あらすじ
雇用問題、社会保障、難民問題、テロリズム、大国の覇権争い、宗教対立、人権問題---。
現代の政治情勢は極めて複雑かつ流動的であり、何がどうして起こっているのかを把握することは、専門家にとってすら容易なことではありません。
そのため、人はしばしば感情論や目先の損得で政治を語ろうとして、非生産的な罵詈雑言の投げ合いに終始してしまいます。
現代の政治を、私たちはどうやってとらえればよいのでしょうか? そもそも政治とは何を目指しているのでしょうか?
この難問に対し、SFやアニメなどの創作を補助線として使い、わかりやすく解説するのが本書。
優れた創作はただの絵空事ではなく、作者の鋭い政治的な視点が必ず入っているものです。
単純化されている分、むしろ政治の本質を射貫いているとも言えるでしょう。オタキングとして知られる岡田斗司夫氏が、SFやアニメ作品に関する膨大な知識を駆使し、「政治の本質」そして「正義のあり方」を解き明かします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
スターウォーズ、DC/MARVELコミックス、ハインラインで学ぶ政治。
筆も軽いし、1時間ぐらいで気軽読めるし、「政治」について学べます。高校の公民での教科書では、政治の仕組みは説明しても、何故政治が必要なのか、何故政府があったり、政府が無い方が良いと言ったりする人がいるのかは余り明確に教えてくれませんが、この本では簡単にややぶっきらぼうにそこだけ、政治とは何かだけをを説明します。
政治や政治家は何のためにあるんだとか考えている中高生や、中二病から抜けられないおっさんにお勧め。読んだ後は、池上彰の説明がちょっと違って聞こえてくると思いますよ。
余談ですが、SF読もうぜ。特に古典となっている物。テクノロジー描写は読んでいてつらいところもあるけれど、大事なことはSFで学べる。
Posted by ブクログ
スターウォーズは、ローマ帝国の共和制から帝政に移行するまでのメタファー、ガンダムをEUから離脱する英国の、いわゆるBrexitとみて、その中にSF的なもし~だったら、を混ぜて考えると面白いですよ、という本。
確かに面白い。政治的な正解や今後どのようになっていくかわからないけど、政治の話を面白く考えるのに、SF的な発想のIfを入れてみるのはいいかもしれません。
Posted by ブクログ
スターウォーズのことが書かれているのは最初の3分の1くらい、残りはSFもの、ロボットもの関連。パルパティーン議長が贅沢三昧で暮らしているシーンは一切ない、というのはそのとおり。私利私欲で帝国をつくったのではなく、彼なりの宇宙の安定を目指した、ともいえる。単純な正義と悪の戦いではないということ。一見正義の味方のようなジェダイも実はそうとも言い切れないところがある。
Posted by ブクログ
「『××が△△だったら、この世界はどうなるだろう?』という思考実験」(p.164)が行われているSF小説、SF映画を取り上げ、いかにそこには「現実上に政治の本質」(同)が描かれているか、ということを語った本。「中学2年にもわかる政治学」(p.5)の本。具体的には「『ガンダム』は、宇宙時代のコロニーに住む人たちの独立戦争の話」(p.4)として捉えられ、イギリスのEU離脱を重ね合わせて解説されている。「『スター・ウォーズ』は銀河帝国という悪に対して反乱を起こす民衆の話 『バットマン』は、国家や警察には任せておけないと立ち上がった一個人は法を犯して正義を守るという話」(同)という形で、それぞれ共和制から帝政へと移るローマ帝国の話や、大陸のシビル・ローに対するアメリカのコモン・ローの考え方、などが解説されている。
最近おれが毎週欠かさず見ているテレビのバラエティーの中で、「日本の昔ばなしをコンプライスチェックする」という話があって、こぶとり爺さんは医師法違反、とか花さかじいさんは遺失物横領罪、とか淡々と指摘していく話があったが、現実世界の法律をよく知っている空想の世界に当てはめて分かりやすくする、という点ではこれと似ているし、面白い。そこに「思考実験」の要素も入ったSFを取り扱い、「こういう世界が成り立っているということは、その背後にはこういう政治の仕組みが働いているはずだ」と考えていき、政治を理解しやすくする、という試みで、著者の軽快な語りもあり、分かりやすかった。
ただスター・ウォーズは全5章中の第1章だけで、あとはよく知らないSF(おれはガンダムもバットマンも知らないので)の話で、知らないとやや退屈。だから『スター・ウォーズに学ぶ~』というタイトルはやや看板に偽り、という感じがする。SFに学ぶ、が内容的には妥当なタイトルだと思う。
政治の話なのかどうかよく分からないけど、パルパティーンの話が面白い。「いかにパルパティーンが帝国の運営に失敗しているか」という話が特に面白かった。「行ってみれば、ソフトバンクの孫正義社長が、売上のよくないショップに出向いて自らスマホを売るようなものですね。しかも社長が一番能力が高いものだから、現場の人間はどんどん自信をなくしていきます。」(p.57)ということだそうだ。クローン軍団の組織して「見事クーデターを成功させました。だけど、その後のビジョンがないから、あっちこっちの現場を自分で回る羽目になってしまう。帝国軍にも有能な人材はたくさんいるのですが、ちょっとミスをしただけでダースベイダーが殺してしまいますから、組織としての力が上がらず、パルパティーンはいつまで経っても楽になりません。」(p.58)ということで、合理的な見方(?)というか、そういう視点が得られるのは面白い。
正直ガンダムとかは分からないので、解説されてもイマイチ分からないし、さらに本当に政治学の考えを学んだことになっていたのかどうか、政治学を知らないおれには判断できないが、やっぱり面白い読み物だった。最後の章で取り上げられているSF作家ロバート・A・ハインラインという人の本はとても面白そうで、ぜひ読んでみたい。ちなみにそのハインラインのいくつかの著書のうちの一つ、『宇宙の戦士』という話の中で、シビリアンコントロールの話が出てくるらしく、「いつ、どこで、どうやってーあるいはなぜー戦うのかを決めるのは、そもそも兵士の仕事ではない。それは政治家や将軍の仕事だ。政治家は"なぜ"と"どれくらい"を決める。将軍がそれを引き継いで、"どこで"と"いつ"と"どうやって"をおれたちに指示する。おれたちが暴力を受け持ち、ほかの人々-いわゆる"高齢の賢者たち"-が制御を受け持つ。」というのが妙に納得した。(18/12/21)
Posted by ブクログ
「政治寓話としての「スターウォーズ」」「そもそも政治とは何だろう」「スーパーヒーロー像から見えるアメリカという国家」、第3章くらいまでは面白かったが、英国のEU離脱をガンダムで語るあたりから、つまんなくなった。
こういう本は、私のような人間には判りやすいのだが、アニメもSFも理解できない人には、どうなんだろう。
Posted by ブクログ
ガンダムの元ネタ「宇宙の戦士」の一場面「暴力では何も解決しない?否、それらなら、話し合いでも、お金でも何も解決しない。暴力こそが最も多くの物事に決着をつけてきた。その現実を見よ。」と言うハインラインの理屈(168ページ)に妙に納得した。これは、日本に薄く広く蔓延している希望的平和主義に対する解毒剤だ。しかし、このような言説を紹介できる岡田氏が「北斗の拳」に出てくる無抵抗主義の村長のような主張をYouTubeに公開している(「憲法9条の本質は関わらないこと」)。人間とは分からないものだ。
Posted by ブクログ
うーむ…最近の新書にありがちなタイトルだった。
もっとつっこんでスター・ウォーズを政治的な切り口で解説してくれるのかと思ったら、スター・ウォーズに関する章は全体の1/3ほど。
ただ、スター・ウォーズ新旧3部作のあらすじ解説は見事。1エピソードあたり5〜600文字でめちゃめちゃわかりやすくまとまっている。さすが岡田さん。
あとガリア戦記を記したカエサルを世界最古の同人作家と評していたのには笑った。
しかし、デス・スターを核兵器に例えるのはちょっと違うような気がする。核がもたらすバランスオブパワーの考え方とデス・スターのような要塞兵器とでは戦略的な運用局面に決定的な違いがあるでしょう。気持ちはわからなくはないけど。
ハインラインとリバタリアニズムに関する第5章はおもしろかったな。ハインラインのSF作品が読みたくなった。