【感想・ネタバレ】モテる構造 ──男と女の社会学のレビュー

あらすじ

女は女らしく、男は男らしく──。旧態依然とした価値観だが、どっこい今も生き残っている。どうしてなのだろうか? 性別の「らしさ規範」(女らしさ・男らしさ)が社会から消えないのは、どういう相手を性愛の対象として好きになるかという、人間の「感情」に固く結びつけられているからだ。しかも面倒なことに、性別規範は男女非対称にできている。だから「できる女はモテる」ということにはならない。本書では、社会的な性別機能の身も蓋もない現実を、透徹した視線で分析。男女それぞれの生き難さのカラクリを解剖し、社会構造変化の中でそれがどう変わりうるのかを俯瞰する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

女性が男性的な行動を起こすことは許容されるのに対し、男性が女性的な行動を取ることは奇妙な目でみられるという非対象性の謎を、仕事能力に関するアイデンティティ(=「できること」)と性的魅力に関するアイデンティティ(=「もてること」)から考察した本。
男女の性自認の形成の在り方を、近代社会において子育てに関わるのは‘母親(女性)’であり、子供は母親と同じか否かという点において性自認を身に付けるという観点がとても面白かった。実際に子供が接する大人は圧倒的に女性が多いという現実において、フロイトの理論よりもよほど筋が通っていると思う。
また、女性らしさ/男性らしさというステレオタイプが消えきれないのは、女性らしさ/男性らしさというものが存在しているからこそ、それを真似るだけで性自認が容易になるからだという指摘も面白い。単純に女性らしさや男性らしさという概念を消してしまうのではなく、女性らしく/男性らしくありたいと望む人と、そんなジェンダー規範から脱却したいと望んでいる人が互いに認め合える世の中になっていければいいと思う。

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2017年01月31日

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