【感想・ネタバレ】愛加那と西郷のレビュー

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Posted by ブクログ

江戸時代、役人や身分のある流人が島妻を娶り、刑期を終えて本土に戻ることを許されても島妻は一緒について行くことができない。現代の感覚からすると理不尽なことだと憤りたくなるけれども、当時の奄美は薩摩藩に従属する立場であり、島の人々の地位が低かったことを初めて知る。

島妻の愛加那が西郷と暮らしていたのは3年にも満たない。二人は愛しあいながらもそれぞれが別々の思いを抱えているのが何ともせつない。西郷は国政を、愛加那は家族のことを。やがて帰還命令が下り別れの時が訪れる。

西郷が去った後の人生は愛加那にとって苦悩に満ちたものだったのだろうか。ユタという奄美の巫女が、本当の幸せとは自分がだれかの役に立つことだと彼女に語りかける。だとしたら、愛加那は数々の選択に納得した上で自分の人生を全うしたのではないか。同情的な目で見るのは彼女に対して失礼であろう。

敵に囲まれながらも歴史的偉業を成し遂げた西郷の精神的な拠り所だったのは、愛加那と流人時代を支えてくれた島の人々の存在であったと思いたい。

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2024年06月29日

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