あらすじ
米国を抜いて「世界第一位の超大国」になるシナリオを描いている中国に対し、日米両国はどう対応しようとしているのか。
日米の戦略の中核は、TPP環太平洋パートナーシップ協定である。
太平洋を取り巻く、日米を中心とした12カ国がTPPに大筋合意した。
日米安全保障条約が日米軍事同盟ならば、TPPは日米経済同盟とも言えるものである。
中国に経済覇権を握らせてはいけない、経済覇権は日米が支える。
そんな熱意で交渉は進んだ。
未来のアジア太平洋の覇権は、TPPの行方が鍵を握っている。
アジア太平洋、そして世界の覇権の将来を左右するTPP交渉を6年間にわたって取材し続けてきた朝日新聞記者が、その交渉経過と舞台裏をあますところなく描いたドキュメント。
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Posted by ブクログ
FBより転送。
政治の世界からは大学でのディベートサークル活動以来とんと縁がありませんでしたが、
①経済面だけでなく、国際政治のビッグピクチャーが理解できる
②具体的な記述が多く、ストーリーとして理解できる
という点で、面白く読みました。
感想としては、
①やはり国際政治の基本はバランスオブパワーだし、政治もステークホルダーの利害調整がベースとなるのろうだけど、だからこそ全体像を示す枠組みだったり、全体最適を考える視点が大事だろうということ。農家への所得補償政策が全体最適であると農業団体が理解していれば、そもそも交渉の前提が変わってくるはずなので。
国際政治の現状に関する理解も同様で、中国の台頭やAIIBが国益や全体最適にとってどういう意味があるのかも判断の精度が高まるといいと思います。
②もう一つは、その一方で、交渉当事者や政府当事者のその場での判断が結果を左右することも大きいのだろうなということ。
外交交渉は特に全てを明らかにできないのだから、信頼して委任する、という関係が成り立っていることは国としても強みになりえると思います。H・ニコルソン然り。
仕事に没頭するだけでなく、時折視野を広げていきたいですね。