【感想・ネタバレ】道然寺さんの双子探偵(2) 揺れる少年のレビュー

あらすじ

福岡の夕筑市にある寺院・道然寺で暮らす中学3年生のランとレン。人の善意を信じるランと悪意を敏感にかぎ取るレン、正反対の視点を持つ双子が活躍するシリーズ第2弾。熊本地震から逃れ、転校してきた少年の秘めた思いが引き起こした事件の謎を解き明かす。

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Posted by ブクログ


「ほかの誰かが苦しいからって、あなたが苦しんでいないことにはならない」

お寺で育つ中学3年生の双子のランとレン。善意を信じるランと悪意に敏感なレンの前に、熊本地震の被害から逃れてきた少年が現れる。
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シリーズ2作目。今作は長編で、ある少年との関わりを通じて双子探偵や一海さんの心境にも変化がある。実際に起こった熊本地震を取り入れて、地震の恐怖やそれに伴う人間関係や環境の変化が描かれていて、考えながら読んだ。過酷な状況でも、周りとどうしても比較してしまい、自分は苦しむべきでないと思ってしまうかもしれない。でも「ほかの誰かが苦しいからって、あなたが苦しんでいないことにはならない」という台詞から、もっと自分の心に素直になってもいい、助けを求めてもいいのではないかと気付かされる。今のこの時世もそうかもしれないな。
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ネタバレは避けたいけど、色んな人が出てくるが完全な悪人がいないのもこの物語の良さ。
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考え方の合わない教師に対しても、優れていた点を述べていたり自分自身の未熟さを振り返れる一海さんに幸あれ。
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2021年08月28日

Posted by ブクログ

「道然寺さんの双子探偵」の二冊目。日常の謎ミステリーですね。
2016年4月の震度7の熊本地震に天啓を受けて、書き下ろした小説だそうです。
岡崎さんは東京にいて、郷里の九州の地震の報に愕然とされたとの事。あまり大きな地震を経験することが無い九州地方の事なので、想像を絶した想いにいたって作品に導かれたようです。
物語は熊本地震によって、転校を余儀なくされた少年が、双子の中学校の同学年で転校してきた事から始まる。
レンとランそして新たに加わった、捨て子の赤ちゃんのリンと、一海をはじめとする道然寺の大人たちの人間模様が、岡崎さんの愛情あふれる筆で描き出されています。
「きみが誰かに守られたと感じたとき、そこにはきみを守りたいという、誰かの思いがあったんだよ」の言葉がささりました。
あとがきで岡崎は「それでも私は、震災を忘れてしまわないため、物語の中に書きとどめることに何か意味があることを信じたいのです」とつづられています。
作家さんも読者のわたしたちも、物語を通して復興の想いをあらたにできますね。いまだに復興は進行中ですから。

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2022年12月17日

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シリーズ2作目。
今回道然寺の双子というよりは副題の揺れる少年、雄哉と司の2人が中心。
震災の影響、トラウマ。そして非行といじめ問題。
様々な要素が絡み合って重い作品になっていました。
衝撃的な事件を経てラストに進む。
最後は救われたかな。

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2021年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一巻よりも俄然面白みが増していました。熊本地震を下敷きとし、これにより引っ越しを余儀なくされた親子と過去の地震にまつわる経験の呪縛にがんじがらめになっている親とその息子を軸に全編通しのストーリーになっています。
地震という一大事を絡ませたことで一巻と比べるとよりシリアスな印象(ライトな感じはない)。また雄哉と司の関係も単純なものではなく、ラン、レンの推理を以てしても一筋縄では対処できない複雑さが含まれています。
一巻ではランもレンも(多少の誤りを含むとはいえ)いとも簡単に謎を解いてみせる展開で、読み手としては一気に置き去りにされた感があり物足りなかったのですが、この二巻では物語の進行にあわせて二人の思考も進むので、読み手を引き込む(=読んでいてオモシロイ)構成になっていると思います。一海さんも一巻ではどちらかというと淡々とした人物像でしたが、この二巻では未熟さをさらけ出すが場面もあり、物語の登場人物としてはそのほうが親しみを感じやすいですね。続編が楽しみです。

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2019年10月30日

Posted by ブクログ

双子探偵シリーズ、第二弾。
前作は、双子のレンとランが懐疑派VS性善説派それぞれの推理を戦わせていくという短編集だったが、今回は熊本地震がきっかけで生活が変ってしまった少年たちを中心に描いている。

熊本地震で家が壊れ、家族で祖父母の家に住むことになって転校してきた、志垣雄哉(しがき ゆうや)と、
母子家庭で、地震以来母が家から出られなくなって収入が無くなり、腹を空かせた蓬莱司(ほうらい つかさ)の二人の少年の関係は複雑。

レンの活躍はあまりなくて(次回に期待)、人とかかわるようになったランの成長が嬉しい。

災害が人の心に残す傷、そのために変ってしまう家族関係。
それに伴い、中学生という多感な時期の、そこを過ぎてしまった大人たちには理解してもらえない焦燥が起こす事件と、彼らの心理の描写はとても丁寧。

作品の語り手で、見守り続ける窪山一海(くぼやま いっかい)とともに、何もできない自分の無力さに焦れてしまう。
いじめについての物語は、やはり胸が痛い。

まだまだ「修行が足らん」一海さん、レンに"甘い"と言われるのも分かるような気がする。
いつも、人を救いたいと思っているのだけど、救いたい、救えた、と思ったのにできなかった時、まだ若い彼はとても傷ついてしまうのではないかと思う。
いいかげんに見えて、その実、どっしりしていて、いざという時の一言は必ずその場を収める、父の真海さんの境地に達するのは、まだまだ先だろう。

第一章 お参りに来る少年
第二章 絆の在り処
第三章 失われた灯火
第四章 心の揺動
第五章 少年たちを揺らすのは

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2019年09月27日

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岡崎琢磨さんの作品。
熊本地震で被災した人たちで、それぞれに傷ついている人がいる。
助けたい思いがなかなかうまく回らない悲しさと言うか世知辛さも感じた。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

震災といじめを題材にした話でありながら、仏様という存在があるせいか、温かみの感じられる話だった。これだけ親身になって行動出来る大人というのはなかなか居ないもので、賢い子供たちと一緒に解決していこうというのがとても良かった。

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2019年11月18日

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