あらすじ
ノルウェーの森の奥で、独り暮らしの老女が殺害された。被害者は玄関先の階段で血まみれになり、左目に鍬が突き刺さっていた。第一発見者の少年が、忌まわしい存在として知られる、精神病院に入院中の青年エリケを現場で目撃していた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを容疑者だと決めつける者たちの偏見の言葉に左右されず、冷静に証言や手がかりを集めていく。しかし信じがたい事実が判明する。エリケは近くの街の銀行強盗事件に巻きこまれ、銃を持って逃走する犯人の人質となっていた……。ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!/解説=ヘレンハルメ美穂
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Posted by ブクログ
舞台はノルウェーの夏。鍬で老婆が殺された。そばにいたのは少年院(ノルウェーでは自由に外出できるらしい)にいる12歳の少年と、精神障害を持った男。男は最有力の容疑者となったが、銀行強盗の人質となり行方不明に。銀行強盗の男と精神障害の男は、行動を共にするうちに不思議な関係となり・・・。あとがきにも書かれているように、作者の犯罪者や弱者に対する視線は優しい。周りの人間は、彼らを一方的に蔑むのではなく、理解しようと努力もする。社会に上手く溶け込めない人たちが犯した犯罪は、彼一人のせいではないと訴えているような、そんな小説でした。精神障害の男が眠るようにあっけなく死に、銀行強盗の男があっさりと捕まったが、それにより彼らが救われたようにも感じた。
Posted by ブクログ
面白かったです。
北欧ミステリーは暗くて良いです。
世間から完全にはみ出している、周りの人と関われないエリケが、ひたすら哀しかったです。何か悪いことが起これば、全てエリケのせい。。
頭の中で声がする…というのは言及されている病気があるのですが、セイエル警部は彼を理解しようと様々な人に話を聞きに行くのが良かったです。町の人も、警官でさえ老婆殺しの犯人はエリケだと決め付けているのに。
そんなエリケは銀行強盗に巻き込まれて、強盗犯のモルガンと行動を共にしているのですが、エリケとモルガンの心が少し通っているのも良かった。そんな中での悲劇なのですが。
しかし真相がまさかの、エリケを殺したカニックが老婆まで殺していたとは。
やりきれません。エリケの生って何だったんだろう…と思ってしまいました。
普通に生きられない人たちへの作者の眼差しが優しくて良かったです。
シリーズものなのかな、他の作品も読んでみたいです。