【感想・ネタバレ】BCG流 戦略営業のレビュー

あらすじ

2016年より最強コンサルティングファーム、BCGの日本代表に就任した気鋭のコンサルタントがロジカルに、時に泥臭く解説。紹介する手法は、すべて著者が実際のコンサル現場で磨き上げ、結果を出してきたもの。どの企業でも応用可能な「型」として普遍化し、具体的なノウハウとして紹介します。

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ネタバレ

『BCG流 戦略営業』統合・詳細レポート

― 営業を「属人的な成果活動」から「顧客価値を継続的に生み出す組織能力」へ変える

著者:杉田浩章
書籍:『BCG流 戦略営業』日本経済新聞出版

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0. エグゼクティブサマリー

本書、とりわけ今回読み込んだ「営業TQM」の議論を一言で表現すると、

営業成果を直接追いかけるのではなく、顧客価値を起点に成果が生まれる因果構造を特定し、その原因側にある行動を計測・改善・習慣化することで、営業を再現可能な組織能力へ変える方法論

である。

一般的な営業マネジメントでは、

* 売上
* 粗利
* 受注件数
* 達成率

といった「結果」が管理の中心になりやすい。

しかし、結果は発生した時点ですでに過去であり、結果だけを見ても、

* なぜ成果が出たのか
* なぜ成果が出なかったのか
* 明日から何を変えるべきなのか

は分からない。

そのため、本書では営業マネジメントの対象を、

結果 → 顧客価値 → プロセス → 行動

へ遡らせていく。

さらに、正しい行動を発見するだけでも足りない。

それを、

行動KPI化 → 週次レビュー → ダッシュボード → 現場コーチング → 修正 → 再実行

という短周期の管理サイクルへ組み込み、最終的に「言われなくても自然にできる」レベルまで習慣化する。

営業TQMは、したがって単なるKPI設計論ではない。

その全体像は、

顧客価値を定義し、成果との因果をデータで解明し、その原因となる行動を標準化し、短周期で観測・診断・改善する営業オペレーティングシステム

として理解するのが最も適切である。

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1. 本書が問題視する従来型営業マネジメント

営業組織には、典型的に次のような問題がある。

1. 売上目標偏重

「前年比110%」
「今期10億円」
「シェア20%」

といった、自社都合の目標が営業組織に降りてくる。

もちろん売上や利益は重要である。

しかし、それだけを営業担当者の直接目標にすると、

「顧客に価値を提供する」

よりも、

「今期の数字を達成する」

ことが優先される危険がある。

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2. 結果しか見ない

売上未達になると、

「なぜ売れなかったのか」
「もっと頑張れ」
「訪問件数を増やせ」

といった指導になる。

だが結果だけを見ても、改善策にはならない。

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3. トップ営業への属人化

営業成果が高い人について、

* センスがある
* 人脈がある
* 話がうまい
* 勘がいい

と説明して終わる。

すると、その営業能力は本人に閉じた暗黙知のままであり、組織へ移転できない。

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4. KPIが「測りやすさ」で決められる

架電数、訪問数、提案件数など、

測れるからKPIにする

ということが起こる。

だが、

測れる行動 ≠ 成果を生む行動

である。

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5. 改革がイベントで終わる

研修を実施する。
新KPIを設定する。
営業会議を変更する。

しかし、数カ月後には元の行動へ戻る。

この根本原因は、習慣化の仕組みが設計されていないことにある。

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2. 営業TQMとは何か

TQMは本来、製造業で発展したTotal Quality Managementである。

製造では、

* 品質を定義する
* 工程を分解する
* 異常を検知する
* 原因を特定する
* 工程を改善する
* 再発を防止する

という管理が行われる。

本書の革新性は、この思想を営業へ持ち込んだことにある。

営業も、

人のセンスで売る仕事

ではなく、

成果が生まれる工程を科学し、品質を継続改善できる仕事

として捉える。

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3. 営業TQMの全体構造

営業TQMは、3フェーズ・10ポイントで構成される。

第1フェーズ|営業価値メジャーの設定

1. 内向きの力学から外向きの価値へ
2. 事実の力をテコに切り込む
3. 営業の存在価値をメジャーに落とし込む

第2フェーズ|行動KPIの設定

4. 「結果・数値管理」から「行動・プロセス管理」へ
5. 正しい行動のモノサシ=行動KPIをセットする
6. 行動KPIをプラクティカルなものにする①
7. 行動KPIをプラクティカルなものにする②

第3フェーズ|習慣化マネジメントの導入

8. 週次で行動管理サイクルを回す
9. ダッシュボードで「見える化」する
10. 現場マネジャーを再生する

この構造は、

What Value
↓
What Behavior
↓
How to Sustain

という三層構造になっている。

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4. 第1フェーズ|営業価値メジャーを設定する

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4-1. ポイント1|内向きの力学から外向きの価値へ

「売上」ではなく、その手前の顧客価値を見る

営業組織が最初に問うべきなのは、

われわれの営業組織は、顧客に何の価値を生み出すために存在しているのか

である。

これが営業TQMの出発点となる。

売上や利益は、企業にとって必要だ。

しかし営業担当者の日々の思考を「売上」に固定すると、

* 月末の押し込み
* 不要な商品販売
* 過剰な値引き
* 顧客より社内事情を優先

という行動を誘発する可能性がある。

したがって、

企業都合の成果目標

から、

顧客・市場に対して生み出す価値

へ視点を移す必要がある。

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4-2. 健康管理の比喩

本書では健康管理が繰り返し例に使われる。

「体重を減らす」

だけを目標にすると、筋肉まで落ちても目標達成になる。

しかし本来求めているのは健康である。

そこで、

* 体脂肪率
* 血圧
* 運動
* 食事

など、より本質に近い指標を見る。

営業も同様である。

売上だけでは、営業活動の質は分からない。

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5. KPIは人間の行動を変える

営業価値メジャーは単なる測定指標ではない。

「何を測るか」は「人に何を考えさせるか」を決める。

例えば、

製品別売上を評価する

なら、営業は、

「どうすればこの製品を売れるか」

を考える。

一方、

顧客当たり売上を評価する

なら、

「この顧客には本当に何が必要か」

を考えるようになる。

つまり、

KPI → 問い → 思考 → 行動 → 文化

という連鎖がある。

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6. IBMの事例|製品起点から顧客起点へ

ルイス・ガースナーによるIBM変革は象徴的な事例である。

従来は、

「メインフレームを売る」

ことが営業の中心だった。

それを、

「企業にソリューションを提供する」

という考え方へ転換した。

評価指標も、

製品・サービス別売上
から
顧客当たり売上

へ変える。

これは単なるKPI変更ではない。

営業組織の問いを、

「何を売るか」

から、

「顧客に何を実現するか」

へ変える経営改革だった。

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7. 内向き目標と外向き目標

営業TQMでは、次の因果関係を重視する。

顧客への価値提供
↓
顧客満足
↓
継続利用・購買
↓
売上増加
↓
利益増加

つまり、

売上を直接増やそうとするのではなく、売上が増える条件を作る。

これが外向きの目標である。

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8. ポイント2|事実の力をテコに切り込む

営業価値メジャーは、経営者や営業責任者の思いつきで決めてはいけない。

必要なのは、

仮説
↓
データ分析
↓
検証
↓
修正
↓
再検証

である。

営業TQMは、いわば、

Hypothesis Driven × Data Driven

の営業改革である。

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9. データ分析の役割は「レポーティング」ではない

営業データを分析する目的は、

「現状をきれいに説明する」

ことではない。

目的は、

従来の常識を壊し、意思決定を変えること

にある。

組織には、

* 昔からの成功体験
* 上司の信念
* 業界常識
* 営業の経験則

がある。

その中には正しいものもあるが、環境変化によって誤っているものもある。

データは、その前提を客観的に問い直す。

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10. Z社の事例|大口顧客ほど儲かるとは限らない

日用雑貨品メーカーZ社では、市場価格下落によって収益性が悪化していた。

そこで取引先別に、

* 売上
* 販促費
* 人件費
* 流通費
* 隠れた対応コスト

などを再計算した。

その結果、

売上規模と最終収益性には明確な相関がない

ことが判明した。

さらに同程度の売上規模でも、

利益率に最大約20ポイントもの差

が存在していた。

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11. 「もっと売る」以外の利益改善

この発見から重要な示唆が得られる。

利益が低い場合、必ずしも、

売上を増やす

必要はない。

例えば、

* 過剰販促を減らす
* 営業工数を見直す
* 物流条件を変える
* サービスレベルを適正化する
* 低収益顧客の商談条件を変える

ことで収益を改善できる。

つまり、

顧客ごとの経済性を理解することが営業戦略になる。

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12. ポイント3|営業の存在価値をメジャーに落とし込む

営業価値を理解したら、それを、

組織が追跡可能な数値

へ変換する。

ここでのKPIは、

「営業組織が存在する意味」を数値化したもの

であるべきである。

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13. 再春館製薬所|顧客との関係性を測る

再春館製薬所では、

「短期売上」

だけではなく、

顧客と出会ってから1年間の関係性

に着目する。

* 購入回数
* 継続
* 残存率

などを重視する。

こうすると営業担当者の問いは、

「今日どう売るか」

ではなく、

「どうすれば長期的に顧客との関係を築けるか」

へ変わる。

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14. 価値観はオペレーションまで落とさなければ意味がない

「顧客第一」
「お客様志向」

と掲げる企業は多い。

しかし理念だけでは行動は変わらない。

営業TQMでは、

価値観
↓
営業価値メジャー
↓
行動モデル
↓
ツール
↓
研修
↓
パイロット
↓
全社導入

まで落とす。

つまり、

理念をOperating Modelへ翻訳する

ことが重要なのである。

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15. 第2フェーズ|行動KPIを設定する

ここから、営業価値を生み出す「原因側」へ入る。

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16. ポイント4|結果管理から行動・プロセス管理へ

従来の営業管理では、

* 売上
* 利益
* 受注
* 成約率

を見る。

しかしこれらはすべて、

結果指標=Lagging Indicator

である。

結果が出てからでは改善が遅い。

そこで、

結果を生む前段階の行動

を管理する。

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17. 健康管理で考える

体重や血圧は結果である。

改善したいなら、

* 1日の歩数
* 摂取カロリー
* 塩分
* 飲酒
* 運動

を見る。

営業も同じ。

行動
↓
顧客価値
↓
商談成果
↓
売上・利益

という構造で管理する。

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18. 行動KPIは「操作可能な先行指標」

売上は直接操作できない。

しかし、

* 誰に会うか
* 何を聞くか
* 何を伝えるか
* どれだけフォローするか

は操作できる。

したがって、

営業管理は、コントロール不能な結果ではなく、コントロール可能な行動を対象にすべき

という考え方になる。

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19. 営業の暗黙知を形式知化する

トップ営業について、

「センスがある」

で終わらせてはいけない。

例えば、

* 商談前に何を調べるか
* 誰に会うか
* どの順番で質問するか
* どのタイミングで提案するか
* どうフォローするか

まで分解する。

すると、

トップ営業の暗黙知
↓
観察可能な行動
↓
行動KPI
↓
組織標準

へ変換できる。

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20. TQMの狙いは「スター育成」ではなく「底上げ」

営業TQMの目的は、

トップ2割をさらに伸ばすだけではない。

むしろ、

中位6割・下位2割を引き上げる

ことで、営業組織全体の平均値を上げる。

つまり、

個人エース依存から組織能力依存へ移る。

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21. ポイント5|正しい行動KPIを見つける

重要なのは、

測れる行動をKPIにすること

ではない。

成果との因果関係が強い行動をKPIにすること

である。

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22. 架電数・訪問数を安易にKPIにしない

例えば、

* 電話100件
* 訪問20件
* 提案10件

をKPIにしても、成果につながらなければ意味がない。

重要なのは、

何をすると顧客価値が増え、最終成果が上がるのか

である。

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23. 行動KPIも仮説である

行動KPIは一度決めて終わりではない。

仮説
↓
試す
↓
成果を見る
↓
因果を検証
↓
修正

を繰り返す。

行動KPI自体も、改善対象である。

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24. リクルートエージェントの示唆

行動KPI設定までには、

* 多数のインタビュー
* 行動観察
* 大規模データ分析

などが行われる。

定性情報だけでも、定量情報だけでも足りない。

Qualitative × Quantitative

で成果行動を特定する。

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25. ポイント6|行動KPIをプラクティカルにする①

昨日を振り返り、明日を考えられる指標にする

良い行動KPIには、

短い時間軸で結果が把握できる

という条件が必要である。

数カ月後にしか結果が分からない指標では、日常改善には使えない。

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26. KPIは短周期のフィードバック装置

理想は、

昨日の行動
↓
今日確認
↓
明日修正

できること。

営業では日次が難しくても、

週次

であれば十分実用的な場合が多い。

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27. 「量」だけでなく「質」を見る

訪問回数を増やすだけでは不十分。

重要なのは、

* 誰に会ったか
* 何を話したか
* どんな価値を提供したか

である。

つまり、

Activity
ではなく
Effective Activity

を見る。

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28. MRの事例

医薬品営業で重要なのは、

「医師に何回会ったか」

だけではない。

* 適切な医師か
* 必要な情報を伝えたか
* 製品理解を促したか

まで見なければならない。

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29. 代理指標=Proxy KPIを使う

最終成果との因果が直接測れない場合は、

代理指標

を用いることもできる。

例えば、

販促資料送付量
と
数週間後の成約

に安定した相関があるなら、資料送付量を日常行動KPIにする。

重要なのは、

完全性より、操作可能性と検証可能性

である。

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30. ポイント7|行動KPIをプラクティカルにする②

複雑さを排し、シンプルにする

営業管理を精緻化しすぎると、

KPIが増殖する。

すると現場は、

* 覚えられない
* 優先順位が分からない
* 何も徹底できない

状態になる。

したがって、

KPIはできる限り少数化・単純化する。

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31. 再春館製薬所|現場で使える言葉へ落とす

行動規範を、

誰でも理解できる簡潔な言葉へ翻訳する。

重要なのは、

「精緻なマニュアル」

ではなく、

現場で瞬時に判断できる原則

である。

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32. ユニ・チャーム ペットケア|「1P」

重点課題を一つのPriorityへ集約する。

例えば、

主要80社を月4回訪問する

など、誰でも理解できる具体的な目標にする。

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33. 「何をやらないか」を決める

優先課題を増やすほど成果が出るわけではない。

むしろ重要なのは、

一つを定着させるまで次を増やさない

こと。

フォーカスとは追加ではなく、選択である。

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34. 第3フェーズ|習慣化マネジメント

ここからが、営業改革を一過性で終わらせないためのフェーズである。

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35. ポイント8|週次で行動管理サイクルを回す

正しい行動を定義しても、

人は時間が経つと元へ戻る。

これは健康管理と同じである。

* ダイエット
* 禁煙
* 運動

も、「正しい方法を知ること」と「続けること」は別問題だ。

営業改革も同じ。

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36. 習慣化は意思ではなく仕組みで行う

営業TQMでは、

実行
↓
週次計測
↓
レビュー
↓
原因確認
↓
次週修正

を繰り返す。

月次では遅い。

日次では負荷が高すぎることが多い。

したがって週次が重要な運用周期となる。

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37. 週次レビューは報告会ではない

本来の目的は、

Learning & Decision

である。

前週の数字を読み上げるだけなら価値はない。

確認すべきなのは、

* 何をしたか
* 何が起きたか
* なぜ起きたか
* 次週何を変えるか

である。

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38. ユニ・チャーム ペットケアのSAPS

毎週、前週をレビューし、

* 今週の戦略
* 行動計画

を話す。

他者からも意見・助言を受ける。

このサイクルが、

業績管理
だけでなく、
人材育成

としても機能する。

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39. 階層別にレビューを入れ子化する

大組織では全員で毎週レビューできない。

そこで、

営業担当 ↔ チームリーダー
↓
チームリーダー ↔ 課長
↓
課長 ↔ 部長
↓
経営

のようにレビューサイクルを階層化する。

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40. ポイント9|ダッシュボードで「見える化」する

営業TQMでは、

問題は見えなければ改善できない。

そこで行動KPIをダッシュボードにする。

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41. 営業版「アンドン」

製造現場では異常が発生すると、

* ランプが点く
* 問題を知らせる
* 即座に対応する

というアンドンがある。

営業も同じ。

行動KPI異常
↓
可視化
↓
即対応

という仕組みにする。

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42. Q社のダッシュボード

支店・課・個人ごとに、

* 顧客訪問数
* セールストーク認知率
* セールストーク当たり売上高

などを表示する。

さらに、

青:目標達成
黄:90%以上
赤:90%未満

と色分けする。

すると、

どこに手を打つべきか

が瞬時に分かる。

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43. ダッシュボードは管理資料ではなく行動誘発装置

理想のダッシュボードは、

View
↓
Notice
↓
Diagnose
↓
Act

につながる。

表示して終わりではない。

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44. 横比較は組織学習を促す

チーム内で、

「なぜAさんはできているのか」

を考える。

すると、

個人ノウハウ
↓
共有知
↓
組織能力

になる。

見える化には、ナレッジ共有の効果もある。

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45. ポイント10|現場マネジャーを再生する

営業TQMの最後の鍵は、

現場マネジャー

である。

どれだけ優れたKPIやITを導入しても、現場管理職の行動が変わらなければ定着しない。

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46. マネジャーの5原則

① 結果で詰めずに行動で詰める

売上を詰めるだけでは、

* 言い訳
* 精神論
* 責任回避

が起きる。

本人がコントロールできる行動を確認する。

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② 一つずつ、一人ずつ積み上げる

複数課題を一度に解こうとしない。

一課題
↓
改善
↓
定着
↓
次へ

と進む。

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③ 同行してコーチングする

数字では原因が分からない場合、

現地現物

で観察する。

顧客との対話、店頭、提案、業務工程を見る。

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④ しつこく質問を繰り返す

表面的な理由で止めない。

「なぜ」を繰り返す。

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⑤ 全員に同じ行動を続けさせる

理解しただけでは足りない。

理解
↓
実行可能
↓
反復
↓
習慣

まで持っていく。

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47. 「なぜ5回」で結果から真因へ遡る

例えば、

なぜ提案が通らなかった?
↓
信頼関係が弱かった

なぜ信頼関係が弱かった?
↓
バイヤーへの接触頻度が低かった

なぜ接触が少なかった?
↓
会いに行くことをためらっていた

なぜためらった?
↓
上位意思決定者へのアクセスが難しいと思っていた

本当に手段はなかった?
↓
他部門から紹介を受ける方法があった

ここまで掘ると、

「営業力が弱い」

という抽象論から、

意思決定者への紹介ルートを作る

という具体的行動へ落とせる。

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48. マネジャーは答えを教える人ではない

優れたマネジャーは、

Answer Provider

ではなく、

Thinking Facilitator

である。

本人に考えさせ、

* 原因を言語化
* 次の行動を決定
* 実行
* 振り返り

させる。

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49. 「分かった」「できる」「習慣」は違う

営業改革では、

Level 1

分かった

Level 2

言われればできる

Level 3

自分からできる

Level 4

無意識に繰り返せる

まで進める必要がある。

本書が狙っているのはLevel 4である。

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50. 営業TQMを閉ループシステムとして捉える

ここまでの議論を統合すると、営業TQMは次の閉ループになる。

顧客価値
↓
営業価値メジャー
↓
成果KPI
↓
行動KPI
↓
実行
↓
短周期計測
↓
ダッシュボード
↓
異常検知
↓
現地現物
↓
原因分析
↓
コーチング
↓
行動修正
↓
再実行
↓
習慣化
↓
組織能力化

これが本書の中核思想である。

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51. 営業TQMにおける3種類の指標

実務上は、次の三層で考えると理解しやすい。

層代表指標役割
最終成果売上、利益経済成果
営業価値メジャー顧客継続、顧客当たり売上等顧客価値
行動KPI訪問、情報提供、意思決定者接点等先行指標

最も重要なのは、

三つを因果でつなぐこと

である。

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52. 本書から抽出できる「KPI設計7原則」

① Outside-in

顧客価値から始める。

② Causal

成果との因果関係を見る。

③ Actionable

本人が変えられる行動にする。

④ Leading

結果より前に分かる指標にする。

⑤ Short-cycle

短期間で確認できるようにする。

⑥ Simple

少数・明確・共通化する。

⑦ Iterative

KPI自体も修正する。

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53. 本書の営業改革は「管理」ではなく「学習」

一見すると営業TQMは厳格な管理手法に見える。

しかし本質は、

Control
ではなく、
Learning

である。

KPIは人を評価するためだけのものではない。

何が機能し、何が機能しなかったかを学習するセンサー

である。

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54. 経営OSとして見た営業TQM

営業TQMは、以下の6つの機能を持つ。

1. Strategy Layer

何の顧客価値を狙うか。

2. Measurement Layer

何を成果として測るか。

3. Execution Layer

何を行動するか。

4. Observation Layer

どう計測・可視化するか。

5. Diagnosis Layer

なぜ未達なのか。

6. Learning Layer

次に何を変えるか。

つまり、

Strategy → Execution → Observation → Diagnosis → Learning

をつなぐ経営システムになっている。

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55. 営業TQMの実装手順

実際に企業へ導入するなら、次の順序が合理的である。

STEP 1|営業の存在意義を定義

「顧客に何を実現する営業なのか」

STEP 2|営業価値メジャーを設定

顧客価値を数値化。

STEP 3|データ分析

成果との因果構造を探る。

STEP 4|成果行動を仮説化

何をすると成果が出るか。

STEP 5|行動観察

トップ・標準・低成果者を比較。

STEP 6|行動KPI化

少数の先行指標へ。

STEP 7|パイロット

一部組織で実験。

STEP 8|因果検証

本当に成果につながったか確認。

STEP 9|KPI修正

不要指標を削除。

STEP 10|週次レビュー設計

定例運用へ組み込む。

STEP 11|ダッシュボード

一目で異常が分かる状態にする。

STEP 12|マネジャー育成

現地現物・質問・コーチングを訓練。

STEP 13|組織標準化

成功行動を標準化。

STEP 14|継続的改善

環境変化に合わせて更新する。

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56. 本書の強み

本書の特に優れた点は、営業改革を、

戦略だけ
でも、
KPIだけ
でも、
営業スキル研修だけ

でも終わらせていないことである。

営業改革を、

価値
+
行動
+
データ
+
マネジメント
+
習慣

のシステムとして捉えている。

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57. 実務上の注意点

一方、本書の思想を導入する際には注意も必要である。

KPIのゲーム化

指標だけ追うと、数字を良くすること自体が目的になる。

したがって常に、

顧客価値との接続

を確認する必要がある。

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相関と因果を混同しない

ある行動と成果が同時に起きていても、必ずしも因果とは限らない。

したがって、

* パイロット
* 比較
* 時系列
* 現場観察

を組み合わせる必要がある。

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標準化しすぎない

営業には顧客ごとの文脈が存在する。

「共通する型」は標準化しつつ、

顧客固有部分まで過度に固定しない

ことが重要である。

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58. 新規事業・コンサルティングへの転用可能性

本書の方法論は営業以外にも応用できる。

例えば新規事業なら、

最終成果
PoC承認、事業化、売上

だけを見るのではなく、

その前段に、

* 顧客ヒアリング
* 仮説更新
* 意思決定者合意
* 検証件数
* 不確実性解消

などの行動指標を置くことができる。

つまり、

最終Gateではなく、Gateを突破する原因側の行動を管理する。

これは事業開発でも極めて有効である。

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59. 本書から導かれる最も重要な経営原則

本書の議論をさらに抽象化すると、

成果そのものは管理できない。管理できるのは、成果を生み出す条件である。

という原則に行き着く。

売上を直接操作することはできない。

しかし、

* 顧客価値
* 接触
* 商談
* 情報提供
* 意思決定者へのアクセス
* フォロー
* マネジメント

は変えられる。

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60. 結論

『BCG流 戦略営業』が提示しているのは、単なる営業テクニックではない。

それは、

営業を「優秀な人が頑張る仕事」から、「顧客価値が生まれる因果構造を組織的に再現・改善する仕組み」へ変える経営方法論

である。

その中心には、

顧客価値
↓
価値メジャー
↓
行動KPI
↓
実行
↓
見える化
↓
週次レビュー
↓
原因究明
↓
コーチング
↓
修正
↓
習慣化

という閉ループがある。

営業組織にとって最も危険なのは、

「結果だけを見ること」

である。

結果は、原因の最終的な表出にすぎない。

強い営業組織とは、

結果が悪くなってから頑張る組織ではなく、結果が悪くなる前に原因側の異常を検知し、現場で修正できる組織

である。

そして、さらに重要なのは、そこで得られた学びを個人の経験で終わらせず、

個人知 → チーム知 → 組織知 → 標準行動

へ転換することだ。

この意味で営業TQMとは、

営業管理論
というより、

「顧客価値を継続的に創出するための組織学習システム」

と呼ぶ方が、本質を正確に捉えている。

最終的に本書が目指す営業組織は、

売上を追いかけ続ける組織

ではなく、

売上が生まれる条件を理解し、その条件を自ら学習・改善・再生産できる組織

である。

⸻

最終要約|『BCG流 戦略営業』の公式

本書の営業TQMを一つの式に圧縮するなら、

営業成果
= 顧客価値
× 正しい営業行動
× 再現性
× 改善速度
× マネジメント習慣

と整理できる。

そして、営業TQMの真のゴールは、

「成果の再現性」を個人ではなく組織に持たせること

にある。

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2026年08月16日

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