あらすじ
5歳の頃、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。『モルグ街の殺人事件』を皮切りに、古今東西の古典を読まされる毎日。飽きる素振りをみせれば、すぐさま拳が飛んできた――。4年にわたる狂気の英才教育の結果、岩波文庫の意味を解する異能児へと変貌した小学生は、父の死後は糸の切れた凧となり、非行のすえに児童福祉施設へと収容された。以来、まともに学校に通った記憶がない。本書は、芥川賞作家・花村萬月が、これまでの人生で唯一受けた教育の記憶をたどり、己の身体に刻み込まれた「文章作法」の源泉に向きあった、初の本格的自伝である。巻末に、父の死を描いた掌編『爛斑』を収録。【目次】はじめに/第一章 あなたは父が好きですか/第二章 それは山谷の旅館からはじまった/第四章 父の人柄/第五章 父が現れた! (一)/第六章 父が現れた! (二)/第七章 早期教育/第八章 筮竹/第九章 読書の時間(一)/第十章 読書の時間(二)/第十一章 読書の時間(三)/第十二章 父の芸術教室(一)/第十三章 父の芸術教室(二)/第十四章 課外授業/第十五章 父自身のこと/第十六章 断片的であること/第十七章 父の死後(一)/第十八章 父の死後(二)/第十九章 教育と強制/第二十章 キリスト教/第二十一章 父の愛/第二十二章 母の愛/終章 そして現在/爛斑/花村萬月著作リスト
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Posted by ブクログ
この父親に育てられてよく道をはずさなかったと思うよ。
一時期、児童福祉施設に入所したらしいけど。
たった4年でこんな濃い時間を過ごせたんだね。
でも死んだ時は開放感と喜びでいっぱいだったというのはわかる。
でもこの父親、インテリで明治大学を出てラテン語、英語、ドイツ語など語学は堪能だったみたいだ。
家具ばど拾ってきた資材で器用に作ったり。
でも、働かないってのはダメンズだよな。
この母親がなにしろ立派。
出産も子育ても一人でこなし、果てはだんな(自宅で)の死後の処置まで電話で医師に聞いて施したらしい。
偏愛だったけど、父親からも母親からも愛されたというのが著者の確固たる自信になっているのだろう。