あらすじ
山とは即ち異界なり。
山小屋の主人や登山者たちが経験したこの世の現象とは思えない奇妙な56の実話拾遺集。
登山歴40年を超える著者が、山小屋の主人などから聞いた、ときに恐ろしく、ときに神秘的な、奇妙な山の体験談56話を収録。
<もくじ>
I 山の幽霊ばなし
真冬の幽霊/体が透ける/屋久島の幽霊/窓辺に座っていた幽霊/看板のなかの顔/車のドアを閉めた謎の手/人間が怖い/幽霊に助けられた女性たち/甲斐駒ケ岳の幽霊/避難小屋の怪
II 人智を超えるもの
浮かび上がる遭難遺体/夢に現れた遭難現場/「拝み屋さん」の予言/血を引く/霊が見える人たち/UFOの降りた山/もうひとりの登山者/謎の火の玉/静止する蝋燭の炎/幻のかりんとう/消える山小屋 /山の神に守られる?/大きな天狗/おいらんのかんざし/不思議な観音様
III 自然の不思議
森のなかから助けを求める声/死者を悼むリス/空飛ぶキツネ/水筒に助けられた登山者/逃げなくなった野鳥たち/寒気/ダケカンバの夢/七転び八起木/雷で育つアズマシャクナゲ/天狗が木を伐る/天狗のテーブル/消えた戦闘機/風穴に響く愛犬の声/七年に一度山中に現れる幻の池/雲が教えてくれたこと/「更級日記」と富士噴火の謎?
IV ひとの不思議
ザックの中身/謎のバンダナ/黒ずくめの遭難者/水晶山の遭難/消えたキスリング/オカリナ/山中の車/山上のストリーキング/中高年登山ブームのかげで/死相/赤い帽子/ツチノコより不思議な男/それでも医者か/水場のミステリー/山の仲間が支える命
*本書は2005年に東京新聞出版局から刊行された同名の書を再編集したものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
怪談から天狗、そしてUFOから「不思議な人」、あらゆるものが出現する山。もはや単なるちょっと高いところにある土地としては考えられない。
心を惹かれる一編はなかったが、人が山に向かうのは自然の中に向かう事で得られる何か、に出会いたいからではないか、と思えた。あれだけしんどかった登山もこうして振り返ればもうちょっと続けていればよかったかとちょっとだけ後悔。
Posted by ブクログ
異界としての山~1山の幽霊ばなし2人智を超えるもの3自然の不思議4ひとの不思議~やっぱりマタギの世界の方が不思議だけど、山小屋で働く人や登山者も不思議な体験をしている…らしい
Posted by ブクログ
本書では山小屋の主人や登山愛好家の山にまつわる奇譚集。
「山怪」とは違って、こちらは人に焦点が当てられる。
登山家の死相が見えたり、遭難者がどこで死んでいるかが分かったりする山小屋の主人や、
自分が死んだことにも気が付かずに山小屋を訪れる遭難者の魂など。
昭和中期から平成にかけて、山の怪奇が語られる。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 山の幽霊ばなし
第2章 人智を超えるもの
第3章 自然の不思議
第4章 ひとの不思議
<内容>
『山怪』が売れたせいか、こんな本も。これは「岳人」連載だったものを書籍化したもの。タイトルに”新版”とあるように、2005年初版のものをちょっと改変したもの。前半は山の怪談話だが、第3,4章は、山の生きもの(樹木も含めて)の不思議や山に入る人々の不思議話(”それでも医者か”は人間の怖さ)がまとめられている。
山は、古代から日本では「魔」の場所であり、「神」の領域であり、おそらく不思議が数多くあった場所名だと思う。そして、山に入る人々も変えてしまう場所なのではないか?(「医者」の話は全く別格で、その人間の薄っぺらさを表出したもの)読後感はそんな感じだった。また、プロが捜索してもわからなかった遭難者の発見が、血縁者にはたやすかったという、血のつながりが示す奇跡、というのも興味深かった。