【感想・ネタバレ】なぜ国際教養大学はすごいのか トップが語る世界標準の大学教育論のレビュー

あらすじ

日本では18歳人口が減少し、「大学全入時代」といわれるなか、受験生の入試倍率は10倍、卒業生の就職率は100%――。秋田市内からクルマで30分、都会の華やかさとは無縁の緑に囲まれた大学に、なぜ全国各地から学生が集まってくるのか。その人気の秘密は、(1)すべての授業を英語で実施、(2)新入生は学生寮で留学生と共同生活、(3)在学中に1年間の海外留学を義務づけ……といった独自の教育システムにある。これらはすべて、世界で活躍するグローバル人材を育てるためのもの。著者曰く、「真のグローバル人材には、ただ外国語ができるだけでなく、国や人種の違いを受け入れるしなやかさ、自分の個を確立している人間力やコミュニケーション力が求められます」。これらの養成に欠かせないのが、昨今注目される「リベラルアーツ」教育なのだ。国際教養大学トップが自ら明かす、「全人力(リベラルアーツ)」を身につけるための“世界標準の大学教育”論。

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Posted by ブクログ

 著者は現学長。グローバル人材とはリベラルアーツを身につけたものである、という信念に基づいた大学作り。それは、実際は世界標準の大学を作るということにほかならないれど、日本のガラパゴス化した多くの大学との対比で見てみると、その違いはあまりに大きい。それが、入試倍率10倍、就職率100%の大学を実現させることになった。大学創立者の意思、信念による大学作りとその継続した実践は、APUの「混ぜる教育」(日経BP社)と同じである。国際教養大学もまた、混ぜる教育であった。
 リベラルアーツとは
「自分の意思で自由に生きていくために身につける芸妓」
「個人が習慣・束縛・偏見から自分を解き放ち、新たな自分を構築していくもの」
「自分の自分による自分のための学び」
「世の中がどのように変化したとしても、自分を見失わずに前を向いて歩み続けられる能力」
「真のリベラルアーツとは、自由人になるためのもの」

 東京大学「大学経営・政策研究センター」の全国大学生調査(2007年)によると、「大学1年生の1週間あたりの授業に関連する学修時間」は「0」が9.7%、1〜5時間が57.1%と1週間に5時間以下しか勉強しない学生が7割もいる一方、アメリカの学生は「0}はわずか0.3%。11時間以上が58.4%と対照的。国際教養大学はこの厳しさを日本に持ち込む。学修を強いるのである。だから、4年間での卒業率は50%程度という。これも国際標準。

 この大学の学生は50年後もきっと大丈夫、力強く生きているな、楽しく生きているに違いないな、と確信させる一冊。

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2017年07月16日

Posted by ブクログ

前学長の中嶋先生の著書と比べると、やや理想論がトーンダウンしている印象。でも、現状を踏まえ、今後の大学のあるべき姿を語り、その理想をAIUにて実践中、という想いは伝わってきました。
開学以来、なんとなく気になっている大学のひとつです。
なぜ、秋田の、しかも、かなり不便なところにいろんな国の学生が集まってくるのか本当に不思議でした。
・・・偏差値の高い大学に入れば、それで将来は安泰という時代は終わりました。という鈴木先生の言葉はみんな実感しているものの、だから大学で英語漬けになり、海外に1年間留学し、何かを身につける。という発想にはなかなかなれないものだ。これからもこの大学の発信には注目していきたい。

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2016年12月31日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  世界の大學で何が起きているのか
第2章  リベラルアーツと日本のエリート
第3章  ”秋田発”グローバルスタンダード大学
第4章  いま、日本の教育革命が始まる
第5章  世界標準の人材をつくるために

<内容>
”世界標準”な秋田県国際教養大学の学長の本。なるほど、世界標準だろう。今や首都圏の各大学も、英語で授業、英語系の資格をしっかりと取る、考える授業(アクティブ=ラーニング)、教養系の授業の充実(これはまだかな?文科省が否定的発言をしたから…)、こうした取り組みを始めている。日本史なんかは置いていかれているので、若干ひがみ気味ですが、基本的には賛成です。自分は棚に上げて(大学時代は結構遊んでましたから)、大学生はしっかりと勉強してほしい。世界を見てきてほしい。そして、日本のいや世界(地球)のために働いてほしい。

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2016年07月23日

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