あらすじ
演出家の妻になると、夫と共に芝居について語り、材木商と結婚すれば会う人ごとに材木の話ばかり。獣医を恋人にもった魅力的なオーレンカは、恋人との別れと共に自分の意見までなくしてしまう。一人ぼっちになった彼女が見つけた最後の生きがいとは――。一人のかわいい女の姿を生き生きと描いた表題作など、作者が作家として最も円熟した晩年の中・短編7編を収録。
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Posted by ブクログ
「中二階のある家」のリーダと画家の会話が面白い。貧しい労働者の支援に働いているリーダに対して、そんなことではなんの解決もできないと画家。人間の価値は精神活動をすることなのだから、労働に縛られる時間を大きく減らさなければだめで、要求事項や経費を増やすのは逆効果だと。
今の時代でも同じことと感じた。生活を質素にすればたくさん働かなくて済むと思うので。
「かわいい女」…タイトルに惹かれて読んでみた。なるほど、かわいい女というのは人に合わせる人で、合わせることが自分の自然なんだな。逆を考えるとかわいくない女は、自意識がしっかりしていて人の幸せと自分の幸せは別物と思うタイプだろうな。私は確実に後者(笑)。
「犬を連れた奥さん」…全集に入っているので名作なのかなと思いきや良さがわからず。今と違って当時は自分の意思で結婚相手も選べず、周りと合わせる振る舞いが大事だが、それが個人の幸せとは違うことに気づいた、ということかな。