あらすじ
「明るいニヒリズム」の哲学者が「誰の役にもたたず、人々を絶望させ、あらゆる価値をなぎたおす」ニーチェに挑む。生の無意味さと人間の醜さの彼方に肯定を見出す真に過酷なニーチェ入門の決定版。
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Posted by ブクログ
ニーチェらしくニーチェを読み説くという感じ。ビジネス書的な限定的なニュアンスではないし提議を巡る専門的な話でもない。生き方そのものを問うような感じ。いい本だと思う。
Posted by ブクログ
ニーチェなんかに興味がある人ってどんな人なのだろう? とふと私は思ってしまいます。なんか、なんて言い方をすると申し訳ないけど。
私は一応哲学専攻だったこともあり、「俺はニーチェやるから」とか言っているパイセンも近くに居たりして、すこーしかじったり(まじでbitっていうくらい少し)したことが有るので、雰囲気は知っていました。
ただ、それ以外の方だと何だろ?読む理由は何だろう?
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人生に絶望した人とか、世の中へ怒りを燃やしている人? あるいはそういう絶望とか怒りとかを感じてみたい、知りたい人とか? あるいはあれか、日本でいうと太宰治の『人間失格』を読んでみたいみたいな感じなのでしょうか?
まあ、それなら分かる気もします。どん底に暗い人がどういう文章を書くのか、すこし気になる気もします。
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さて本作ですが、カントやニーチェの研究で知られている中島義道元電通大教授による、ニーチェ解説本です。
タイトルにある通りですが、ただひたすら苛烈で暗く、どんよりとしたニーチェのパッセージの数々を辿ります。
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先ほど偉そうに哲学専攻と抜かしましたが、私、ニーチェは翻訳も原典も殆ど当たっていません。
ですので、この解説本で読んだことがすべて。検証や確認とかゼロの状態で書いています。
その状況でニーチェを語ると、こんなことが述べられています。
・キリスト教は、使徒パウロが基礎づけてきた宗教的まやかし。
・そもそも神なんかいなく(『神は死んだ』)、人は死んだら無になるだけ。
・絶対性などは存在せず、新しい「神」があったとしてもまやかし。絶望せよ
・この世に誠実に絶望し、この世の建付けを周囲に誠実に知らしめるべし。仮に迫害でもされようものなら、むしろこれこそ喜びの極みの処遇である。
これらの主張に加え、中島氏の個人的口撃・不満も一部述べられます笑
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で、これでどうなの? ニーチェの到来で西洋社会に何か影響があったのか?というと、良く分かりません。
中島氏が盛んに述べられているように「西洋文化も分からんでニーチェを知った顔をすんなよ」みたいな話をされていましたが、その点で私は頭に「???」が浮かびっぱなし。そもそも西洋文化とかも分からんし。
ただ、ニーチェの厭世観は仏教の無常観と似ているように思い、チベット仏教徒に生まれたら立派な修行僧になれたのにな、と思いました。
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ということでニーチェの解説本でした。
私の精神状態が安定している?のか、何だか全く共感を得るところがありませんでした。(中島氏のそれではなくニーチェのパッセージ)。
どうにもニーチェは、「俺は裏切られた」とか騒いで一人で逆ギレしているような大人に見えてしまいます。。。。きっと、読みが甘いのですね。
なお、解説を香川リカさんが書かれていますが、これがまた、こういう曰くコメントしがたい内容の本を精神病理分析に引きつけて、かつ中島氏の人柄にも触れつつ上手にまとめていました。
何ならその解説の妙こそが一番印象深かったといっても過言ではないかもしれません。