あらすじ
「沖縄に移り住んでもう二十年になる。生まれた子が成人するほどの歳月が流れているというのに、いまだ住み慣れず、酒の力でも借りないと物言えぬところがあるのは、僕と沖縄の間にくろぐろとした何ものかが横たわっている何よりの証左といっていい。その「何ものか」を明らかにしていくのがこの本の主題である」(プロローグより)。「沖縄ブーム」「沖縄問題」と軌を一にしてきた著者が〈遺言〉として綴る、素顔の沖縄。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
沖縄から失われていく文化、原風景、緑、そんで信仰。
沖縄が好きで沖縄に誇りを持ってるはずの僕らは意外と何もしらなくて、そもそもここでいう「沖縄」って何だろう。簡単に括れないほどの色んな沖縄があって、でも全部が沖縄の問題で。
基地も安保も離島苦も御嶽も。
もうちょっと偉そうに語れるように考えよう。
それすらありきたりだけど。
Posted by ブクログ
大阪生まれの沖縄人二世である著者の仲村氏は1996年に那覇に移住する。「沖縄ブーム」の走り頃であり、著者が描いた著作はブームにのり人気作品となる。しかし、その裏では米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しなどと反基地運動が高まりをみせる。そして普天間基地返還、辺野古移設へと基地問題が動き出す。そんな20年間にいったい沖縄で何が起きていたのか?考える一冊。
Posted by ブクログ
沖縄の基地問題はかつての鳩山首相の「最低でも県外」という言葉以降、よりクローズアップされるようになった。県土の多くを外国軍隊の基地が占め、時に不良兵士による事件が起こる。沖縄が最重要問題として解決に努力するのは当然だ。
しかし、沖縄、特に現在の知事の対応を見ていると、もうちょっとうまいやり方があるのではと、思ってしまう。反政府発言ばかりじゃなく、政府をおだてて、補助金をもらい、それを県民の福祉や教育、就業率向上に充てるとか。原発やゴミ処理施設の誘致と同じように考えることもアリなのでは。そんな考えは本土の失礼極まりない勝手な妄想なのだろうか。
本書の著者は本土で生まれ育った後、1996年より沖縄移住。客観的でバランスのある沖縄論を展開する。結局、沖縄の共同体が狭く、それぞれが違う意見をあげにくいことが一番の問題だ。最優先は基地問題で、どんな問題も基地のせいにされ、それを反論する雰囲気も作られない。教育や福祉、少子高齢、雇用、経済よりも「基地」となってしまう。
沖縄問題解決の 一案として、「基地だけの沖縄」から脱却することも検討すべきでは。