あらすじ
あの人は資本主義をやり直そうとしている!
新国立競技場の工事現場で働く中谷は、不思議な老人と出会う。老人はいかにも肉体労働には向いておらず、仕事をクビになるが、現場を去る直前、翌日の競馬の大穴馬券を中谷に託していた。老人が姿を消した直後、工事現場では爆破事件が起こり、翌日馬券は見事的中する。
5000万円の現金を手にした中谷の前に、再び老人が現れ、彼が開発した市場予測システム「エアー」の代理人として、日本政府との交渉窓口となるよう、中谷は依頼される。
「エアー」は世の中に渦巻く人間の感情を数値化して、完璧な市場予測を可能にするシステムで、それは政府が握るビッグデータと結びつくことで、国家の予算を潤すほどの巨額な利益をもたらすものだった。
謎の老人の代理人として、政治家や官僚たちと交渉を重ねる中谷だったが、「エアー」供与する見返りとして、福島の帰還困難地域を経済自由区として、自分たちに運営を任せるという要求を突きつけるのだった。
現代日本が直面する難題をつまびらかにし、圧倒的なスケールで描く近未来経済サスペンス小説。
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Posted by ブクログ
内容は現在の日本におけるパラレルワールドのようなもので、この作品内でも国が抱える問題や予定されている行事が行われていく。
ちょうど2020年のオリンピック前後を舞台としているので、まさに今読むべき作品だと思う。
エアー2.0の世界ではコロナは流行らないが、もっと大変なことが起こり始める。そして面白いことが。
とにかく登場人物の描き方が素晴らしく、中谷やおっさんの掛け合いをもっと見ていたかったし、市川という女性がどんな容姿をしているのか非常に気になる。
作者によると続編エアー3.0の執筆も考えているようで、出版されたら誰よりも先に買って読もうと思う。