あらすじ
この国を守るのは「官」ではない。テロに戦慄する現代日本と地続きの“知られざる”警備業の歴史とは?セコムとアルソック――1964年東京五輪を契機に現れた、二大民間警備会社の勃興と確執。2020年東京五輪を掴んだ作家が緻密な取材と卓越した視点で、隠された戦後史を照射し未来を予見する。(あらすじ)テロへの不安、日本の安心・安全は誰が守るのか?1962年、日本初の民間警備会社・日本警備保障(現・セコム)を起業した二人の若者は、1964年の東京五輪で選手村の警備を一括受注し、脚光を浴びることとなる。そして、その東京五輪で選手村の警備をセコムに発注したのが、のちに綜合警備保障(アルソック)を設立する警察官僚だった。「民」と「官」――。出自と起業の思惑も対照的だったが二社は、永山則夫事件など時々で交錯。歴史の奇妙な因縁に縛られていく――。日本を防衛する軍隊として23万人の自衛隊が存在する。国内の治安は24万人の警察官があたる。彼らのために国民は税金を支払っている。いっぽう民間の警備員数は警察官の2倍、50万人余である。日本の治安は、いまや「3兆円産業」に拡大した民間警備業市場の力を無視することができない。(本文より抜粋)
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Posted by ブクログ
【178冊目】23万人の自衛官、24万人の警察官に対し、民間警備員数は50万人。今や日本の治安は、民間警備産業無しには成り立たないというキャッチフレーズに引かれて購入。なぜなら、この事実を知らなくて驚いたから。
どういう内容の本なのかよく分からず、現在の警備業の実態を詳述したルポルタージュだと予想して読んでいたら、実際は警備業の歴史的発展を書いたものでした。1962年の2人の若者による日本警備保障創業(現売上高5000億円)、1964年の東京五輪を挟んで、元警察官僚による綜合警備保障創業(同3000億円)、テレビドラマ「ザ・ガードマン」の追い風による急速な発展と、その結果としての職員の管理不行き届き、そして、警備業法成立により警察庁が主務官庁となる。後藤田正晴警察庁長官には「必要悪」とされた警備業が、佐藤英彦長官になると公警察の重要なパートナーと位置付けられるようになる。そして、時代は、テロを重要なリスクファクターとする2020東京五輪へ。
なお、WBSによると、現在、警備員は人手不足だそう。あと、ウェブサイトの脅威監視にまでセコムが進出していることも最近知り、驚いた記憶がある!