【感想・ネタバレ】ルポ 父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのかのレビュー

あらすじ

なぜ男性の「家庭進出」が進まないのか。著者は「これまでのイクメンブームの盛り上げ方に短絡的な部分があったと認めざるを得ないのではないか」と問いかける。ではどうしたらいいのか。仕事と家庭の板挟みに悩む父親たちの本音、彼らに殺意さえ覚えるという妻たちの本音、理想ばかりを言っていられない会社側の本音、そして冷徹に世相を物語る数々のデータからヒントを見い出す。●自らブラック企業化する父親たち●ワーク・ライフ・バランスという名のマッチョイズム●「世間の風潮」と「目の前の妻」の価値観のズレ●「昭和の亡霊」にとりつかれた夫婦●妻の殺意にも気づかずベタベタしてくる夫●女性というパワハラ?●「同時多発育休」で「育休倒産」?●ジレンマから抜け出すための8つの心得 etc.※以下、本書「第1章 自らブラック企業化する父親たち」より抜粋 「産後クライシス」「家事ハラ」。いずれも夫婦間の対立が社会現象化したものだ。「結局男と女どちらが悪いのか」という社会的論争に発展した。しかしこの論争は不毛だ。どちらが悪いわけでもない。どちらもキャパオーバーなのだ。よほどサボっていた会社員でもない限り、それ以上業務の効率化などできるはずがなかった。そこでさらに「家族時間を捻出しろ」というのは、絞りきった雑巾をさらに万力にかけ、最後の1滴を絞り出すようなものだ。下手をすれば雑巾が破れてしまう。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

終始育児する父親には厳しいことが書かれているが
子供を持つ前に一度読んでおくといいと思った。
大切なのはこういう例がたくさんあるということを知ること。

■一番良いと思った言葉
「海外のホテルはシャワーの温度が不安定
ちょっと加減で暑すぎたり寒すぎたり
よくなったと思ったら誰かの使用で
水圧が変わり、また調節の繰り返し

仕事と家庭の両立もそんなもんで、
ピタッと適温になることなんてない
常に調整し続ける、でも実はそれこそが面白い

かっこつけず、がまんせず、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返す。
ちょっとダメな夫、ちょっとダメな父親として、
家族から笑われくらいがちょうどいい


・・・以下メモ・・・
どちらが悪いわけでもなく、どちらもキャパオーバー
→★ほんとそう

■察してほしい、ではうまくいかない

■家事分担、ではなく、家事シェア
家事分担だとめんどくさい、嫌なことを押し付けあうイメージになる
「家事とは家族をチームとして回すために必要な営み」と考え、本来家族全員がやらなければならないことだという意識を持つことで、やってくれた人に対する感謝の気持ちが芽生えたり、できるだけ自分もやろうという前向きな気持ちになったりする
→★仕事も同じ

シェアしたい部分が曖昧なのはいけない
委ねたなら委ねるべき、文句言わない
→★これも仕事と同じ。気を付けたい。

■育休が増えるとダイバーシティが生まれる
ダイバーシティについてついて考えることは、自分とは違う立場にいる人に対する思いやりを持つこと

人にはそれぞれの事情がある
だからと言って自分の事情ばかりを他人に押し付けることはできない
お互いの事情を斟酌(しんしゃく)しながら、全体としてうまくいくようにフォローし合うことを考えなければいけません

■ジレンマから抜け出す8つの心得

「思い込みが悩みを作る」
→★出来事が作るのではない
→★これは体調が悪くなった時も同じだな、、悪いことばかり考えるがそれは思い込み。思い込みをやめるか、思い込みの原因をつぶす

ジャグリングの要領で動的にバランスを取る
→★シーソーのように静的にバランスを取るのはむずい

夫婦喧嘩を回避しない
バグを見つけたら言った方がいい
→★★★コツは、無理に結論を出さないこと
→無意識の歩み寄りに委ねる
★仕事でも白黒つけたり、徹底的に詰めたりすると絶対うまくいかない

社会のせいにしすぎない
→自分で解決できないというのは無力感を生む
→人間を惨めに、卑屈にする

■簡単に答えを出さない
人生は、「動的な問い」の連続
→★問いを問いとして抱え続ける力が大事

海外のホテル
シャワーの温度が不安定
ちょっと加減で暑すぎたり寒すぎたり
よくなったと思ったら誰かの使用で
水圧が変わり、また調節の繰り返し

→仕事と家庭の両立もそんなもん
ピタッと適温になることなんてない
常に調整し続ける
でも実はそれこそが面白い

かっこつけず、がまんせず、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返す。
ちょっとダメな夫、ちょっとダメな父親として、家族から笑われくらいがちょうどいい"

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2022年01月30日

Posted by ブクログ

育児休業に取り組んだ父親達の体験レポが面白い。
1年中顔を付き合わせるより適度に空白があるほうが「戦友」としてうまくやっていけるのだろう。
女性からの本音で言えば金を稼いで家事も全てやってくれるATM家政婦型旦那を望んでいると思われる。

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

私も日本に住んでいるので、男性の役割が年々増えていることを実感している。そして、父親になって以降、「仕事も家庭も両立させなければならない」という変な義務感から頑張っていたのも事実だ。幸い私はたいした仕事をしていなかったので、育児優先のキャリアダウンは全く苦ではなかったが、業績を維持しながらの子育てなんて、想像するだけでもゾッとする。
本書同様、世代交代と共に価値観が変わることを望む。

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2019年12月17日

Posted by ブクログ

育児と仕事に関する様々な夫婦の事情をつづったルポルタージュ
母親にとって何が不満か、父親は何を考えているかなど、新たな視点が得られ面白い。
Naoki・菜穂子夫妻も第2章に梶原夫妻(仮名)として登場。夫婦の役割分担の成功例として描かれている。

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2018年11月23日

Posted by ブクログ

いろいろな家庭の例が載っていて興味深く読みました。
最終的には、
『大切なのは、もっと頑張ることではなく、何かを手放す勇気なのだ。要するに、自分は何をして、何をしないのかをはっきり選択することに尽きる。』
まさしくこれに尽きますね。

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2017年10月26日

Posted by ブクログ

◆きっかけ

「男性の家庭進出なく女性の社会進出はない」ということで、答えを探し求めて。

◆感想

昨年2016年に出たばかりの本です。著者は前回読んだ『忙しいビジネスマンのための3分間育児』と同じ"おおたとしまさ"さん。彼の文章は読みやすいです。

本のタイトルに対する答えだと思う箇所を要約しました。

1.「イクメンでも業績が上がる(下がらない)」を前提にするとみんな辛い(43ページ)。残業0、あるいは育休をとれば業績は下がるのが普通。受け入れよう (45ページ)
2.男性でも育休や退職ができる環境にして、「女性はリスク」を「男女ともにリスク」という意識に変えていく(163ページ)
3.国の制度ありきでは変われない。どんな社会通念も現場から変わっている(190ページ)

*1つめの要約についての私見。

「定時上がりでも好成績」「主婦が部下になっても業績改善」といった取材記事やブログ記事は多いです。好成績だから、業績アップしたから、だから定時上がりでも主婦でもいいんだよ、という主張。これってやっぱり心苦しいですよね。誰でもできることじゃないし、自分が達成しようと思ったら私生活(家事育児)が削られます。そりゃ、できるならバリバリ働いて認められたいですが、時間という物理量が同僚にかなわないのです。

*2つめの要約についての私見。

昔は入社面接で「結婚(or子作り)しますか」「結婚(or妊娠)したら会社を続けますか」という質問を女性にしていましたよね。私も何度かされました。今こんな質問をしたらセクハラ(男女差別)だとはいいますが、「女性はリスクである」という考え自体は全くなくなっていません。だって事実だもの。

現に私の会社は男性が結婚すると給与アップしますが、女性が結婚すると給与ダウンします。男性の場合は「妻子を養うんだから頑張れよ」という景気付けで昇給したりそのチャンスがもらえますが、女性の場合は育児で出社可能時間が減る上に仕事内容の重要度を落されるので、結果として給与ダウンしたあと何年もかけて細々と回復していきます。2回出産すれば5年〜10年同僚に遅れをとりますよ。

仕事量が減る(or辞める)リスクはもはや子育てだけではありませんよね。子育てが終わったら介護ですよ。これらを女性だけに押しつけるのは本当にやめませんか。本書によると、国の調査項目にすら、男性に対するアンケートで結婚/妊娠/出産後の働き方の選択(転職や退職など)がないそうです。つまり国は「男性は結婚しても妊娠しても出産してもキャリアに影響が出ない」と見なしているんですね。

*3つ目の要約についての私見。

国の制度を先に整えることは難しいのでまずは草の根運動から、とのこと。そして仕事と育児の両立ではなくて、仕事と育児の割合を選択可能にするのがいい、と。まさにダイバーシティ。嗚呼、言うは易し。でも声をあげて、情報交換や話し合いはしていこうと思っています。動いたら必ず成功するわけではないけれど、成功するためには必ず動かないと始まりませんものね。

◆関連して読みたい本

・『仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』

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2020年11月11日

Posted by ブクログ

家族と過ごす時間を増やすために、仕事を早く終わらせようという考え方自体が仕事主体である、という件が突き刺さった。だから、早く帰っても仕事で全力を出してしまってうわの空になってしまうのかもしれない。

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2016年11月11日

Posted by ブクログ

どうして今、父親が疲れているのか・・・。
どうして今、父親がこんな気持ちになっているのか・・・。

いつも父親たちが感じていることを様々な視点から
物語っている本。
どうしてもゼロか100かの意見になりがちな事が多いけれど
様々な視点を提示してくれます。
無責任な正論をかざすのではなく、
子育ては思い通りにいかないものなのだと言う当たり前のことに気づくこと
自分の人生にとって本当に譲れないものは何なのか
それが大切だと改めてわかりました。

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2016年10月28日

Posted by ブクログ

新しい知見は広がらなかった。
解決策さえなかった。
それでもよかった。
それは励ましの書だと感じたから。
満足だ。

P5の「奇跡的なくらいに恵まれた状況にいる男性でないと口にできない超贅沢なセリフ」というのは、当事者にとってはそんなことさえ霞むくらいにつらい、そんな「恵まれた状況」が見えないくらい厳しい、のだが、端々にあるエールに勇気づけられたり、本書に出てくる旦那さんよりは夫人に恵まれていると感じたり、この旦那さんよりはがんばっているから俺は偉いと励みになったり、とにかく救われる気持ちになる。

P44「イクボスは『業績も向上するということを実証』しなければいけないのだ」あたりは度し難い。生産性の文脈に限定してイクメン、イクボスという語を軽々しく使うからつらいのだ。使い方がわざとらしいのだ。どうせなら仕事以外に関することは全部禁止だけど給料が異常に高い、いろいろフリーだけど給料はそこそことか、潔く宣言しておいてほしい。

P74「30代、40代という出世競争の真っ最中に育児が重なってしまいます。それが問題を大きくしています。育児・家事と出世はトレードオフの関係になってしまいます」とある。本書が案内するように短期的には成果を落とす覚悟を持っても、この時期の数年はとても痛い。私の経験を思い返すと、同僚や後輩の出世が目前で行われ、ただ指をくわえて見ているのはつらい。めまいがしそうだった。5年たっても、取り返すどころか、その差が縮んでもいない。ただの能力不足だってこともじゅうぶんありうるけれど。

それでもP200からの「成果を落とす覚悟をもつ」という項目はよかった。成果が落ちても、冷遇されても、勇気づけられる。バランスをとって、よく働き、よく家族と過ごし、生活していくためには、一つ一つ課題に取り組み、処理能力とメンタルを鍛えながら、それを楽しむ価値観を見出していくことが大事だった。

P201の引用。「既存事業の業績悪化を最低限に抑えるために最も有効なのは、さっさと新規事業を軌道に乗せることである。そのために人員や予算配備も新規事業に集中させるべきであろう。」これはよいたとえ話だ。ストレスをコントロールできる。たとえうまく回らなくても前進しているかもしれないという予感があれば、大いなる救いとなる。

以上、読んでよかったと感じる理由を並べてみた。

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2019年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"「仕事と家庭の両立」とは言うけれど、必要なのはマルチタスクのスキルではない。大切なのは、もっと頑張ることではなく、何かを手放す勇気なのだ。要するに、自分は何をして、何をしないのかをはっきり選択することに尽きる。
自分の人生にとって本当に譲れないものは何なのか、それさえわかれば自ずと道は見えてくるはずだ。そこさえしっかりグリップできたなら、後の些細で雑多なことは、焦らずに、できる範囲で調整していけばいいのではないだろうか。"

いろいろなデータや厳しい現状の事例をみてきて、結局これから父親たちはどうすればいいのかというのは、おわりにで述べている上記がまさしくそのとおりなのではないかと思います。
私自身も子供が生まれてから、時間にゆとりがなく、切羽詰まっていた時期がありました。そこで、一度立ち止まり、自分にとって何が一番大切なのかをしっかりと見つめ直し、その結果独立しました。
子供が生まれることは、けして何かをあきらめるということではなく、本当に大切な事をちゃんと選択するためのいい機会であったのではと思います。

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2016年09月08日

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