あらすじ
ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」でも、いってしまった。―埼玉郊外の下請け会社に、事務として中途入社した、澤野睦美。恋人・四郎と同棲する彼女に、不意に訪れた心変わりとは?話題の表題作ほか、「センスなし」を収録。恋をめぐる心のふしぎを描く魅力あふれる小説集。
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Posted by ブクログ
初長嶋有。
表題作と「センスなし」からなる中編集。
1999年って、カセットテープと携帯電話が共存する不思議な時代だったんだよなー。ってことを思いながら読んでました。
泣かない女はいない。
タイトルがめっちゃ素敵。
変化がまるで感じられないような日常の中、昨日とは何かが違うと感じ取れる睦美の心の変化がリアルに伝わってきて、何だか切なかったな。
だって惹かれる気持ちって誰にも止められないんだもん。
泣いたことがない。という彼女が泣いたとき、それは幸せな涙であってほしいけど、人は案外幸せな場面では泣いたりしないのかも。ということを思いながら読んだ一冊でした。
でも、最後の場面では追いかけて行って欲しかったな。というのが私の思いです。
「センスなし」は、額に『肉』くだりがよかったです。