あらすじ
何かワケありの僕は、ある日、突然、妻と子を残して家出する。勤める小さな広告代理店に、寝泊まりするようになった僕。TV局員をはじめ、いろんなギョーカイ人たちと、夜に、昼に、昭和最後のヒートアップする大阪を徘徊する日々。次々とトンデモナイ事件が起こる中、現実と妄想の狭間で僕は……。中島らも自身が「ノン・ノンフィクション」と銘うった記念碑的処女作品集。
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ノスタルジックでジャンキー。枕元の酒と煙草の煙の充満した部屋で迎える無理矢理現実に引き戻される朝の匂い。
酒と咳止めシロップのどろりとした心地のいい無敵感に抱かれる夜の感触。
交互に訪れる夜と朝。
60年代の香りが好きな、めちゃくちゃだけど陽気な小説を読みたい人におすすめ。らもさんが一番好きな本だそうです。
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何かワケありの僕は、ある日、突然、妻子を残し家出する。
勤める小さな広告代理店に、寝泊りするようになった僕。
TV局員をはじめ、いろんなギョーカイ人たちと、夜に、昼に、昭和最後のヒートアップする大阪を徘徊する日々。
次々とトンデモナイ事件が起こる中、現実と妄想の狭間で僕は……
中島らも自身が「ノン・ノンフィクション」と銘うった記念碑的処女作品集。
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らもさんの初期作品。この作品はヘロインによる影響下で書かれたバロウズの『裸のランチ』に触発され、泥酔状態で書き上げたのだそう。家出をした広告代理店営業の男が大阪の街を徘徊し、お酒と共に孤独を見つめながら描く5日間。まさにノン・ノンフィクション!
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表題作は、妻と暮らす家を出て会社で暮らし始めた男の日常が、ユーモアと叙情を織り交ぜつつ描かれた作品である。
著者がこの作品を「ノン・ノンフィクション」と謳っているとおり、主人公の男は、著者自身である。
最初の2ページで一気に引き込まれた。
「ノン・ノンフィクション」と呼ぶにふさわしく、フィクションと呼ぶには生々し過ぎるし、ノンフィクションと呼ぶには文学的過ぎる。
数々の言葉と表現が、その微妙なラインを見事についている。
「頭の中がカユいんだ」というタイトルどおり、大阪を舞台にした作品らしい面白さもありながら、後悔にも似た切なさが所々に滲み出る。
ただし、後半になると徐々に文学的な魅力が薄れ、尻切れトンボのような状態になってしまっている気がする。
勢いに任せて書き進められ、強引にというか唐突に結末を迎えてしまった感があるのは残念だ。
表題作の他、3作が併録されているが、最も気に入ったのは「私が一番モテた日」である。
モテない男ほど、「モテる」ということがどういうことなのかわからないが故に、「モテる」ということに憧れを抱くし、モテたいと願うものだ。
そして、自分の周りのモテる男に対して密かに嫉妬と羨望を抱くものだ。
そして、女の子には「聖女」と「娼婦」のどちらかしか存在しないような錯覚を抱くものだ。
そして、「軽さ」と「度胸」が何よりも欠けているものだ。
共感の嵐である。
読んでいると、モテなくて、モテたかった、自分の学生時代を思い出した。
バレンタインデーの昼食の時間はいつも肩身の狭い思いをしていた(一方でほんのささやかなる虚しい期待も抱いていた)ことやら、ある日知らない子からのラブレターが下駄箱に入っていて、どうしようもなく下手な字だなと思っていたら、後日どうやって調べたのかその子が家まで来て告白されたが、どうしようもなく不細工で(不細工なくせに厚底ブーツを履いていて)、「自分はモテない上にこんな不細工にしか好かれないのか」と悲しくなったことやら、ほろ苦い思い出達が蘇ってきた。
懐かしくて笑った。
モテない、モテたい、そんな思いを強く抱いている男子ほど、共感できる作品だ。