【感想・ネタバレ】思い出す事など 他七篇のレビュー

あらすじ

明治四十三年の盛夏、漱石は保養さきの修善寺温泉で胃潰瘍の悪化から「大きな動物の肝の如き」血塊を吐いて人事不省におちいった。辛くも生還しえた悦びをかみしめつつこの大患前後の体験と思索を記録したのが表題作である。他に二葉亭四迷・正岡子規との交友記など七篇。どの一篇も読む者の胸に切々と迫って来る。 (解説 竹盛天雄)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大病で生死をさ迷ったにも関わらず
やはりひょうひょうとした漱石らしい記述で
その時々の思いを写したエッセイ。

しかしその醒めた語り口のなかにも
生き返った自分と、戻らなかった隣室の患者を比べ
生死の不可思議に考えをめぐらせたり
療養によって今までの日常生活を離れてみたからこそ
解る人とのつながりに感動したり
生きて帰って来れたことに、素直に安堵したり…
漱石の人間らしい暖かな気持ちがにじみ出ている。

べたべたと飾り立てず、淡々と、しかしリアルに
生と死をとらえたエッセイとして
非常に面白く、心を打つ作品だった。

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2011年11月17日

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