【感想・ネタバレ】こんなわたしで、ごめんなさいのレビュー

あらすじ

女性管理職+学者の妻+娘の母親の三役をこなし、皆が羨む存在だったのに、最近職場で孤独を感じ、暗い毎日を送る、表題作のワーキング・ウーマンほか、婚活を放棄したOL、対人恐怖症の美女、デコデコ・フリフリファッションの少女趣味なオバさんなど、いろんな「わたし」が登場。欠点や弱点、悪い癖を自分から引きはがせずにあがく女たちの悲喜こもごも、人生にジタバタ、ドタバタする「わたし」たちの生態を、ユーモラスに、シニカルに、そしてほろりと描き出す。「平節」炸裂の傑作コメディ7編。――「そんなあなたを許します」と誰かが言ってくれるまで、先は長いぞ、頑張ろう! 解説/中江有里

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きな平さんの痛快コメディ7編。
今回も、「いるいる、こんな奴!」ってリアリティをとことん攻めてくれる話ばかりで嬉しい☆
とくに気に入った話は以下↓

『婚活の外へ』
もはや(私の中限定で)共感の嵐!笑

「そんなおとなしそうな顔してるけど、あなただって、計算してるでしょ。小宮山さんの条件のよさは手放すには惜しいから、迷うのよね。でも、本当に計算高い女なら、迷ったりしない。迷うってことは、あなた、小宮山さんのこと好きになれないのよ。〈後略〉」(31頁)
うっ図星。でも何を基準に選ぶのが正解か分からないんだもん、しょうがない。
だけどセリフのとおり、“好きになれない相手”とだけは結婚しない方がいい気がする…。

〝思い返すと、一番ムカついたのは、彼が正しさを発揮したときだ。〟(35頁)
そう!そして、正しさを否定する自分はなんて狭量なやつなんだ~って自己嫌悪になっちゃう。
しかーし!この作品は私に答えをくれた。
正しさの中に必ずしも愛があるとは限らないし、正しさが人を傷つけることもあるってことをね!!
…っていうか、小宮山さんは絶対“いい人”じゃないでしょ。“正しさ”を人に押し付けるのはもう、正しい行いとはいえないもん。(それに本当は偏見まみれの人だし)
まぁ、彼はその後いい奥さんとの出会いで改心(?)したようだが。
やっぱり出会いは人を変えるのね♪

『どうか小さな幸せを』
〝だって、もしかしたら、この人は違うかもしれないじゃない?〟と淡い期待を持たせておいて…「僕も豊中さんの胸、こそっと気にしてました〈後略〉」…からの、〝ブルータスよ、おまえもか。〟で盛大に吹いたw
コンプレックスって、結局は自分自身の劣等感との闘いなのかな…。
せめて一人でも「そこがいいよ」って言ってくれる人がいたら、それだけで単純に救われちゃう気もするけど…難しいかな?

『自然の法則に従って』
〝そうだよ。結婚に求めるものは、生活の安定なんかじゃない。総合的な愛よ。家族愛よ。〟(158頁)
愛だけでは結婚できないとか,結婚と恋愛は別とか,将来のことを考えて結婚すべきだとか…
色々な意見があると思うけど、「結婚とは何ぞや?」はもう、この一節に尽きるんじゃないかと思えるぐらい納得。
話そのものもすごく面白かった!

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2021年10月26日

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