【感想・ネタバレ】脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座のレビュー

あらすじ

はんらんする脳科学・脳情報に振り回されず、「脳の時代」を生き抜くための処方箋を示した、平易かつ本質的なマップ(『心脳問題』2004年、朝日出版社刊)から12年を隔てた増補改訂版。改訂にあたって改題しました。
【著書から|増補改訂版に寄せて】
「旧版刊行から約10年、じつにたくさんのことがありました。本書のテーマである心脳問題をめぐる状況も大きく動いています。
たとえば、脳科学における知見の蓄積、神経美学や神経経済学といった新分野の興隆、あるいは脳波によってコンピュータを操作するブレイン=マシン・インターフェイスのような技術の発展は、旧版で論じた問題をさらに先鋭化させています。これまで技術的な限界もあってウヤムヤのままにしてきた諸問題に、私たちはいよいよ直面しつつあるのです。
それだけではありません。私たちの無意識のバイアス(認知の偏り)を暴きだす行動経済学の知見や、数度目のブレイクスルーを果たしつつある人工知能研究は、脳科学とは別の角度で、私たちの自己認識と社会のあり方を根底から変えつつあります。いまや心脳問題自体が些細な問題となりつつあるのではないかとすら思えるほどです。
しかし、それは心脳問題の解決を意味しません。本文で確認するとおり、心脳問題は私たちの心と身体をめぐるもっとも根本的な哲学問題であり、これからも何度でも回帰してくるでしょう。見ぬふりを決め込むのでもなければ、このような厄介な問題に対処する方法は多くありません。ひとついつでも有効な手は、問題そのものの性質や条件を、一度は真正面から考え抜いてみることです。たとえ解決はできなくても、理解することが力になります。諸科学の知識と技術によって人間の定義そのものが揺らぎつつある現在、あらためて何が問題であるかを示す里程標として、この増補改訂版を提示する次第です。」
(「増補改訂版へのまえがき」より)

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Posted by ブクログ

おばあちゃんが亡くなったときの悲しみは、ただシナプスの反応に過ぎないのか・・・まぁ、そんなことを言われたらムカっとくるだろう。でも、脳科学で進めばそうなるんだよ、という人はたしかにいるのかもしれない。その感覚的にはなんかヘンだなぁということを、さまざまな文献を広げつつ話してくれるのが本書の楽しさだ。本書によれば、それはやっぱりちょっと変だよ、ということになる。幅広い本からの知識が、疑問に答えてくれるあたり、読書っていいものなんだなと楽しく思えた。

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2018年12月18日

Posted by ブクログ


 正解というのは存在せず無限ループに陥り諦めてしまうよ。その中で様々な意見を交わすことが大切だなと感じる内容でした。
 結末をこれだと決めつけると新たな問題が出てくるし、他の視点も出てくるので色んな角度で人の心について学べる良い機会だと思いました。
しかし、あれもこれもと意見が飛び交うので根気強く理解する必要がありそう。

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2024年05月15日

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