あらすじ
『砂の器』『飢餓海峡』に匹敵する平成の社会派ミステリの一大傑作、登場!
仕事中に大骨折した日読テレビのディレクター広川英樹は、リハビリの苦しさと恋人を失った寂しさから一人暮らしの自宅に風俗嬢リョウを呼んだ。単なるサービスを超えた彼女の優しさに広川は恋愛感情を持ってしまう。リョウが去った部屋には「建築家・加賀雄二郎」の名前と住所が記した紙片が落ちていた。ほどなくして報道される加賀の殺害事件。死因は正体不明の毒物による中毒死だった。広川はリョウの犯行を疑い、再び連絡を取ろうと試みるが、すでにリョウは風俗店を辞め沖縄に飛んでいた。そして、すぐさま起こる東京白金台の児童公園での四人の子供の毒殺事件。続いて今度は大阪の公園でも三人の子供と一人の親が殺害された。どれも同じ毒物による無差別大量殺人だった。犯人はリョウなのか? 彼女はどこにいるのか? そして動機は? リョウの怒濤の告白で疾駆する慟哭と驚愕のラストシーン!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても考えさせられるミステリだった。沖縄問題。
実際にこういう人もいるんじゃないかな。小説の中でなら主張しやすいのかも。
でも結局水貴の産んだ子が黒人だったってことは子供の父親は大城くんではなかったってこと?
Posted by ブクログ
あり得ないだろ!って突っ込みどころ満載の話だったが、スゴく力の入った作品。知らなかった沖縄の姿を思い知らされたような気がした。
でも、☆は3つかなと思っていたラスト、頭を殴りつけられたようなまさかの衝撃な事実が!
いやぁ、参った。ちょっと贅沢な本かも。
Posted by ブクログ
沖縄が過去から現在に至るまで抱える苦悩から生まれたマジムンたちが始めてしまった悲しい犯罪。ラスト数ページで新たにわかるどんでん返しが意外で、そう自分を偽らざるを得なかった彼女の気持ちに色々と考えさせられた。
Posted by ブクログ
駆け出しのテレビマンである広川は、取材中に怪我をして療養中、二年前に利用したデリヘル嬢と偶然再会する。たちまちに彼女に恋をしてしまったが、彼女からは会えるのはこれが最後と言われてしまい、実際に彼女は仕事を辞めてしまった。焦がれるあまりに彼女の周辺や経歴を調べていくうちに、有名な建築家が毒殺される事件が起き、時を開けず公園で遊んだ子ども達もまた毒によって死亡する事件が起きる。彼女と事件に妙な繋がりを感じ、焦燥感にかられながら調査を続けるが……。
カバーとタイトルからは全く想定してないストーリーだったのでなかなか衝撃だった。沖縄の米軍基地問題にこんなふうに触れることになるとは。ほんとうにドキュメンタリーのようなタッチの文体だったこともあって、まるで本当にあった事件のように感じてしまった。でも同じ悲しみが実際にどこかにあるのかもしれない。基地とともに暮らす人々のことを、確かに遠いところの話として認識してしまっている現状を恥じた。ただそれはそれとして、前半は丁寧すぎてスキップしてしまったぞ。