あらすじ
日本語文法を理解するには、日本語の起源から問いなおさねばならない。日本語の発展史に即した文法理論が必要であり、西洋語の文法を日本語に当てはめた現在の学校文法に代えて、新たな文法体系を打ち立てねばならないのだ。現在を示す「あり」(r)、過去の「き」(k)、推量の「む」(m)、形容の「あし」(s)の組み合わせで成り立つ時の助動辞をはじめ、日本語の隠れた構造を明らかにし、豊富な古文の実例をもとに、日本語文法の本質に迫る。まったく新しい理論体系。
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Posted by ブクログ
古文の助動詞(本書では敢えて「助動辞」という名称を使う)を覚えるのに悩まされた自分としては、高校の時このような本に出会えていたらと思った。
助動詞の成り立ちについて、言葉の深層に迫り、解説してくれる。動詞「あり」が助動辞の成り立ちの根源であることがわかる。
例えば、「き(過去)+あり」から「けり」へ、「つ(完了)+あり」から「たり」へつながるなど、助動辞の成り立ちを考えることで、言葉が立体的に見えてくる。著者は「krsm立体」として、「き(過去)」、「り(現存)」、「し(形容)」、「む(推量)」という助動辞の核となる要素の組み合わせから、文法体系を考える。
現在の橋本文法を規範とした学校文法だけは言葉の芯に迫ることはできない。先人が「あり」を元にして、助動辞を作り上げていった思考を辿ることは無駄ではないはずだ。
無機質に「助動詞」を通り一辺倒に対応する意味だけで捉えることだけではもったいない。藤井文法の視点で血が通った言葉として捉えることで、あらためて先人が日本語を作り上げてきた英知の深さに恐れ入るばかりである。