【感想・ネタバレ】新源氏物語(下)のレビュー

あらすじ

多くの恋をし、恋心の煩悩と呪縛に苦しむ源氏は、最愛の女人・紫の上を失って、初めて愛の意味を知る。悲しみに閉ざされたままの源氏は、出家を決意する。下巻には、「花散りし梅が枝に残る匂いの巻」より「夢にも通えまぼろしの面影の巻」までを収める。遠く平安時代も、今も全く変らない恋愛心理、愛の物語「源氏物語」を、新しい現代の言葉で描いた『新源氏物語』本編、堂々完結。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

32帖「梅枝」から41帖「雲隠れ」まで
雲隠れは白紙なので幻まで
源氏物語の後半の主人公である匂宮と薫が生まれます。
若紫が亡くなり光る君こと源氏が出家=世を捨てることを暗示して終わります。
この時代の女性はとにかく男性の庇護が無いと経済的にも生きられない儚く頼りない生き物だなぁ

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2024年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

- 同じ田辺氏の著書「光源氏ものがたり・中」に「このあたり(若菜)から『源氏物語』本編の低音部に、不気味な重苦しい調べがついてまわるようになります。ここにいたって『源氏物語』は、はなやかな恋の物語から、重厚で、まことに辛いおとなの物語になるのです。」とあるように「若菜」以降の巻には「生」と「死」が背後にあって読み応えがありました。

晩年の光源氏は、世間体を気にしながらも未だ自分本位に生きているような。同年代の登場人物に比べて見た目が若々しいというのも、その表れではないのでしょうか。殿に振り回される女人たちに同情します。

そんななか「つらき世をふり捨てがたき鈴虫の巻」で未練がましく言い寄ってくる源氏を女三の宮がバッサリと切り捨てたのは胸がスカッとしました。物語後半のキーパーソンとなる女三の宮、六条院の聡明で隙のない他の妻たちと比べると不完全な人格であるが故に愛すべきところもあり、「他人がどうであろうとワタクシの知ったところではない」と我関せずを貫く様も私は嫌いではありません。

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2023年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もう、自分勝手な振る舞いをする男どもの、自分勝手な言い分を読んでは怒髪天。

例えば女三の宮に対する源氏の冷淡な態度も、彼に言わせれば、幼稚で面白みのない女だから興ざめだ、と。
「そこをなんとか、教え導いてやってくれ」と朱雀院に頼まれたのに、ほったらかし。
だけど女三の宮が離れていこうとすると、引きとめる。

柏木の女三の宮に対する態度はもっとひどい。
無理やり押し入って思いを遂げたくせに、「わたしをそうさせたあなたが悪いのです」と人のせいにする。
結局二人の自己中に振り回された彼女は、若い身空で出家をせざるを得なくなる。

脳内で、大和和紀の描いた美しい顔で、ゲスなことをやってのける。
でも、悪いのは女のせいなので、口先でしか反省しない。

一人だけ割と誠実な振る舞いをするのは、玉鬘と結婚した髭黒の大将。
武骨で風雅なこととは無縁だけれど、実直で信頼できる。
ただ、彼もまた強引ではあったけれど。

この本を読んだ後、復習として『大掴源氏物語 まろ、ん?』を読み直したら、私の気持ちを代弁する文章があった。
”秘め事が知れたら恋人や妻を苦しめるというのに、それを告白することが誠実なことだと思っている人がいる。だが、それは、自分の罪悪感から解放されたいと思っているだけだ。つまり、甘えているだけである。”
何もかもを紫の上に話しては、嫉妬で見苦しくなることもない出来た人だと満足するバカ男。
心の中がどれほど苦しかったかと思いやることもせんのか!

こんなに怒りながらも、読むのを止められないのはなぜか。
やっぱり面白いのである。
悔しい。

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2025年06月22日

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ネタバレ

すごくおもしろかった。
自然を愛でたり、趣のある文をしたためたり、平安時代の貴族達の暮らしが新鮮だった。
私も季節の挨拶でも書きたいなっていう気分になった。

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2011年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この時代の女性は良いように周囲の環境を利用し、流されないと生きていけなかったのかなと感じた。
とはいえ、自分の意志も無くただ流されるだけでは女三の宮のように面白みも無い人物になってしまうのだろう。
その辺りの塩梅がとても難しい。
男と政治ありきで賢く動かないと女性が豊かに生活できないのは、あまりにも自主性が無く窮屈に感じた。
紫の上の死は何度読んでも悲しい。
光源氏にとって理想とする女性でも、女三の宮や世間の風評に悩んでいたのが辛く感じた。
光源氏も周囲に素晴らしい女性がいるのに、次々と別の女性に手を出してすごいなと感じた。

谷崎潤一郎や森絵都など他の作者訳での源氏物語を読んでみたいと強く思った。

そういえば、空蝉も一緒に住んでいたはずなのに結局どうなったのだろうか?

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2024年08月23日

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