【感想・ネタバレ】美人薄命のレビュー

あらすじ

孤独に暮らす老婆と出会った、大学生の総司。家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語り始める。残酷な運命によって引き裂かれた男との話には、総司の人生をも変える、ある秘密が隠されていた。切なさ溢れる衝撃の結末が待ち受ける、長編ミステリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

おちゃめなおばあちゃんとなげやりな大学生との交流のお話し。 戦時中の思い人と死に別れてなお、何十年もたってもつながっているといのはうらやましい限りです。幸せだったんだろうね。

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2016年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一応謎解き要素もあるのだけど、意地の悪い考え方をすれば、結末は主人公の主観推測が含まれるので、面白おばあちゃんの過去の事実は確定とは言えない(ので驚愕の事実!みたいなどんでん要素は薄いので★-1)。

しかし『ライフ・オブ・パイ』みたいにどっちが事実かどうか分からないのなら、希望があった方の過去を事実として信じる、ってのもありですよね。

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2019年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭から壮絶な話が始まったな・・・と思ったら嘘だったとは。
死んだ婆ちゃんに心の中で叫ぶところは結構感動した。

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2017年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇 概要
 主人公の磯田総司は,弁当配達のボランティアで老婆,内海カエと出会う。家族を失い,片目の視力を失い,貧しい生活を送るカエは,愛し合いながら結ばれなかった男との思いでを総司に語る。その悲しい恋物語の裏には,総司の人生観を一変させるような秘密が隠されていた。さまざまな事象について,ある一面と異なった一面が現れる変則ミステリー

〇 総合評価 ★★★☆☆
 火事で内海カエが死んでしまう。その火事は原因などを踏まえると殺人といっていいほどのものである。しかし,ミステリという視点で見ると事件,連続殺人事件が起こるわけでもないし,トリックやプロットにも独創性は乏しい。カエの思い出話もそれだけ見ればそこまでのものでもない。この作品の魅力は,主人公,ヒロインなどが,単なるステレオタイプの存在にとどまらず,深い存在としてなりたっており,そのことが妙なリアリティを出しているところにある。カエが総司に恋をし,総司の気を引くためにウソの恋愛話(思い出話)を語るというプロットを,老婆で行うというのはステレオタイプどころの話ではない。読者の想像の斜め上をいっているのだが,それがサプライズにつながっているかというとそうでもない。話全体に魅力的な謎がないので,どんでん返しがあってもサプライズを感じず,「ふーん,そうなの」と感じてしまったのだ。では駄作かというと,個々の登場人物が生き生きと描かれており,物語全体のインパクトもあって駄作とも言えない。ミステリとしては駄作だが,小説としてはそこそこという稀有なミステリと言える。とはいえ,私はミステリが好きなので,そこまで好みの作品ではなかった。★3としたい。

〇 サプライズ ★★☆☆☆
 サプライズというほどではないが,数々の意外な側面が描かれる作品である。主人公の磯田総司は,どこにでもいるような,いい加減な大学生という一面がありながら,その裏では非常にまじめな好青年という一面を持つ。ボランティアの会長である杉村女史は,ボランティアに精を出す女性という一面を持ちながら,若い男とのふしだらな噂があるという裏があり,ヒロイン的存在の沙織は中学校時代は主人公にとってのマドンナであったが,高校で悪い遊びに身を染め,高校を中退し,年上の男性と結婚しているが,AVに出演していたという裏がある。最後に出てくる弁護士の美人秘書と思われた女性が,実はパートナーの弁護士で,この物語の探偵役を務める。そういった,第一印象とその裏の一面にギャップがあるという人物を多数出すという伏線を張った上で,この物語全体で語られる内海カエの過去の話が作り話であったというどんでん返しを用意している。五十治との話は全てウソで,カエが好きだったのは総司だったというオチだ。とはいえ,サプライズ感は薄い。「それで?」という感じになってしまう。最後の最後で,実は,五十治がカエを愛していたのは事実であり,そのことが時世の句で明らかになるというのも,まぁ,それなりに面白いのだが…。サプライズはあまりない。★2で。

〇 熱中度 ★★☆☆☆
 つまらなくはないのだが,連続殺人が起こるわけでもなく,大きな事件が起こるわけではない。配達すべき弁当が盗まれたり,火事が起こり,結果としてカエが死んでしまうわけだが,これは終盤。途中,沙織が高校時代にグレて,既に結婚していて,おまけにAVに出演していたことが分かるという事件もあるが…全体的に淡々と話しが進む。話に引き付ける工夫は乏しく,途中で読むのを止めてしまう人もいるかもしれない。

〇 キャラクター ★★★★☆
 いわゆるキャラクター小説というような作りではないが,磯田総司,杉村女史,沙織,内海カエといったそれぞれの登場人物が,ミステリにおけるステレオタイプを打ち破っていく。主人公である磯田総司が,根っこは非常に誠実な人物であることはともかく,ヒロインの沙織の過去や内海カエの昔話がウソで,総司に恋をしていたというのは…ステレオタイプでは出せない妙な現実感=リアリティが出ている。

〇 読後感 ★★★☆☆
 よくよく考えてみたら悲しい話である。主人公の沙織への淡い恋は実らないし,カエは死んでしまう。カエの人生は寂しいものであり,最後にお姫様抱っこをしてもらうという夢はかなっているが,それだけに,なんとも言えない寂しさがある。最後の最後で,五十治がカエを好きだったことが時世の句で分かるというオチがあるが,これも事実かどうかは分からないし,逆に寂しさを引き立てている気もする。とはいえ,総司の前向きな姿勢で終わるラストはそれなりによい読後感でもあり,★3としたい。

〇 インパクト ★★★★☆
 熱中度が低いので,最後まで読まない人もいるかもしれないが,最後まで読むとそれなりにインパクトがある。内海カエと沙織,磯田総司,杉村女史と,ステレオタイプに治まらない登場人物のリアリティがインパクトを生み出しているのだと思う。ミステリとしてはともかく,小説としてはそこそこの成功だろう。

〇 希少価値 ★★★☆☆
 ひととおり売れてしまい,古本屋でも姿を見なくなってしまうと,重版が出る可能性は低そうな気がする。そんなに売れてなさそうだし。将来的には希少価値は上がりそうな気がする。

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2016年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若者と老婆の交流を描いた、ミステリ長編。
全体的な雰囲気や展開は、割とありふれたもの。
ただし、ミステリ面は巧みで、結末はそれなりに捻ってある。期待を裏切らない程度には面白い。
しかし、著者は若者を描くのが苦手に思える。他のキャラクター描写の水準を考えると、ちょっと紋切り型というかお粗末で、そのへんの小説に出てきそうなものになってしまっている。若干醒めてしまった。
あとは、本線の外側にあるエピソードたちの作り込みがやや過剰か。なんだかもったいなく感じる部分がいくつかあった。
と、散々文句を上げたが、話も面白かったし、雰囲気も独特で充分楽しんだ。
3+

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2016年06月12日

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