あらすじ
介護の人材が逃げていく――。2000年4月、介護保険法の施行によって“介護の社会化”が実現し、高齢者介護が家の暗闇から、社会という公の場に引き出された……はずだった。しかし、それから7年がたち、「社会全体で介護を支える」という介護保険の理念は、早くも崩壊しつつある。介護の社会化を支えるための人材、介護の担い手たちが、職場から急速に逃げ出しはじめたのである。離職率は20パーセント超。その事実に焦点を当てたのが、2007年(平成19年)3月11日日曜日、午後9時から9時45分まで放送されたNHKスペシャル『介護の人材が逃げていく』だった。(プロローグより)
本書では、番組をふまえて介護の人材に焦点を当てながら、なぜこのような事態に至ってしまったのかを探っていく。介護保険とはそもそもどのような制度なのか、そのどこが問題なのか、そして私たちは何を目指せばよいのかを、インタビューに応じてくれた多くの人々の言葉から、介護の現状を浮き彫りにする。
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Posted by ブクログ
介護制度の現状を、様々な当事者の声を交えながら、うまく整理して提示している。いかにもNHK。さすがNHK。第2章1節で、これまでの高齢者福祉の流れがまとめられているが、これが簡にして要を得ている。また、コムスン事件やくすのきの郷事件についても、簡潔ながら事件に至る事情がよくわかった。10年以上前の番組であり本でもあるのだが、ぜひ同じテーマで最新の状況を番組化・書籍化してほしい。
Posted by ブクログ
介護の仕事が好きで続けたいと思っていても、今の介護保険制度では低給与で生活が成り立たず、男性が“結婚退職”する現状。一方、介護保険導入前には、介護疲れによる家庭内殺人は報道すらされなかったとの指摘も。
Posted by ブクログ
【読書その116】平成19年3月に放送されたNHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」を書籍化した本。自分自身が仕事で担当する分野も多く、一気に読み切る。理解できるところ、できないところがあるが、しっかりとしたエビデンスを調べながら自分の中で消化したい。立場は違えど想いはみんな同じだと思う。それにしても、自分が今の場所にいることの重さを痛感する。一方で、その幸せを噛みしめる。今まで以上に頑張らないといけないと気持ちを新たにする。