あらすじ
アメリカの国力の低下と共に勃興する諸大国の新たな覇権主義。拡大する中東の戦乱、国境を越える大量の難民、欧州のテロ事件。行き過ぎたグローバル経済と格差社会。国内に目を転じれば大規模な災害が起こる中、平和主義の戦後レジームからの脱却を主張する動きが勢いを増している。いよいよ混迷を深める世界と社会の情勢。その背景にあるのは、世界史レベルのパラダイム(知的枠組)の地殻変動である。顕在化している近代の崩落過程についてリベラル派の言論人を代表するふたりが語り合い、難局を避けるために必要な世界の見取り図を提示する。【目次】はじめに――悲劇の氾濫の中で 姜尚中/序章 問題提起 世界は「最終戦争」に向かっているのか/第一章 液状化する国民国家とテロリズム/第二章 我々は今、擬似戦時体制を生きている/第三章 帝国再編とコミューン型共同体の活性化/第四章 グローバリズムという名の「棄民」思想/第五章 シンガポール化する日本/第六章 「不機嫌な時代」を暴走させないために/おわりに 内田 樹/主要参考文献
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Posted by ブクログ
本書の時点で、”まさかないよね”的感覚で語られていることが、現実として起こっている今日。例えば安倍内閣の持続。例えばトランプ大統領就任。普通に考えたらあり得ん事態だけど、何がどうとち狂ったか、そんなまさかを目の当たりにしてしまっている。もっと最悪の事態として、もっとまさかの事件として、第三次世界大戦にも触れられているんだけど、これ以上馬鹿げた世界にならないことを祈るばかり。自分に出来そうなことも積極的に探して、なるべく参加していくよう心掛けよう、と思いを新たにした次第。
Posted by ブクログ
内田樹氏と姜尚中氏どちらも好きな作家であり思想家です。
その二人が初めての対談だそうで。。
そうだったのかと意外に思えます。二人とも同じ思いを
共有されているのに、そこに至る推論や論拠が異なる
ところがあってとても面白く読めました。
本日国際ブックフェアに言ってきたのですが、
内田先生の講演は満席で拝聴できずでした。
聞きたかったなあと。。。。
本日の講演は林真理子氏・内田樹氏・茂木健一郎氏の3人
どれも満席でした。
Posted by ブクログ
何はともあれこのタイトル、センスなさ過ぎないか。
中身とはほとんど関係のない煽りっぷり。
せっかくの2人の刺激的な対談が台無しになっている感。
こういうタイトルに惹かれる人にこそ読んでもらいたいというメッセージなのかもしれないけれど、それにしてもなあ。
個人的には末尾の方で指摘されている「飽きている」という指摘が腑に落ちた感じでした。戦後70年を経て、日本人は今の社会に、政治に、平和に「飽きている」という指摘。
たとえば戦争状態に巻き込まれずに半世紀以上の時間を過ごすということは文字通り「有り難い」ことなのだと思う。その奇跡的な出来事が70年続いてくれたおかげで僕たちはそれを「有り難い」と思うことがなくなり、その状態に慣れ、飽きてしまっているのではないか。
成熟社会を迎え、世の中に何か閉塞感を覚えるのはたぶん僕だけではないと思う。でもだからといって、今ある「有り難く」貴重なものまで壊してしまっていいという法はないだろう。
東京都知事選挙は小池氏が優勢だそうだが、これも自民党にも飽き、タレントが知事をするいうのにも飽きた国民感情の投影と読むこともできそうだ。
そんなことを考えながら読んだ本でした。
Posted by ブクログ
強烈な個性二人による対談でこれが初見と言うことが驚きです。後書きで内田さんがかいているように、全力でぶつかっていることがわかる面白い本でした。
Posted by ブクログ
日本はシンガポール化するのか? この章が一番面白かった。緊急事態条項を書き込むことによる憲法改正は、日本社会を独裁への道へと開くことになるかもしれないが、一方で、自民党は新自由主義的政策を決して手放そうとはしない。金儲けしながら独裁への道を開く。そのモデルとなっているのがシンガポールな訳だが、そのモデルを日本に導入するにはかなりの無理がある。そもそも経済成長という幻想から離れ、どのような社会を築くことができるのかという問題提起を行っている。本書は、日本のことだけではなく、世界情勢(特に、フランスとアメリカの議論が多い)に広く目配せし、世界が第三次世界大戦に向かっているのではないかと言及している。対談形式で書かれているのですらすら読めた。
Posted by ブクログ
自動車で走っているより
自転車で走っているより
走っているより
歩いているときが
一番 よく 見える
そして 何よりも
いつでも 立ち止まって
気の赴くままに
じっと 気のすむまで
見続けることができる
今、世の中に起きていること
これまでの こと
そして
これからのこと
今、どんな風に
見えているのだろう
今、どんな風に
考えていけばいいのたろう
そんな 時間が持てる
そんな 一冊です
Posted by ブクログ
某グループの読書会の課題図書.内田さんの論はあちこちで読んでいるので,大まかな展開は予測できたが,姜さんもかなり波長があっていて,楽しく読めた.p121でイギリスが大帝国を持っていたが,短期間で島国へとシュリンクした点を評価していたが,大事な視点だと感じた.成長路線にこだわっている我が国の政府も大風呂敷的な視点で政治を進めて欲しいものだ.新たな戦争が身近な場所で勃発する可能性は益々高まっている感じだ.p218の嫌厭感の広がりは,議論を封鎖する感じのキーワードになっているという指摘も良い.