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Posted by ブクログ
本当にこの人の翻訳がとても読みづらくて苦手。でもエイミーベンダーの小説の雰囲気は好き。でも私が読んでいるのは翻訳版のみ。結局私はこの読みづらい翻訳の雰囲気が好きなのか?
"そんなにちがったことだったのだろうか、私がまだ工場で作られ自販機で売られる食べ物を食べるのを好んでいたことは?… そのころ私は十二歳くらいだった。学校であの自販機がなかったなら、いったいどうやって一日を過ごせたことか、わからなかった。私は、ありがとうというお祈りを自販機にむけ、毎晩それに商品を補充する人、また商品を買う人にもむけた。
それははたしてカードテーブル用の椅子を選ぶことと、それほどちがったことだったろうか、ただ私の選択は私がこの世界に留まることを許し、彼の選択がそうでなかったことを除けば?"
Posted by ブクログ
特殊能力やアリエナイコトが起こるこの物語を、ただ深い意味のないファンタジーと捉えることもできるかもしれない。
でも、誰かの心の中で起こることは、その人の中での真実。現実とそうでないことの境目は、常に曖昧だ。自分には信じられないからと、それを嘲笑ったりたしなめたりすることが、なんの役に立つのだろう?
著者のエイミー・ベンダー氏に、「あなたはどこまで他人の真実を受け入れられますか?」と聞かれているようだった。
“食事はあいかわらず食事だし、食べ物はあいかわらず決まったはじまりと終わりのあいだにある、そして私は自分に食べられるもの食べられないものを自分で決められる、と。そして父の場合は完全に避けて通ることもできる病院であり、おじいちゃんの匂いの場合はどうやらお店でのことらしかったけど、もし、ジョゼフが毎日感じたことにはそんなはっきりしたかたちがなかったのだとしたら、どうだろう?避けることも、変えることも、できなかったのだとしたら?いつもそうだったとしたら?”
わたしたちは例え家族であっても、肌をどんなに重ねも、感覚を、思考をひとつにすることはできない。椅子になってしまったジョゼフは、その孤独さを常に感じていたのかもしれない。
愛情を注いでも、あなたが必要だと言っても、それは彼の孤独をさらに強めるだけで、彼の救いはただのものになること。ローズはそれを理解したが故に、あの「最後のお願い」をしたのではと思う。
わたしはローズのようにその選択を尊重できるだろうか。彼の選択を尊重するということ、それが正しいのかすら、今のわたしには、わからない。