回答が多いという。これは銀行に就職する文系に対して理由を訊ねた場合と大きく異なるという。文系はたいてい給料や安定といった"労働"や"対価"という側面の回答が多い。以上からエンジニアは興味を失った場所から離れる、すなわち転職を志望し、不幸なループを繰り返していくことが多いのだという。
最近では人材サービス会社を活用せず、企業や経営者に直接応募する転職希望者が増えているという。これも技術が進歩し、より円滑に情報を共有できるように世の中が進歩してきているからではなかろうか。今後もよりよい世界にしていくために幸せなエンジニアを増やしていく必要があると感じた。

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2016年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半は、採用失敗あるあるを
- 経営陣
- 人事担当
- エンジニア
の観点から、後半はどうやったら良いエンジニアを採用できるか、という点について言及している。
前半の採用失敗あるあるは、割と古くから言われていることかなあ、と思いつつ、改めて再確認。
(例えば、経営陣がそもそもリテラシーがないのに採用する、とか人事部門が募集要項をかけない、とか)
自分として真新しかったのは、エンジニアの観点で、そもそも、転職する際にエンジニア職以外を希望する人が多い、という点だ。(主に今までの職場が劣悪な環境だったことによる)

後半のじゃあどうやったらいいエンジニアを採用できるのか、という観点に関しては、少しものたりない気がしている。
おそらくこの、じゃあどうやって、という部分は読者がとても気になる点である気がしているのだが、結局記載されているものを実践できる企業は限られているだろうな、というのと、あとは割とよく知られているパターン。
例えば、採用ルートに関しては、いいエンジニアが通常の採用ルートではなく、SNSやら、知人を通じた採用が多い、というのはweb界隈では割とよく知られている。
つまるところ
- ユニークなビジネスをやっている
- 技術的に成長できる環境である
- 報酬が良い
というところに集約されるので、結局この本を通じて対策を講じることができる企業は相当限られる気がしている。
また、蛇足で少し気になったのが、アンケートの取り方だ。
いくつかアンケートを取った、と書いてあるのだが、実際にどのような質でどの程度の量のデータをもとにアンケートを取った、と言っているのかは謎なので、そこは注意したほうがよい気がした。

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2016年12月06日

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