あらすじ
季節は夏。昼下がりの林道は家に続いている。歩きながら(事故だわ!)ふいにそう思った。なにかが変。事故に遭ったって思うんだけど、頭がぼやけてて何も思い出せない。気がついたら、ここ歩いてるんだもの。あたしいま何着てるんだろう。わからないから下を見た。体がない! あたしは生垣を通り抜け、ドアを通り抜けて家のなかに入った。宙に浮きながら。部屋じゃ、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのけんか。誰もあたしのこと気づきゃしない。あたし、幽霊になっちゃったんだ……でも、なぜ? 現代英国を代表する著者が贈る、おかしくてほろ苦くも暖かい時空を超えた物語。
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Posted by ブクログ
私は幽霊になっちゃった。足元も見ても何も見えない。ここはどこだろう?私は誰なの?ようやく自分は四人姉妹の誰かだろうと見当がついたが、そのうちの誰かが分からない。カート、イモジェン、フェネラがいる。サリーがいない。私はサリー?そして、死んでしまったの?それにしては、誰も心配していないのは何故?幽霊となって七年前の当時に戻って過去を変えようと奮闘する。
Posted by ブクログ
気がついたら自分の体が透けていて、自分のことがなぜか思い出せなかったらどうしよう?個性豊かな4人姉妹が体験した現代と過去を行き来する人情ファンタジー。
今までのダイアナ・ウィン・ジョーンズの物語とは違い、主人公は最初自分が何者であるかがわからない。寄宿学校やその隣の建物で暮らしていることや、寝起きのうるさいカート、夢見がちで泣き虫なイモジェン、大声の持ち主のフェネラなど個性豊かな姉妹と、放任主義だが娘のしつけに厳しいぬしと呼ばれる父親や、同じく放任主義で優しくはあるものの子供に関心を払わない母親のことなどを思い出していく。
子供たちがいたずらに信仰していたモニガンなる女神が七年後に命を狙いにくるなど、何やら物騒なことも挟みつつ、最後の最後になるまで主人公が誰なのかが分からない。現実社会では主人公は寄宿学校の男子生徒に車から突き落とされて死にかけているし、その男子生徒は結局命を落としてしまう。後味としては少しよくないが、子供のころにしていた馬鹿げた遊びや、自分だけが取り柄がないような気がして馬鹿なことをしてしまうことや、親の言いなりになってしまうようなこと。そんな若かった時代を思い出させてくれた。