【感想・ネタバレ】あげくの果てのカノン 3のレビュー

あらすじ

超話題作! 1集、発売直後に緊急重版、4刷りめ! 異色のSF・ラブスト-リー!


日常は崩れゆく。
世界は悪化の一途。
恋心はまっすぐに、狂ったまま、重さを増していく。


この世界を救うヒーロー境と、彼に8年間片想いをよせる高月(こうづき)。
ふたりは
この“不道徳な恋”を誰も知ることのない北海道へと
エスケープするが…
不倫地獄のループを断ち切るため、妻は…!?

世界の緊迫と、個人の切実さが
はじけ飛ぶ
大注目、不倫SF、第三集!

...続きを読む

片思いは、一方的で独善的で暴力的。
なのに、よくある少女マンガは片思いの美しさばかり描いている。
リアルに片想いを突き詰めれば、ファンタジーでグロテスクでバイオレンスなマンガになってしまうはずなのに。
などと思っていたら、『あげくの果てのカノン』が現れた。

舞台は、エイリアンに侵食されつつある東京。
主人公のカノンが8年間思いを寄せているのは、高校時代の先輩であり今は特攻部隊の一員の境。
イケメンで、少しチャラくて人気者の彼は、巷のヒーローでもあり、既婚者でもある。
それでも気持ちを抑えきれないカノンは、ストーカーレベルで彼を想い続けていた。
少しずつ接近していく二人だったが、それをきっかけに世界は崩れ始め…。

この世界での特攻隊員は、体を損傷しても「修繕」されて戦い続ける。
しかし「修繕」には、性格や思考なども変化してしまうという副作用がある。
変わってゆく自分に戸惑う境に対し、何も知らないカノンは「ずっと好き」と告げる。
救いでもあるはずの言葉だが、果たしてそれは本当に信じてよい気持ちなのか。
ファンタジーの世界でなくても、人間の細胞は数年ですべて入れ替わる。
年を取れば性格も変わっていく。それでもなお、一人の人を好きでいる気持ちは正しいものなのか…?

世界の状況がどうであれ、恋する気持ちは常にエゴイスティックに暴走していく。
SFマンガを敬遠しがちな、少女マンガファンにこそ読んでほしい、痛々しい作品です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

今巻では、先輩の故郷へ不倫旅行が敢行される。
旅先で、先輩の記憶がすり替わっていることを再確認するシーンは、設定や台詞も上手いけれど、それ以上に情景描写が巧み。視点を切り替えて描いた同じ場面を、ふたつの見開きとして連続させているページにはある種の緊張感がある。

巻の終わりでは先輩の妻が、エイリアン「ゼリー」を東京へ解き放つ。物語は着実に進んでいるように思われ、果てにどこへ着地するか分からないけれど、続きが気になる。

0
2017年08月15日

「青年マンガ」ランキング