【感想・ネタバレ】ほんとうの敬語のレビュー

あらすじ

日本語にとって敬語は不可欠である。私たちの日常は、まるごと「敬語生活」だといっても過言ではない。ところが戦後、国際交流や民主平等の名のもと、日本語に敬語は不要だという誤った議論が大いに幅をきかせた。国語学者たちの小むずかしい理論や分析によって、敬語は難解で扱いづらい言葉になってしまったのである。本書は定評ある「ハギノ式」と呼ばれる手法で敬語のしくみを根本から解説。「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」「上下関係」の四要素を軸にすえた「ハギノ式敬語しくみ図」で、誰もが正しい敬語を使いこなせるようになる。「敬語」の参考書はこれ一冊で十分! 「です・ます」体で話すことができれば敬語は半分合格? 「れる・られる」は使わないほうがいい? 「猫に餌をあげる」はよくない? 上司に「ご苦労さまでした」と言ったらまずい? 「お手紙を差しあげる」は間違い? など役立つ具体例も豊富だ。

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Posted by ブクログ

 タイトルが示しているように本書は敬語法の通念を批判し、自らハギノ式と称する敬語理論を紹介したものである。ハギノ式は敬語の使用を、その場にいる人々の間の「伝達」と、「話題」として登場する人間関係の2局面に分けているのが特徴である。
 敬語の種類として尊敬語・謙譲語・丁寧語に分類するのは通説と同じだが、それぞれの定義を「話し手がだれか自分より上位の人、目上の人を話題とするとき、その目上の人ものや動作を表現するときに使う敬語」とし、謙譲語は「発言の中で話題となった人物同士の間に上下関係がある場合に、その関係を表現するのに使う敬語」として、「話題」という枠組みを分類の前面に出している。そして丁寧語を「話し相手、聞き手に対して直接敬意を表現する言葉」として、話題という枠組みに入らないものとして区別する。
 この考えだと、話し手が目上の人に対して敬意を払っている場合の扱いが問題になるが、それを自らを話題にしている方法であるとして解決しているのである。自己の外部に自己を想定するという現代的な概念を持ち込んでいることになる。
 確かに筆者の考え方をとると複雑な敬語の使用状況を単純化できる。その点では優れた考え方であると思う。ただ、使用者の心理を捉えているのかと言う点において若干疑問の残る点もある。はたして、自己の客観化という意識があるのだろうかということである。
 一方で尊敬の助動詞「れる」「られる」を極力使用しないことをすすめたり、「おはよう」などの挨拶語を敬語としてとらえるといった実践的な提案もなされており、従来の敬語理論を見直そうという意欲が強く表れている。強すぎて多少言い過ぎな感もあるが。
 敬語は人間関係を言葉で表すシステムであり、面倒ではあるがうまく活用することによりいろいろな恩恵も得られる。グローバル化する社会の中で、敬語が旧態然とした過去の遺産と見るむきもあるが、むしろこのシステムを活用してこそ円滑な人間関係が手っ取り早く構築できるともいえる。英語には敬語がないなどと言う大誤解を捨て、言葉が立場の違う人同士を結びつける媒体であるという側面を見直さなくてはならないと思ったのである。

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2015年03月23日

Posted by ブクログ

敬語に関する解説を、独自の理論で展開されています。
『ハギノ式敬語仕組み図』までは、わかりやすくて良いのですが、その後が少々暴走気味(笑)

・「ご苦労様」は上司に使っても文法的には間違っていない。
・「問題な日本語(北原保雄著)」での美化語の分類法は間違い
など。
基礎がわからない方が例外を学ぶと混乱してしまうので、初心者さんには向かないかも。


【勉強になった箇所】
・あげる、してあげる、いただく、していただく、くださる、してくださる、は謙譲語なので注意。
・丁寧語は「です」「ます」「ございます」だけ。動詞・形容詞・助動詞につけると教養を疑われるので注意。
・「サ」入れ言葉は、四段活用動詞・サ行変格→「せる」 上一段・下一段・か行変格→「させる」をつける。

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2010年03月25日

Posted by ブクログ

敬語 人間のなんらかの意味の上下関係の認識を表現する語彙の体系
尊敬語 話題の人物を上位者として扱う表現
 話し手が自分より上位の人、目上の人を話題とする時、その目上の人のものや動作を表現する時に使う敬語 おいでになる
謙譲語 何者であれ2者間の上下関係を表す表現
 話し手であるあなとの発言のなかで話題となった人物同士の間に上下関係がある場合に、その関係を表現するのに使う敬語
丁寧語 聴き手への直接の敬意表現
 申す 下位者が上位者へものをいうこと
 参る 下位者が上位者へ近寄ること

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2009年10月07日

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