あらすじ
それは愚策か、それとも起死回生の一手か?
早期退職し、故郷に帰ってきた元広告マン。午前中は、道の駅で働き、午後はのんびり海辺で過ごす生活を送っていた。ある日、市長の秘書をつとめる同級生が、市長直々のお願いがあるとやってくる。お願いとは、財政破綻目前の市のために、埋蔵金を発掘してほしい、というとんでもない依頼だった。日給に釣られ、半信半疑で着手することにした俺は、郷土史家を訪ね、小学校の裏山が怪しいという情報を得る。市の職員と二人で発掘をはじめたが、なにせ広大な土地だ。市に懇願して、人員を増やし、巫女の力を借り、なんと古銭の発掘に成功する。勢いに乗った発掘課は、やがて日照市の海軍工廠に眠るお宝の情報にたどりつく。彼らが発掘したお宝とは?
荒唐無稽、なのに感動の室積ワールドは今回も健在! 笑って泣ける最強エンタテインメント、いきなり文庫で登場!!
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Posted by ブクログ
財政難に悩むふるさとのため、主人公の筒井は市役所に努める同級生からの依頼により、「埋蔵金発掘課」の課長として仕事を始めることになります。
設定のハチャメチャ具合いはこれまでの作品同様、作者の「よさ」が出ているように思います。
ストーリー展開もスムーズで読みやすかったです。
特に、「カネ」を発掘することに終始するのではなく、歴史的な遺産や「記憶」を発掘して現在の社会に一石を投じるようなエピソードが挟まれているところなどは、単純なエンタメ作品とは一線を画す部分かもしれません。
この作品を通して、先の大戦で被害を受けた人々だけでなく戦争を経験したすべての人々に対して(被災者だけでなく、徴兵された学徒兵や、彼らの使用した武器や兵器を開発した若い技術者たちも含めて)想像力を働かせるきっかけにもなると思います。
といっても、主なテーマが戦争ではないので、そこまで「暗く」なることはなく、「読みやすさ」という面では大きな影響はないと思います。
しいて言えば、ラストの「後日談」的な部分が蛇足だったのかな(この作品の「オチ」ではあるので、まったく無駄というわけではないのでしょうが)という印象で、個人的には別の終わり方をしてほしかったな、とも思いました。