あらすじ
「勉強しなさい」と親が言わなくても、子どもが自分から机に向かうやる気を育て、
変化の大きい時代でも、たくましく生き抜く力を子どもにつけさせたいと思う親の必読書です。
「下町のトップ校」と言われ、作家の芥川龍之介や堀辰雄を排出した名門、
都立両国高等学校・附属中学校の現役英語教諭による、
家庭でもすぐに実践でき、学力を伸ばす教育法を解説します。
キーワードは、「教えない」。
この「教えない授業」とは、文科省が提唱する「アクティブ・ラーニング」の手法で行われるもので、
生徒の自立を促し、学ぶ楽しさを実感させることで結果として成績を伸ばす授業といえます。
家庭での教育でも応用ができ、本書では親がすぐに実践できる家庭での「教えない」教育方法についても具体的な手法を述べています。
2020年度に大学入試は大きく変わります。背景にあるのは、AI(人工知能)が台頭する時代でも、
グローバルな環境に対応し、コミュニケーション能力の高い人材を育てるためには、教育が変わらなければ立ちゆかないという危機感です。
今後、ますます不確実性が高まる時代、企業が求める人材を高校と大学教育が手を組んで育てていかなければ、
日本は立ちゆかないという危機感とも言えます。
著者がなぜ「教えない授業」という手法にたどりついたのかの試行錯誤の過程についても詳細に述べるとともに、
生徒や保護者、他の教科の教師らの手記も収録し、多角的に「教えない授業」の効果について検証しています。
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Posted by ブクログ
山本先生の教員としての半生と、その中での経験からの教育哲学が感じ取れる。
指導者のための指導書的な側面もあるが、学校教育とはなにか、何のためのものか考えさせられる名著。アクティブラーニング全盛の走りとなった本。家庭教育へのエッセンスもあるので、お子さんをもつ保護者の方にもおすすめ。
以下、雑多なメモ。ーーーーーーーーーーー
教えない授業
・「知識をわかりやすく教える」→「問題解決の方法を支援する」ための手段
・授業の目的:自立した学習者を育てる
教室を居心地よくするためのルール
Everyone should
1.listen, speak, read , write and move.
2.enjoy making mistakes.
3.say “Thank you.” when your friends do something for you.
思考力・判断力・表現力をフル活用し、日常生活に結びつけた具体的な目標を設定することが必要
「学びの本質」それは学ぶことで他者と関わり自らの人生を作り上げること
What do you want to change to make the world a better place?
1、辞書を使えるようになる
2、文法の学び方を知る
3、仲間と共働して学ぶ
具体例
Q.なぜアルファベット覚えなければならないのか?
A.誰かに正確に綴りなどの情報を伝えるため
タスク:街にある英語の看板を掲げたお店を探せ
自分で問いを作り出す
①単語や文の意味を問うもの
②文法の知識を問うもの
③教科書の内容を問うもの
④教科書の内容から発展したオープンクエスチョン
「問い」からさらなる「問い」を生み出す
絵を描いて内容をイメージ化する
学び方の手段を増やしていく
個人・ペア・グループ
難関大学に合格する生徒の特徴
①生徒が自ら主体的に学んでいる
②大学で学びたいことが具体的にイメージできている
「自分で考え、仲間と協働しながら、より良い答えを見つけ出す経験」
家庭での「教えない」教育
・ポジティブな言葉で終わる言葉がけ
・交換ノート carpe diem
・「勉強しなさい」は子供が気持ちよく話しているときに
・子供に伝えたい4つのキーワード
①「forgiveの精神」自らを許し、他者を許す
The weak can never forgive forgiveness is that attribute of the strong.
②「プラスマイナスの法則」
人生は良い時もあれば悪い時もある
③「100回の法則」
あきらめる前に100回挑戦してみよう
④「習慣を変えるwith」
宿題の他に10分でも自分のための勉強することを推奨
好きなことをしているときに勉強道具を近くに置く
コマーシャルの間に教科書を三回音読する
・一緒に活動できなくても見ていることが大切
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「教えない授業」とは何か
第2章 英語で実践する「教えない授業」
第3章 「教えない授業」への道のり
第4章 「教えない授業」は大学入試に通用するか
第5章 「教えない授業」が学校を変える
第6章 家庭での「教えない授業」
<内容>
都立両国中高の英語科の教員、山本先生の本。アクティブ=ラーニングではあるが、「教えない授業」は微妙に違う。著者は、アクティブ=ラーニングは「手段」という。「教えない授業」にアクティブ=ラーニングは親和性が高いのだ。
私がこの本に興味を持ったのは、「教えない」部分。本校でアクティブ=ラーニング(最近はこの言葉を使わなくなったけど)を指導する産能大の小林先生も、ほぼ同じスタイル。生徒同士が教え合って授業が進んでいく。私はずっと「教える授業」。教えることが好きだったし、生徒は「知らないだろう」という考えを持っていた。事実、最近の生徒は知識が足りない。好奇心が足りないからだと思う。なので、絶対アクティブ=ラーニングは成り立たないと思っていた。しかし、ある日思った(『AIvs教科書の読めない子供たち』を読んだとき)のだが、こっちがどんなに教えても、生徒はこちらの言葉がわからないので、その教えが全く入っていないのではないか?教師よりも友だちの言葉(若者の言葉)の方が、伝わるのではないか?ということ。この授業はまさに「教えない授業」なので、その考えとも合致した。私には有効な手段(教え方)がないな、と思っていたが、この本にはヒントがいっぱい。新年度はチャレンジしていこうと思う。