あらすじ
人間の器量は、土壇場でこそ発揮される――。
ホンモノのリーダーとは、肩書きや年齢ではなく、本来の使命、すなわち「本義」に忠実に生きる人たちだ。
登場するのは、2011年東日本大震災による原発事故で事態収拾に奔走した吉田昌郎・福島第一原発所長、終戦時、邦人の帰国に力を尽くし、
戦後は「台湾」を救った根本博・陸軍中将、光市母子殺害事件で裁判を闘った遺族「本村洋さん」を支えた会社の上司や検事、イラン・イラク戦争で多くの邦人を救った商社マンらだ。
ひたすら自らの「本義」に従ったリーダーたちがとった「行動」とそのときの「心理」を克明に描き、リーダーの本来あるべき姿を描いた。著者初のビジネス書。
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Posted by ブクログ
元週刊新潮の編集長の門田隆将氏、各分野での深い取材力に感服するとともにその思想にも共感を覚える。 リーダーの本義はその存在意義を慮れば自ずと見えてくると筆者は言う。正誤は別として本義に忠実に生きる人が本物のリーダーであると。 取り上げられた何人かの中、最も琴線に触れたのは、戦後に台湾を救った事で有名な根本陸軍中将。結果として天皇陛下終戦の詔書に背く事になっても、ソ連から邦人4万人を救った決断と行動に真のリーダーを見た。 光市母子殺害事件の本村さんについては別著「なぜ君は絶望と闘えたのか」を読んでみたい。
Posted by ブクログ
福島第一原発の吉田所長、駐蒙軍司令官として在留邦人を救うため終戦の武装解除命令に従わなかった根本中将、イラン・イラク戦争でのトルコ機によるテヘラン脱出の陰の主役である伊藤忠商事の森永イスタンブール支店長、被害者のための司法のために闘い続けた光市母子殺害事件の本村さん、7球団で打撃コーチを務めた高畠さん、義のために戦った上杉謙信。
諸所の立場・役割=リーダーとして、なすべきことに従った実在の人物のエピソードを通じて、大切にすべきものが迫ってくる。
16-131
Posted by ブクログ
わが師(とこちらが勝手に思ってるだけだが)・日下公人先生も認める、日本の至宝のノンフィクション作家の門田隆将先生の新書がでた。それもビジネス書として。
タイトルは「リーダーの本義」
「本義」とは難しく言うと、「存在意義」のようなもので、家庭なら「お父さん」の本義は働きに行って、お金を稼いでくること。またその姿を見せること。
「お母さん」なら料理を作り、子供に善悪の価値判断を(これは「お父さん」も同じだが)植えつけることだ。
門田先生曰く、人にも「本義」があるように、組織にも「本義」はある。そしてその組織内には、さまざまなリーダーがいて、さまざまな「本義」を抱えている。
この著書は、そんな「本義」を全うした日本人をまとめたものである。
門田先生は、作品を書くとき必ず「その場に身を置いて」考えられるのだそうだ。
大東亜戦争や、凄惨な殺人事件などのノンフィクション作品を上梓してきた門田先生さえも、東日本大震災の時の福島原発の事故の時は「その場に身を置くこと」は恐怖だった。
なぜなら、テレビから「全電源喪失」「注水不能」「線量増加」「原子炉建屋への突入」などが報じられてきたからだ。
例えば「全電源喪失」とは、懐中電灯一本で過ごさないといけないことを意味する。「注水不能」と「線量増加」は炉心溶融(メルトダウン)が起こっていることを意味する。まさに阿鼻叫喚を思い起こさせるものだ。
門田先生のテーマは「毅然として生きた日本人像」であり、本書の一章と二章の福島第一原発元所長吉田昌朗氏も上記の対象になるのだ。
つまり本書はどう意思表示していいかといったという、組織のリーダーに「本義を守る日本人像」を提供しているのである。
そのような事に触れたかったら、ぜひ、本書の購入をお勧めします。