あらすじ
会社倒産で職を失った六助と千鶴子。他人に使われるのはもう懲り懲り。そこで思いついたのが、美味しいカレーライスの店。若い二人は、開業の夢を実現できるのやら? そして恋の行方は? 邪魔する奴もいれば、助けてくれる人もいる。夢と希望のスパイスがたっぷり詰まった、極上エンタメ小説! 食通で知られた、文豪・阿川弘之が腕を振るった傑作!
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Posted by ブクログ
書かれたのは今から55年くらい前…
戦後の好景気に沸く時代の物語である。
勤めていた弱小出版社が倒産してしまい、遅配分の給料ももらえず、退職金も空手形でごまかされて、すっかり宮仕えに嫌気がさした六助は、今風に言えば「起業」をしようと思い立つ。
やはり、元同僚である千鶴子が賛同して協力を申し出て…
二人がカレー屋の亭主と女将さんに納まるまでの、カレーなんですが、甘酸っぱい青春物語です。
出てくる単語が「オールドミス」とか(今ならエイハラで訴えられます)、ハイビスカスを「ふよう(芙蓉)のような花(言われてみれば似てる!)とか…品物も、なつかしきブーブークッションが出てきたりとか…
うわ~、昭和全開だわ、と思いつつも、とても面白く、分厚い本ですが一気に読めました。
携帯電話のない時代ゆえのすれ違いとか、とり急いでいる気持ちを早く伝えるには電報とか、初々しいなあ~
しかし、そこにはやはりまだ戦争の後遺症も影を落としていて、主人公六助の、戦犯として上海で処刑された父親の話など、考えさせるものがありました。
表紙イラストのカレーのお皿…
大きいのと、片方は少し小さくて、夫婦茶碗のようですね。