あらすじ
恋人と過ごした不貞の日々。世間の外側で生きる、ただ一人の親友。毎週、同じ時間にかかってくる母親の電話。ちらつく父親の記憶。知らない誰かが奏でるピアノの音。──すべてが澱のように、少しずつ心に沈殿してゆく。「ねえ、私、どうしたらよかったんだろう?」第31回太宰治賞受賞作。「変わらざる喜び」改題。書き下ろし「お気に召すまま」収録。
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Posted by ブクログ
表題作は入り込めなかったな。
題名の意味も「こうゆうとこ??!!」って感じ。
主人公の性格や言動がちょっとね・・
「お気に召すまま」のほうがわかりやすかった。
もっとどろどろぐるぐる心をえぐってくるかと思いきや、そうでもなかった。
Posted by ブクログ
第31回太宰治賞受賞作品。
表題作『名前も呼べない』ほか、書下ろし短編『お気に召すまま』も収録されている。
どちらも子ども時代に負った傷を身の内に宿したまま大人になった女性が、自らの罪と対峙するというモチーフが織り込まれている物語だった。傷を負った場面の状況は詳細に描写されていない。ただその時や現在の主人公の感情が、日常生活の合間にふと現れ痛切に語られる。だから読んでいる途中相当心抉られたのだが、でも最終的には癒しの物語だと思う。
次回作も楽しみ。これは波長が合う人にはとことん合う系統の小説だと思う。孤独な女性の、生臭くない透明なリアリティがある。
以下重要な部分のネタバレ含みます。
『名前も呼べない』の方で、
「宝田主任がどうこうじゃない。みんなが当たり前みたいに、男と女は結婚して子ども作るのが当然で、結婚してる男と女が近づいたら不倫で、父親の死に目にも遭わない結婚しない娘は親不孝で何かがあって、そんな目でしか物事をみないで、見るだけならまだしも当たり前みたいに圧しつけてきて、そんな中で生きなきゃいけないのが最悪って言ってるの」(p138)
主人公のこの台詞、自分に投げつけられたような気がしてはっとした。だって、主人公の「恋人」は明示されるまでずっと宝田主任の方だと思っていたから。自分より背が小さいとか、回想での「恋人」の口調とか、あからさますぎる程本当の「恋人」は宝田主任の「妻」の方だと示されていたのに。当たり前のように「男と女が近づいたら不倫」だと思い込んで、些細な違和感を流していた。これはけっこう、かなり読者に対する強烈なパンチだと思う。衝撃を受けた。
こんなんじゃ確かに生きにくいよね、ごめんなさい。
Posted by ブクログ
元職場の女子会で、自分の恋人に娘が生まれたと聞かされた。
恋人は家族のある人、不倫の関係であった。
恋人って言い方が気にはなっていたけど
そういうことね。
とにかく恵那が重いし、なんか好きじゃない。
子どもの頃の出来事や、初めに就職した保育園での出来事かわいそうだけどね。
亮子の恵那への気持ち、子どもの頃の父親との出来事もホントはどうなのか、メリッサとのこれからは、とかいろいろ気になる。
Posted by ブクログ
「名前も呼べない」
騙された... ずっと宝田(夫)と不倫してるのかと思ってた。これぞ、先入観です。
メリッサはとても素敵な人だと思いました。
「お気に召すまま」
割と好きでしたね。全部ものごとに理由をつけなきゃいけない奴らなんて放っておきなさい。というこにスカッとした。
最初の方読んでて、ずっと 元夫が頭良い嫌な人で "対等” な関係を望めなくて、自分というものを無くしてしまいそうになっている人の話かなと思ってたけど、違うかった。
生徒に対して 自分のせい だと思うのはやめなさい。そんなのは貴方の手にあまる問題であるし、1回や2回の過ちで、挽回の機会の一切を奪われるなんて、そんなことがまかり通ってたまるかと 思ってあげてるのがよかった。その言葉、そのまま自分に贈ってあげてください美波ちゃん。