あらすじ
「人に取られたくない」という独占欲が、愛のかたち―やわらかに耳を打つ、心を撫でられそうな篠崎サンの声。安心してよりかかれる気がするけど、どうしてそうやさしくするの?田辺聖子の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
私の持ってる文庫本は昭和58年発行の19刷で、ページがすっかり茶色くなってしまった。単行本の刊行は昭和49年とある。うひゃー、すぐには何年前か計算しにくいくらい古い。でも読み返すたびにひきこまれて、前読んだときよりもっと良かった!と、その都度思っている気がする。田辺聖子先生の小説では一番好きかもしれない。
全然古臭くなくて、四十年以上前の作品だという気がしない。そりゃあさすがに、時代を感じさせるところは多々あるわけだけど、描かれている青春の切なさは永遠だと思うのだ。OL(っていう言い方も今はしないのかな)のレイ子が、ほんとどこにでもいそうな、いや、どこにでもいた感じの女の子として生き生きと描かれている。今やこんなフワフワした娘さんはあまりいないかも。懐かしいような気がする。
そして、私の大のお気に入りが、レイ子の恋人である優。彼は京都に住む大学生なのだが、屈託を抱えていて、レイ子にはつれない。レイ子が優を訪ねて京都を訪れる場面がとても好きだ。当然だが携帯電話なんかない時代、二人のつきあい方はいたってもどかしく、そこになんとも言えないノスタルジーを感じてしまう。
田辺先生らしく明るい場面も多く、全体のタッチは決して深刻ではないけれど、ほろ苦い憂愁の気配も漂う。そこが「青春小説」だなあと思う。
Posted by ブクログ
5.6年ぶりくらいだな~、田辺さんの本。
この人の本ってこんなに「のほほん」とした感じだったっけ?
主人公の女の子が、年下の彼氏や、同僚、ふとしたことから知り合った独身の社長さんと、いろんな人に心を傾けていく様子をえがいた本。
でも、結局HappyEndにはならず。
最後の終わり方はちょっと衝撃的で悲しかった。
本全般としては、ほんのりとした柔らかさが漂い、単調に話が進んでたんだけどね~。
最後にやられたね。