【感想・ネタバレ】七時間半のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月17日

ううむ、、、うむ。こりゃビビった。凄いです。こりゃ凄い。面白いです。というか、面白すぎる。いやもう、驚いた。感服です。脱帽です。

獅子文六、という作家さんは、全然知らない人だったんですよ。いやもう、全然知らない人でした。で、友人から「獅子文六、オモロイでっせ」って紹介してもらいましてね。ふーむ、そ...続きを読むんなら読んでみましょうかね?って、あんまり肩ひじ張らずにこう、何気なくこの本を手に取って読んでみましたら。

いやもう凄い。めちゃくちゃオモロイやんか。驚き桃の木山椒の木、とはこの事です。獅子文六の存在を教えてくれた友人にマジ感謝。いやもう、素晴らしい小説との出会いは、何処に転がってるのか分からねえなあ、っていうね。いやもう、最近では一番の驚きの出会いでした。

獅子文六。1893年生~1969年没。2020年末の現在からしてみると、すげえ昔の人ですね。ですがこの作品この文章。わたくしが感じる限りですが。全然古びていない。めちゃくちゃこう、瑞々しいし、わかるわあ~この感じ、だし、とにかくこう、半世紀以上昔に書かれた文章とはこれっぽっちも思えない。すげえ。って思いました。

スラップスティック小説、とでも言いましょうか。コミカルです。文章は軽妙にして洒脱。ユーモア満点にして優しさあり。そして妙なニヒルさ、達観さもあり。うむむ、、、唸る。唸りますこの文章。というか、文体?

あと、マジ驚いたのですが、獅子文六さんが、この作品を発表した時。獅子文六さん、御年70歳近かった、ってこと。え?マジで?言い方悪いですが、超おじいちゃんですやん?超御大ですやん?なのに、なんなの?この、エエ意味での軽さ柔らかさユルさ。70歳ですよ?それでこの文章書くのか!?という驚きは、凄かったよ個人的に。

小説として、というか読んでいて真っ先に思い浮かんだのは、三谷幸喜監督作品の映画、でした。「ラジヲの時間」ですとか「有頂天ホテル」ですとか。あの、限られた時間と限られた空間の中でのテンヤワンヤの素敵な時間の流れ。あと、古き良き時代のハリウッド映画、みたいな雰囲気。ビッグバンドの朗らかな演奏がめちゃ合う感じ。いやあ、素敵だなあ、っていう感じ。

あくまでも架空の、理想としての物語、なんですよね。現実の辛さをちょっとまぶしつつも、これはあなたのための物語。この作品と向き合う数時間の間は、読むあなたを徹底的に楽しませますよ、っていうスタンスを、ヒシヒシと感じるのです。ううむ。職人的な。自分の技術の粋をふるって、あなたを楽しませますよ、という矜持、みたいなもんを、感じました。わたくし勝手に。ううむ、、、プロだな。プロの仕事だな、みたいなもんを。

あと、コレは勝手に感じただけのイメージなんですが、この作品って、獅子文六の、代表作ではないと思うんですよ。この作品だけしか読んでないんで、あくまでも勝手に感じたイメージなんですが。代表作ではないのですが、ファンとしては愛さずにおられない作品、みたいな。小粒でもキリリとピカリと光る、みたいな。有名ミュージシャンの代表的シングル曲の陰に隠れて、ファンの間ではずっと愛され続ける、シングルカップリング曲の隠れた名曲、みたいなポジション。

無茶苦茶無理やり例えますと、宮部みゆきでいうと「ステップファザー・ステップ」みたいなポジション。「ステップファザー・ステップ」って、宮部みゆきの代表作ではないと、思うんですよ。でも宮部さんファンなら、愛さずにはいられない作品だと思うんですよ。俺だけがそう思うだけかもしらんけんども。で、この「七時間半」も、そんなポジションなんじゃね?って勝手に思った。ええ、勝手に。

いやもうね、登場人物全員を(意地悪キャラや、ワル役でさえも)愛しく思えてしまう、というマジック。それがある、という所で、この作品は、もうねえ、、、お見事なんだよなあ。一人でも多くの方に、読んで欲しい作品ですね。いやもう、なんとしても愛しい作品なんですよ。

ちなみに、個人的に一番好きなキャラは。チーフ・コックの渡瀬政吉、ですねえ。いやあ、これぞ名脇役!というべき、渋い立ち位置。渡瀬が、喜イやん、こと、矢板喜一にかける言葉、アドバイスの一つ一つが、、、こう、、、良いんですよねえ、、、全く。あの、目をかける後輩に対する、厳しくも愛情あるスタンス。凄く良いなあ、ってね、思いましたね。ああいう人生の先達になりたい、ってね。シミジミ思いますね。ま、勿論、他のキャラもみな魅力満点、でございます。お見事です。

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Posted by ブクログ 2023年04月23日

結局大事件は起こらずだけど、ドタバタ感と濃いキャラたちの各々が思うこととか行動を見ていることが面白かった。するする読める、テンポの良さ。適度に大衆小説って感じでした。解説でも言ってたけど、確かに即時代的なものって小説では出てこないか…そういう意味では昔すぎて逆に知っているところが、時代差ありありで後...続きを読むになって興味深い気がした。
最後に有女子が気が動転したような行動をとっていってよくわからないまま終わってしまうけど、それもそれでドタバタしてて良かったような気もする。

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Posted by ブクログ 2020年05月06日

友人から紹介されて読みました。
獅子文六さんの作品は初めてでした。

電車の中の7時間半の中での人々の心の動きを描いた物語です。
藤倉、今出川、という女性の人間性の対比が描かれておりました。実際こんな人いるよな、と思いながら読んでおりました笑
女性にも好かれる女性、女性から嫌われがちだけど、その美貌...続きを読むから男性から寵愛される女性。僕は前者のほうが好きです笑なんかほっとする人間性の方なんだろうなと思いました。

それとこの作品のテーマは「すれ違い」なのかなと思いました。
ちょっとした出来事でも、その人の想いはがらっと変化してしまう。その変化の結果、お互いに通じ合っていたと思っていた状況が変わってしまう。悲しい哉と思いながらも、人生は無常であるため、それが真理なのだなと改めて感じました。

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Posted by ブクログ 2019年06月07日

特急”ちどり”
東京 大阪間七時間半の間に起こる物語。

鮮やかにその時代を感じられ、
次々と通過する駅の間に物語が進行し、
次々と展開してゆく。

話が続いていると思ってページを捲ると
そこで話がお終いだった程引き込まれる作品。

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Posted by ブクログ 2018年09月01日

グランドホテル型のドタバタ劇。
これを執筆したのが70歳間近という年齢だったとは驚き。
当時の世相を知れて面白いし、人物描写もお茶目でキュート。
ただ、ここまでサヨ子と喜ぃやんを追いかけてきた読者のために、もう少し結末に二人の行く末を描写してほしかったかな。

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Posted by ブクログ 2016年06月28日

まだ新幹線が登場する少し前の、品川ー大阪間が七時間半かかった頃の、品川から大阪のある一本の片道旅程で起こるドタバタストーリーがこんなに面白いとは!
片道一本だけで読ませるとはさすが。50年ほど前の文章のはずなのに意外と読めるものですね。
考え方によっては、当時の花型?特急列車のお仕事小説とも言えるか...続きを読むもしれない。
当時の男女はある意味一発勝負だったんだなーと改めて思うのであった。

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Posted by ブクログ 2017年12月01日

ホテルのシェフを夢見る食堂車助手の青年の細やかな心の動き(特に、ホテルの皿洗いから始めるのは無理と気づくあたり) 、通称BB、有女子のギャグにしか見えないキャラ、絵にかいたような個性キャラの指輪のマダムが最高。ちどりが廃車になるとわかり、死ぬとわかった病人が不摂生するような暴れぶり、「薄毛の男は案外...続きを読む胸毛派よ、なにも知らないのね」とかどこまで礼儀正しいのか下品なのかわからない。最後、どうなるのか楽しみに読み進めたが、スリが捕まる以外は何も解決していないのだが?!

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